【学び続けよう!?】前頭葉バカ社会 自分がバカだと気づかない人たち|和田秀樹

前頭葉バカ社会 自分がバカだと気づかない人たち
  • 現代社会を俯瞰してみると、どんな問題点が指摘されるでしょうか。
  • 実は、バカモードが優勢であると、社会が変われなくなると著者は説きます。
  • なぜなら、前例主義、変化を嫌う体質は、脳の思考を司る前頭葉が働かない証拠だそうです。
  • 本書は、前頭葉の働きと社会をリンクさせ、日本の社会が抱える問題点を説く1冊です。
  • 本書を通じて、変わりつづけることの大切さ、挑戦を続けることの必要性に気づきます。

前頭葉とは?

本書の著者である、和田秀樹さんは、大阪府出身の評論家であり、医師としても活躍される方です。これまでにも多くの著書を残してきました。和田秀樹さんは、これまでの医療の最前線でご活躍される中で、多くの患者さんを見てきました。

長年、高齢者医療の現場に携わってきたわたしは、変化をきらい、さみしい老後を迎えることになる例をいやというほど目にしてきました。

年齢を重ねるにつれて、どうしても新しいものごとを受けいられなくなったり、これまでの経験にのみ基づいて判断したり、新しい活動をすることを毛嫌いしてしまう人もあるでしょう。あるいは決して年齢を重ねていなくても、そうした判断や行動をついつい取ってしまう人というのは少なくないのかも知れません。

本書のテーマである前頭葉の働きにこうした行動は大きく関わってきます。前頭葉とは、脳の一部の名称で、思考力、判断力、集中力、想像力、意欲、感情をコントロールすることを司っています。さらに重要な機能が「変化に対応するための重要な役割」を果たしているということです。

前頭葉の働きがいい人は、変化にうまく対応することができますが、この働きが悪い人や衰えてきた人は、なるべく前頭葉を楽にさせるように、変化を避けるようになります。

和田秀樹さんは、この日本が旧態然とした体制を変えられずに、失われた数十年のまま世界の変化に取り残されている状況について、この前頭葉不全の社会なのではないかと説きます。

残念ながら、脳は40代くらいから萎縮を始めてしまいます。前頭葉も例外ではなく、やはり40代以降に画像診断で分かる程度に収縮していくと言います。前頭葉が司る感情のコントロール機能や自発性、意欲、創造性が年齢を重ねるほどに衰えていき、ますます前頭葉を使わないように、ラクをはじめます。まさに、負のスパイラルです。

行きつけのお店にしか行かなくなったり、話の筋がだいたい分かる同じような著者の本しか読まなくなったり、同じ政党にしか投票しなくなったり、ということが現れ始めたら、要注意と和田秀樹は言います。

自分で考えよう!?

人の脳の機能は、記憶を司る海馬ではなく、前頭葉から衰えていくそうです。

これまでの考え方を変えられないということは、変化する社会に対応しづらくなっていくということです。社会とのギャップを近くすることもおそらく難しくなるでしょう。そのことで、もしかしたら社会から孤立することもあるかも知れません。すると、ウェルビーイングが保たれづらくなって、よりよい人生を過ごすことが最悪の場合、困難になることもあるそうです。

ちなみに、ウェルビーイングの定義を見ていくと、次のような視点を重視しています。

  • 身体的健康:健康な体を維持し、病気や怪我から自由であること。
  • 精神的健康:精神的に安定し、ストレスや不安が少なく、ポジティブな感情を持つこと。
  • 社会的つながり:良好な人間関係を築き、社会的に支えられていると感じること。
  • 経済的安定:経済的に安定し、生活の質を維持できること。
  • 目的意識:人生における目標や目的を持ち、それに向かって努力すること。

前頭葉を上手に活かしながら、思考や変化を見出してポジティブな時間を過ごしている人こそ、ウェルビーイングが保たれるかも知れません。

前頭葉が衰えていくことで、自分の頭で考えることをしなくなっていきます。情報を鵜呑みにしてしまって、解釈することなく、例えば、SNSで安易に拡散してしまって、デマニュースが流れるということも社会問題になっているので、その一端がもしかしたら前頭葉に関わることかも知れませんね。

「わからない」ことがバカなのではなく、自分がわかっていないことを認められない人が前頭葉バカといえるでしょう。

昔の知識に固執しないように、新しい学びを続けてみることがポイントです。最終学歴ではなく、いまここでさらに学びをアップデートできているかを問うていくことが大切なのではないでしょうか。

学びの継続を?

バカとは何でしょうか。

バカという言葉について考えるときやはり、養老孟司さんの『バカの壁』を思い出します。本書は、コミュニケーションの難しさや人間の理解の限界について論じたエッセイです。バカの壁とは、人は自分の理解や価値観の枠内でしかものごとを捉えることができないため、枠を超えたものを理解しようとしない、それが壁になり、他者理解を阻み、対立の原因となるという趣旨です。養老孟司さんは、自己反省と他者理解の重要性を本書で、説かれたかったのではないかと思います。

和田秀樹さんの使うバカについても、養老孟司さんのバカの壁のような同じニュアンスを持って受け取ることができます。自分自身を客観視することなく、知らず知らずに思考停止に陥っている状態をバカと呼称しています。

そう言えば、その視点で見つめてみるとこちらの1冊「【頭がいいは、視点で決まる!?】メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける|澤円」が気になり始めます。

これは、澤円さんが「頭がいい」とはどういうことなのかについて、問いた1冊なのですが、自らを含む環境を俯瞰的に捉えることの重要性を語っています。

そして和田秀樹さんも、前頭葉をバカにしないためにも、自分の俯瞰的に捉えることが重要であると言います。

1)自己モニターをしてみる
2)二分割思考をしていないかウォッチする
3)仮説を立てて、実験を続ける

これらの習慣を身につけることで、前頭葉の機能を使い続けることが可能になるのです。まず、自己モニターで自分自身の置かれている状況や自分の考えや感覚について、絶えず知り続けることが大切です。メタ認知ですね。

その上で、安易に判断をもたらす二分割思考をしてしまっていないかウォッチします。二分割思考とは「**」もしくは「**」のように、選択肢を極論の2つをしかないように捉えて、思考停止するものです。

例えば、時間がないことに困っている人が「仕事」か「家庭」かのような二分割でものごとを捉えて、決断を下してしまうような状況を言います。でも、世の中そんなにきっぱりと二分割で動いているわけではありません。本当に必要なのは包摂である可能性もあります。「仕事」と「家庭」のバランスを取るにはどうしたらいいのか、対立を生み出すことなく判断をする視点を絶えず持ち続けることがキーです。

この点については、こちらの投稿「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」の1冊が大変素晴らしい視点を提供してくれます。おすすめです。

さらに、思考と行動をアップデートしながら、「やってみる!」というのもとても大切です。チャレンジ精神をもって、これまでトライしたことないことでもリスクを取って、挑戦していければ頭を働かせながら、刺激を得て、考える習慣を身につけることができます。

その際、
 1)変化を楽しんでしまう。
 2)活動した際の自分の考えの変化にもフォーカスしてみる。
 3)何を感じたか、考えたか、アウトプットしてみる。
 4)そして「ただ動く」ことを続けてみる。

  みたいな習慣を持ちながら、行動を続けてみることもおすすめです。

アップル創業者であるスティーブ・ジョブズさんは、かの有名なスタンフォード大学の卒業式スピーチで「stay hungry, stay foolish」というメッセージを残しました。フーリッシュは、確かにバカと訳すこともできますが、本書が捉える「前頭葉バカ」のそれとは、意味合いが大きく異なります。スティーブ・ジョブズさんの語った常識や前例を疑い、他者や少し前からの自分からもフーリッシュだ!と思われるような自分自身でいようという、エールを受け取れます。

わたし自身が大切にしている人生のテーマは「成長し続ける」ことです。そのために必要なのは、現状維持に甘んじることなく挑戦し続けこと。
挑戦する意欲を司っているのは前頭葉です。

人生には、絶えず学びのヒントが溢れていますね。それを絶えず受け取りながら、自らをアップデートし続けていく人生を過ごしていきたいものです。

まとめ

  • 前頭葉とは?――思考や感情で、変化に対応する力を発揮する脳の部位です。
  • 自分で考えよう!?――鵜呑みではなく、自らの頭で常識や情報を疑うことです。
  • 学びの継続を?――絶えず自分を変化させ続けていくことです。
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