- 「問い」をいかにたてるか、どう「見立てるか」が重要だといいます。でも、それって具体的にどんなことでしょう。
- 実は、「コーチング」の最大の目的を知ると、この「問い」や「見立て」に向き合うヒントが得られます。
- なぜなら、「コーチング」の目指すところは、「問い」を原動力に、変化に自発的に対応していくことだからです。
- 本書は、日本にコーチングをもたらした伊藤守さんによる、上司・部下のクイックなコーチング(コミュニケーション)について説いた1冊です。
- 本書を通じて、コーチングという手法の奥底にある目指していること(本質)について触れられるでしょう。
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コーチングが目指していることの本質とは!?
前回の投稿「【この辺で、おさえておきたい「コーチング」!?】コーチング・マネジメント―人と組織のハイパフォーマンスをつくる|伊藤守」に続き、今回も伊藤守さんのコーチングについて書かれた1冊です。伊藤守さんは、まだ日本にコーチングの概念がなかった時代に、書籍や活動を持って、コーチングの真価を紹介した先駆者的な方です。
みなさんは、コーチング(あるいはトレーニング)とティーチングの違いについて、具体的なイメージをお持ちでしょうか。圧倒的に異なるのは、受け身か自発的かということでしょう。
コーチングは、問いによって、相手に変革の行動力を与えます。
変化への対応力は、コーチングのいちばんのテーマ
起こす変化とやってくる変化
コーチングに対する正しい認識を持つことは、人のマネジメントにも役立ちます。
部下ができたり、チームを率いたりする際に、トップダウンのヒエラルキー組織的運用をすることも可能です。しかし、予測不能な社会において、こうした軍隊型の運用では、臨機応変さにかけてしまいます。大切なのは、ひとりひとりが柔軟な行動をするために、自分の頭で考えられるようにすること。そのために、組織やチームがどこに向かっているのか、という目線合わせも同時に大切になります。
この目線合わせが、コーチングで重要な「問いを共有する」ということです。
コーチングのイメージは、会話する二人が向き合ってしまうのではなく、一枚のキャンバスに向かって、二人で座る。そして部下が絵を描くのを見ながら、会話する。あるいは、二人で並んで座って、望遠鏡や双眼鏡で、同じ遠くのものを見る。そして、それについて語る。そんなイメージです。
少し先の未来を見せる
過去の投稿「【VUCAの正しい備え方とは!?】最強の教養 不確実性超入門|田淵直也」では、不確実性に対応する方法として、正しいと思われるのは、予測をもって備えるのではなく、「正しい(と思われる)ことを継続することだ」とありました。正しいこと=キャンバスを、描くこと、そして、社会・顧客・自分たちの価値の交点を見据えることなのかなと思います。

「問いを共有する」ということは!?
コーチングのベースには、<問いの共有>があります。そして、それは無理に作り出すものではなくて、すでにそこにあるものです。あとはそれに気がつくだけです。それに気がつけば、いつでもそれについて声をかけ、その「共有されている問い」について話し始めることができます。自由に話させることができます。
<問いの共有>が行動を起こす
問いが、共有されていればこそ、上司が常に指示を与えなくても、その場その場で、自分の頭で考えて、チームと協同しながら、あるいは外部と強調しながら、目的へ向けた臨機応変な対応が可能になります。
「いかに、私たちは、***を目指すのか」ということ、これを見出しましょう。
これを考えるためには、WHYについて向き合う必要があります。私たちの存在意義を問うといってもいい。私たちは、なぜ生きているのか、を真剣に考えるということが、問いをさらに鋭くしていきます。
過去の投稿「【キャリア・アンカーを活用した内省の仕方とは!?】自分らしい働き方はWHYがすべて教えてくれる|粟野智子」も合わせて、読んでいただくと、ヒントになります。

見せかけの非生産的な問いかけに注意しましょう。
・「ほんとうかな?」
・「このままでいいんだろうか?」
・「だいじょうぶだろうか?」
こうした、ワナにかからないようにしましょう。疑心暗鬼ではなく、あなたに「行動」をもたらす問いこそが、よい問いなのです。
<問いを共有>することの大切な働きがあります。
<問いの共有>が行動を起こす
それは、わたしたちの頭の中に常駐する、非生産的な「問い」を追い出す働きです。
未来への意識が重要!?
大切なのは、過去ではなく未来を考えるということです。問いも、未来を意識しましょう。というのも、過去に対する問いは、必然的にその人を責めたり、あるいは非難することにつながる傾向が強いのです。建設的な「行動」につなげる習慣を作るには、「未来に向けた問いかけ」が大切なのです。
コーチングも同じです。少し先の未来をコーチします。やり方は簡単です。「視線」を未来に向けるだけです。
少し先の未来を見せる
伊藤守さんの素敵なエピソードも引用します。
ボストンシンフォニーの著名な指揮者、ベンジャミン・サンダー氏を日本に招へいしたとき、尋ねてみました。
少し先の未来を見せる
「指揮者は何をしているんですか?リズムをとっている?または、演奏者にキューを出しているんですか?」
これに対して、氏と次のようなやり取りをされたそうです。
「リズムなんてとらない、ダンスしているわけじゃないんだから。それに、みんな一流の演奏家で、彼らにキューなんて出さない」
「それじゃあ、何をしているんでしょうか?」
「少し先の未来を指揮している」
指揮者も、演奏家も、音楽という未来へ向けた流れの中で、先を見ているのでしょう。そして、その行く先を提示し、演奏というレスポンスという対話を私たちは、聞いているのだと思いました。
未来への問い、まさに過去の投稿「【たったひとつの問いかけで、すべてを前に進めるには!?】「質問」だけですべてをプラスに変えていくフィードフォワード全技術|久野和禎」のフィードフォワードにふれるところです。

まとめ
- コーチングが目指していることの本質とは!?――「問いを共有」し、変化に対応する力をもたらすことです。
- 「問いを共有する」ということは!?――「行動」をもたらします。
- 未来への意識が重要!?――過去ではなく、未来に向けた問いを共有しましょう。
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