- どうしたら、人口減少社会において、より良い人財を集めることができるでしょうか!?
- 実は、WHYが大切かも。
- なぜなら、組織も個人も、働く意義・意味をパーパスとして追求する時代だからです。
- 本書は、これからの時代の採用を考える1冊です。
- 本書を通じて、人材採用のポイントを知ることができます。
5つのステップとは!?
過去の投稿「【機械化・自動化・ワーキッシュアクトが鍵!?】未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる|リクルートワークス研究所」で取り上げさせていただいた、リクルートワークス研究所のレポートなどから、人口減少社会が本格的に到来することによる、課題の多くが提示されています。
2023年には300万人以上、2040年には実に1000万人以上の働き手が、日本で不足するとの予測もあります。
これからの時代は、自社の持続可能性を実現するためには、DX等による労働生産性の向上や省人化だけではなく、あわせて、よりよい人財を採用し続けられるかが経営課題でウェイトを多く占めるようになります。
経営目標を達成するためには、人資源を考えることは絶対に必要です。人のより良い循環を考えた時に、採用という活動は、経営戦略において重要な位置づけです。著者の酒井利昌さんも採用の重要性を次のように見出します。
- 育成には、限界がある
- 素材の目利きにこそ経営力が現れる。
- 採用を間違えたら、「爆弾」を背負うようなものである。
- 採用ミスによる組織へのダメージは計り知れない。
- 付加価値を生み出す「いい人財」を採用しないと意味がない。
このように採用とは、経営にインパクトを与える、極めて重要な活動なのです。だからこそ、経験則だけではなく、より良い計画とマインドセットで、正しく向き合う必要があります。
酒井利昌さんは、5つのステップで「より良い人財」と出会う手法を説きます。
ステップ1)WHY 何のために採用するのか?(採用目的の言語化)
ステップ2)WHO どんな人を採用するのか?(採用人物像の言語化)
ステップ3)WHAT 提供できる価値は?(入社するベネフィットの言語化)
ステップ4)WHEN いつ伝えるか?(動機づけ&見極めプロセスの設計)
ステップ5)HOW どうやって伝えるか?(募集手段の選定)
Whyからはじめよ!?
とくに重要なのが、最初のステップのWHYです。採用目的を言語化し、社内の採用チームが一眼となって、プロジェクトが経営にインパクトを与えうる大切なものであることを認識しながら、適切な採用人員のイメージを共有し、また、社内を巻き込むための旗印を見いだすことが大切です。
人の心は、WHATではなく、WHYで動かされる
人の心は、WHATではなく、WHYで動かされる
そして、社内のプロジェクトに対してだけではなく、採用見込者にもWHYは、非常に有効に寄与します。
というのも、インナー向けに採用の目的を検討するということは、それはすなわち、当社の社会的意義を検討することに繋がり、ひいては、採用人財に対して、よりよくWHYをプレゼンテーションするアクションに繋がっていく好循環を生むのです。
現代の人は、お金のためだけには、働いてくれません。仕事にやりがいや生きがいを見つけ出したい時代と言えるでしょう。だからこそ、企業は積極的にパーパスを定義して、それに基づくアクションを整理統合することで、従業員・。採用見込者含む全てのステークホルダーとの関係性を永続的で、発展的なものにしていこうと望むのです。
前提として、情報は非対称であることを認識することです。こちらが持っている情報を相手は同じように持っていません。会社側はWHYに続く情報をコンテンツ化し、その上で、「伝える努力」をしなければなりません。
WHYは、「事業成長をすること」や「利益を上げること」では当然ありません。その先の社会とのつながりに関わるパーパスを見いだすことが不可欠なのです。
パーパスについては、こちらの1冊「【あなたのパーパスは、なんですか?】パーパス・ドリブンな組織のつくり方|永井恒男,後藤照典」もぜひご覧ください。
WHYからキャリアを考える視点にはこちらの1冊「【キャリア・アンカーを活用した内省の仕方とは!?】自分らしい働き方はWHYがすべて教えてくれる|粟野智子」もご覧ください。採用見込者の気持ちに寄り添うのも大切ですね。
WHYを直訳すれば、「なぜ?」になりますが、なかなか日本語で「なぜ?」を問うことは、ストイックに聞こえがちです。自分の内発性を点検しに行くことになり、自らの人格に触れるため、考えることが難しい上、大業なことに見えがちです。
だから、「なぜ?」ではなく、「何のために」と言い換えてみるのが良いでしょう。
「なぜ」・・過去や自分の内面に問いかけが向かう。
「何のために」・・未来と外側に問いかけが向かう。
何のために、自社が存在し続けていくのかが、日本的パーパスの問いかけと言っても良いかもしれません。
そもそも人が集まるとは!?
一つ象徴的な人物を紹介します。あなたは、サミュエル・ピエールポント・ラングレーさんをご存知でしょうか。おそらく知らない人が大半でしょう。しかし、ライト兄弟(オーヴィル・ライト、ウィルバー・ライト)をご存知の方は、多いのではないでしょうか!?
実は、この3人は、同じ時代を生き、飛行機械の開発に邁進した人たちなのです。
サミュエル・ピエールポント・ラングレーさんは、陸軍省から5万ドルの資金を得て、スミソニアン博物館で働いていたこともあり、多くの人脈を持ち、経験豊富な頭脳を活用することができた方です。
一方、ライト兄弟は、お金がなくて、夢に挑む資金は、自分たちの自転車店からの持ち出しでした。また、人脈もサミュエル・ピエールポント・ラングレーさんほど多岐に渡らず、プロジェクトの最初期はきっと大変だったと思います。
でも、結果は皆さんがご存知の通り、ライト兄弟が歴史に名前を刻みました。
――この違いは何だったのでしょうか。
きっと、いろいろな要素が影響していると思われますが、きっとパーパスだったのだと思います。サミュエル・ピエールポント・ラングレーさんが求めたのは、富と名声でした。一方、ライト兄弟は、夢に裏打ちされた理想と信念を持ち続けていました。
ライト兄弟の夢を信じた人が徐々に集まり、汗を流し、共に働いたのです。
こちらの1冊「【「手中の鳥」を探せ!?】エフェクチュエーション|吉田満梨,中村龍太」でもレビューさせていただいたように、イノベーションを生み出すのは、パーパス(ビジョン)と今手持ちにある自分ができることです。それがあれば、仲間があつまり、その他の資源も集まる中で、自分たちのことをポジティブに再解釈をして、育てていくことが可能です。
採用とはまさにそのプロセスのことなのではないかと、この上記の象徴的なストーリーに触れ思います。
自社のパーパスに、今一度触れてみましょう。具体的な方法として、過去・現在・未来の軸で、自社の役割を客観的に見つめてみることです。またその際には、会社軸だけではなく、社員軸で「入社当時の想い」「現在働いている理由」「どうなっていきたいか」について、従業員の視点でも総体をとらえながら、まとめてみるのが良いでしょう。
現在の風潮は明らかに、「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後、相手を導くものである」という方向です。
おわりに
だからこそ、ますます、「誰をバスに乗せるか」が大事な時代になってきたのではないかと考えています。
まとめ
- 5つのステップとは!?――WHYから始める5つのステップです。
- Whyからはじめよ!?――意義・意味を求める時代です。
- そもそも人が集まるとは!?――パーパスのもとに人は集まります。