- 極めて生産性の高い組織は、どのように作られるでしょうか!?
- 実は、GitLabに学ぶことにヒントがたくさんあるかもしれません。
- なぜなら、オールリモートでありながらNASDAQ上場を果たしている企業であるのです。
- 本書は、GitLabの特徴と工夫を詳細に学べる1冊です。
- 本書を通じて、本質的DXを思考するにあたり、多くのヒントを得られます。

フルリモート企業GitLabとは!?
GitLabは世界67ヵ国以上にまたがり、2,000名を超えるメンバーが在籍している「オールリモート企業」です。
第1章 世界最先端のリモート組織「GitLab」
GitLabは、コロナの前からオールリモートを果たしていた企業です。GitLabは、DevOpsプラットフォームと呼ばれる、効率的なソフトウェア開発を支援する製品群を提供しています。そもそもなのですが、世界中に社員が点在しているために、非同期のコミュニケーション(同時のリアルタイムなミーティングではないコラボレーション)をもとに、生産性を向上することが当社の成り立ちでした。
GitLabは、オールリモートの方法で、法人化から7年後、2021年にNASDAQに上場を果たし、時価総額64億ドル(日本円にして約9,000億円 <2023年8月時点の為替相場で計算>)のユニコーン企業として成功を収めています。
コラボレーションのためのリモートワークという発想の転換
コラボレーションのためのリモートワークという発想の転換
世界的に成功を収めているGitLabですが、3つのカルチャーを大切にしています。
1.GitLab Value
2.仲間意識(信頼と友情)
3.ワークスタイル
1.GitLab Valueは、GitLab社が最も重視する点で、当社のエンジンとなっているポイントです。詳細は下記でレビューをさせていただきます。Valueを軸足にしながら、非同期のコミュニケーションを重視する中で、仲間意識を担保しながら、リモートワークというスタイルを確立するために、コーヒーミーティングや全体リアルイベントを企画しながら一体感を醸成する工夫を行っています。
GitLabがオールリモート環境をここまで成長させられたのは、組織の意思決定プロセスについて、解釈の余地を可能な限り減らすように、それはまるでプログラミングのように言語化されたプロセス設計を行っていることによります。そして、そのプロセスは、「常にユーザーやチームにとって良いのか」という客観的な視点が基準となり、改善され続けているという点も重要です。
すべてが言語化され、ロジックが組み立てられ、客観的に測定していることは再現性があることも意味しています。
リモート組織を支えるオープンソース・ソフトウェアの概念
日本の組織は、非言語領域をとても大切にします。これは日本語の特徴や、文化や、これまでの組織のあり方がそうさせているので、なかなか認識できないのですが、非常にハイコンテキストです。行間を大切にするため、ものごとの取り決めをする時に、全員が集まって「すり合わせ」する必要が生まれます。
しかし「すり合わせ」を前提にしていては、ローコンテクストを強いる、リモート環境に対応することが難しいです。だからこそ、あらゆる意思決定のための言語化が必要になり、そのための基準の明確化が必要不可欠です。
GitLabは、オールリモート企業として、次のようなメリットを獲得しています。
- 94%が「誇りに感じる」脅威のエンゲージメントを保有している
- 最も優秀な人材を早く採用できている
- 多様なメンバーのパフォーマンスを最大化できている
- 成果にこだわる風土が醸成されている
- コストが効率化され、本質的な業務に集中できるようになっている
オールリモートだからこそ、柔軟な働き方ができるのは、当然でありながら、オールリモートを実現するのに、カルチャーやバリューにこだわっている点が寄与している要素も大きくなります。
リモートのハードルとは!?
そもそも、リモートワークには多くのハードルがあります。
- 働きすぎる
- テキストベースコミュニケーションに対応できない
- 孤独感を覚える
- 仕事を生活の境目が曖昧になり疲弊する
- 新入社員や部署異動したメンバーがチームに馴染めない
- バーンアウト(疲労や孤独感から燃え尽きてしまう)
一般的には、これらの問題をいかに解決するか、が、オールリモートの対応には必要になりますし、もっというと、DXを推進するためにも解決する要素として重複することも多くあります。
こうした孤独感の問題に対する対策に共通しているのは、個人の努力ではなく組織がしくみを用意すること
リモートワークに共通する問題の対策
組織がしくみを有し、ひとりひとりの行動指針などの明確に言語化し、日々の行動を自ら作り上げることができるかが、キーになります。
本書の中では、エドガー・H・シャインさんの『Organizational Culture and Leadership』を引用しています。
レベル1:文化の産物・・目に見えるあ、読み解けない表出しているもの
例)社員の服装、会議方法、オフィスの雰囲気など
レベル2:標榜された価値観・・基本的な価値観を反映している言語化されたもの
例)戦略、目標、バリュー、経営哲学、制度など
レベル3:根底にある暗黙の前提・・歴史的に学習され、認められてきた正しさ
例)成功体験、信念、蓄積されてきた認識
レベル2に該当する経営哲学やバリューを標榜したとしても、それが日常的に実践されていないとレベル3の根底の部分まで変化されず、カルチャーを醸成していくことはできません。
一方で、レベル3のパターンがあまりにも暗黙知されしまっているため、レベル2のレイヤーで言語化がないため、長く在籍することでしか、組織カルチャーに溶け込めない状態になっている組織があるかもしれません。
強力なカルチャーを醸成するためには、レベル2に該当する価値観や哲学、理念、行動指針などを明確に言語化することと、言語化された価値観を行動レベルで実践させ続け、レベル3に働きかけるための日常への落とし込みが重要になります。

GitLabが大切にするValueとは!?
カルチャーマッチではなくバリューマッチが重要
カルチャーマッチではなくバリューマッチが重要
従来のカルチャーを無批判に信じるのではなく、環境に適応させ続けていくために、調整をし続けていくことが、実は必要なのです。カルチャーは実は可変であることを信じるために、何を軸足にするのか!?
そのためには、「バリューマッチ」にフォーカスしましょう。
カルチャーを、「バリューを体現した結果として歴史的に構成されていく暗黙のパターン」であると考えれば、「市場環境に適応した明示的なパターン」がバリューです。
つまり、勝負している市場において勝てる可能性を高くするためのアクション、優先順位、禁止事項などを具体的に示したものがバリューであるといえます。
カルチャーマッチではなくバリューマッチが重要
バリューを市場に合わせてブラッシュアップさせていくことで、より良いカルチャーに改善することが可能になります。
GitLabは、バリューの全体像は、優先順位として次に掲げる6つで構成されています。
1.コラボレーション
2.成果
3.効率性
4.ダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギング
5.イテレーション
6.透明性
上述のバリューを構成する詳細は、また次回の投稿で詳しくレビューをしていきたいと思います。これからの未来の働き方を考える時に、GitLabのオールリモート環境を作る必要があった状況からの組織イノベーションに、学ぶべきことは多いです。
まとめ
- フルリモート企業GitLabとは!?――オールリモート企業でありながら従業員の高いエンゲージメントで、NASDAQ上場も果たした企業です。
- リモートのハードルとは!?――これまでのカルチャーを見直すハードルがあります。
- GitLabが大切にするValueとは!?――カルチャーを醸成するバリューが6つで分解されています。
