【これからの生き方とは!?】ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代|ダニエル・ピンク,大前研一

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
  • どうしたら、これからの時代をいきいきと生きることができるでしょうか!?
  • 実は、「ハイ・コンセプト」に着目することがポイントかも。
  • なぜなら、人間しかできないことであり、相対的に需要が高まります。
  • 本書は、ダニエル・ピンクさん(大前研一さん訳)による、これからの時代の働き方を考える1冊です。
  • 本書を通じて、時代感をとらえ、スキルセットやキャリアを考えるヒントを得られます。

時代を視る!?

いくつかの社会の変化を見ていくと、過去の延長線上だけでは、人生オプションがたりなさそうだ!ということに気が付きます。その変化とはなにか!?下記3つのポイントがあげられます。

1)ほかの国、特に途上国でできることが増えてきている。

総体的に人件費が安価な国が大量に人材を供給し続けています。もともとは、中国、そして、ベトナム、これからの時代は、カンボジアの人材が注目されています。まだまだ、この流れは滞らないと見えており、フィジカルな労働力という観点では、日本ではなく他国に依存するでしょう。ただ、先ごろから長引く円安のように、対外的にポテンシャルを発揮しづらい状況や、構造的な問題による人口減少により、日本国内での労働力供給は、非常に問題と課題の多い分野となります。下記のコンピューティングやAIの領域も活用しながら、高齢者や女性活躍も含めて検討していく必要があるでしょう。

ちなみに、人口減少については、こちらのレポート「【機械化・自動化・ワーキッシュアクトが鍵!?】未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる|リクルートワークス研究所」も大変おすすめですので、ぜひご覧ください。

2)コンピューターやロボットにできることが増えてきている。

下記の3のテーマとも関連していますが、AIが実用化される中で、反復作業や解析分析作業などの領域でコンピューターが活用する時代になっています。

こうした時代においては、反対に人間は何をするのか、あるいは、何をしたいのか、の解像度をあげていくことが必要になります。これまでのようにあらゆることを人間が介在しないとできない時代から、人間が必要なところにだけ、人手を借りる時代になっていくでしょう。

3)特に反復性のあることの需要は、コンピューターやAIに置き換えられる。

既存の問いに答えを見出したり、最適解を求めたりすることは、AIが得意とする領域です。一方で、ゼロから1を産んだり、問い自体を生み出したりすることは、人間しか行うことができません。

AIとの分業については、こちらの1冊「【人類 vs AIは、古典!?】温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険|林要」も大変刺激的です。ぜひご覧ください。

ハイ・コンセプトとは!?

ダニエル・ピンクさんによると上述のような変化の中で、「第4の波」を私たちは迎えつつあると言います。第3の世界観は、「情報化社会」でした。あらゆるものがつながる中で、生き方・働き方を変えました。モノやコトの価値観にも触れる変化でした。

それがさらに一歩深まり、「コンセプチュアル社会」が到来します。これは、既成概念にとらわれずに新しい観点・視点からものごとをとらえ、新しい意味づけをしていく・与えていく社会です。

そうした中で、「ハイ・コンセプト」という視点や物事の考え方が求められるようになる!というのが本書の主題です。

「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見いだす能力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。

[はじめに]「専門力」ではない「総合力」の時代!

こうした能力を下支えするのは、「ハイ・タッチ」です。ハイ・タッチとは、以下のような要素で構成されます。

  • 他人と共感する能力
  • 人間関係の機微を感じとる能力
  • 自らに悦びを見出し、また、他の人々が喜びを見つける手助けをする能力

いかに、普遍的に思われるようなものごとのとらえかたや、あるいは、常識と言われるものについて、疑いながら問いを持ち、その上で、個別バラバラに見える概念をつなぎあわせて(Connecting the dots)、新しい考え方を見いだすスタンスが求められていきます。

ダニエル・ピンクさんは、象徴的に「左脳主導志向」から「右脳主導志向」というキーワードで説明してくれています。左脳的な合理的、効率的、分析的なスタンスではなく、右脳的な精神的、感情的、直感的なスタンスも重視されるという点を強調しています。

ただ、ここでとくに注目したいのは、左脳主導がなくなるのではなく、右脳主導とのかけあわせが重視させるという点をダニエル・ピンクさんが指摘していることです。どちらかを択一的に選択するのではなく、両方(と一見とらえられるような)ものごとを内包しながら新しいものごとを作れるかがキーです。

未来は、「左脳型人間は絶滅、右脳型人間は喚喜」といったといった二元論的な世界ではない。
陶器職人が億万長者になってBMWを乗り回し、コンピュータ・プログラマーがファストフード店のカウンターを掃除するというような世界ではないのだ。

「体力頼み」から「右脳の勝負」へ、そしてこれからは――

ぜひ、両立思考でものごとを見ていきたいものです。ぜひこちらの1冊「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もご覧ください。大変刺激的です。

どうしたらハイ・コンセプチュアルに生きられるか!?

ハイ・コンセプチュアルな人材を目指すポイントを次の6つで見つめてみましょう。

1)機能だけでなく「デザイン」

外見が美しいということも重要です。そして、広い意味でのデザインをとらえるのであれば、これは、「顧客志向」という視点にも展開することができるでしょう。デザインの概念を拡張するには、こちらの1冊「【キーは、「状況」という単位!?】バリュー・プロポジションのつくり方|前田俊幸,安達淳」も非常に興味深い示唆をくれます。

2)議論よりは「物語」

共感ベースを作ることが、人を巻き込み、新しい変革の兆しを創ります。反論や、ロジカルな議論も必要ですが、誰かの勝ち負けを決定することよりも、互いに考え方を共有しながら新しい答えを見いだすことの方が、多くの方にとっての価値を生み出しそうです。アウフヘーベンが参考になりそうです。こちらの1冊「【アウフヘーベンしようぜ?】直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~|阪原淳」もぜひご覧ください。

3)個別よりも「全体の調和」

今日求められるのは、個別化を前提とした、分析力だけではなく、総括する力です。全体像を描き、バラバラなおのをつなぎ合わせて印象的で新しい全体観を築き上げる能力です。

4)論理ではなく「共感」

2)の物語(ストーリー)にも関わる点ですが、人々の心に響くようなテーマ、コンセプト設定が歓迎されるようになるでしょう。成功する人というのは、何が人々の心を動かしているのかをより良く理解し、人間関係を築き、そして、他人を常に思いやる能力を持つ人です。

5)まじめだけでなく「遊び心」

「コンセプトの時代」には、仕事にも人生にも遊びが必要です!そういった意味では、仕事と遊び、生活の境界がどんどん溶けていくでしょう。これまでのように、仕事=苦役だととらえ続けていくと、人生のブレークスルーが遠のきます。自分がやりたいこと、できること、もとめられることの接点をいちはやく&繰り返し検討できることが、人生の充実度と幸せを感じる力を養うでしょう。

二十一世紀における「遊び」は、三世紀にわたって続いてきた産業社会における「労働」と同じ意味を持つだろう――知り、行動し、価値を作り出すための中心手段なのである。

The Play Ethic』パット・ケイン著

6)モノよりも「生きがい」

モノの充足から解放されながら、人生の目的を意識したり、精神的な充足を求めるようになります。ちなみに、人生について目的や意味を検討するとき、こちらの1冊「【意味とはそもそもなんだろうか!?】人生に「意味」なんかいらない|池田清彦」が多くの刺激を提供してくれます。意味とは何なのか、人生に意味はあるのかという問いを通じながら、私たちの生き様を考えるヒントを提供してくれます。

まとめ

  • 時代を視る!?――中長期的な視点で、社会を見てスキルやキャリアを検討しましょう。
  • ハイ・コンセプトとは!?――新たな時代のコンセプトを作ることに注目が集まります。
  • どうしたらハイ・コンセプチュアルに生きられるか!?――6つのポイントを重視しましょう。
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