【「わかる」を考えると見えるものとは!?】みる わかる 伝える|畑村洋太郎

みる わかる 伝える
  • なぜ、コミュニケーションロスが起こり、事故になるのでしょうか・・・。
  • 実は、「わかる」に向き合うことが大切です。
  • なぜなら、真に「わかる」ことは、なかなか稀な状況だからです。
  • 本書は、ベストセラー『失敗学のすすめ』著者 畑村洋太郎さんによる「わかる」を科学する一冊です。
  • 本書を通じて、本当に「わかる」ことの意味を分析的に知ることができるでしょう。

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畑村洋太郎
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「わかる」とはなにか!?

じつは私たちは、それが「わかる」かどうかを「自分の頭の中に持っている要素や構造と合致するかどうか」で瞬時に判断している。

第2部「わかる」編

コミュニケーションの原理に近いものを見ます。まずは頭の中に構造や枠組みがあって、それに照らさない限り、人間は「わかる」に近づけないのです。

自分の頭に既にある、あるいは相手の頭の中にすでにあるものと、比較することで、「わかる」への道が拓ける。それが難しい場合は、「わからない」と切り捨てられるか、違和感をもって歓迎されるかのどちらかとなります。

「わかる」のパターン3つとは!?

実は、もっと「わかる」について考えると3つのパターンが浮き彫りになります。「わかる」にも度合いがあるのです。

もちろん自分の頭の中にのテンプレートとの合致を確認するといっても、理解の度合いによって差がある。これはおおよそ三つのパターンに分類することができる。それは「要素の一致」「構造の一致」「新たなテンプレートの構築」である。

第2部「わかる」編

要素の一致

頭の中にある要素のテンプレートと、目の前のものや事象の要素との合致を見て理解することを言います。

たとえば、これは「おいしそうなそばだ!」と思えるのは、自分が過去に「おいしそうなそば」を体験していて、それとおおよそ似ているからおいしそうだと「わかる」ということでイメージしてみてください。

構造の一致

「わかる」度合いが抽象的です。要素の一致ではなく、要素が織りなす構造が一致する場合です。「おいしそうなそば」だと「わかる」ために、サービスや店の雰囲気、あるいは器の感じなどを総合的に判断しているときなどがこれにあたります。

ここに密接して考えてみたいのが「アナロジー」です。過去の投稿「【発想とは、編集である!】才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10 の思考法|安藤昭子」でも特に取り上げられていた情報への態度です。アナロジーは、関係を発見するための原動力になります。アナロジーとは、以下のように説明されていました。

アナロジーの思考が成り立つとき、3つのステップが機能しています。
1)何かと何かが「似ている」と思う
2)(似ているものの構造を)「借りてくる」
3)(借りてきた構造を)「当てはめる」
こうすると、複雑なものや見えないものも、その正体を類推したりすることが出来ます。

才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10 の思考法|安藤昭子

まさに、本書で取り扱っている「わかる」の構造の一致に近いものです。また、本書の著者である畑村洋太郎さんも、アナロジーの重要性を説いています。

アナロジーを使うためには、既知のものを「上位概念」に登ってい理解する必要がある。上位概念に登るというのは、具体的なもの(属性)を削ぎ落としてその中に含まれている基本的な考えを理解することである。

第2部「わかる」編

ちなみに、上位概念と下位概念という言葉をこのようにも言い換えてくれます。

「下位概念」や「上位概念」という言葉は、あまりに抽象的なのでわかりにくいかもしれない。言葉を言い換えると、これは「具象の世界」「抽象の世界」となる。

第2部「わかる」編

これは、日常業務の中でも意識したい内容です。じつは、このものごとの概念のレイヤーの今どこを話しているのか、あるいは議題にしているのかを意識することは、他者と共同するときのコミュニケーションでとても大切なことです。これのすれ違いが起きると、事故になったり、コラボレーションが生まれなかったりします。

新たなテンプレートの構築

いままで見たことや聞いたこと、体験したことにてらせないものです。これこそ、「わからない」ということになります。この新たなテンプレートの獲得こそが、「学習」と呼ばれるものになります。

世の中のものごとを構成しているのは、さまざまな要素とその関係によるものです。これらの枠組みを知り、体験していることが「わかる」素地には重要になるということです。

そして、コミュニケーションにおいても、相手がその枠組みを得ているか、そして、知りたい・コミュニケーションをとりたいというモチベーションを持っているかが、争点になります。

やってみること以外に真に「わかる」はありえない!?

私は「わかる」人になるための一つの完成された形は、「真の科学的理解」ができることだと考えている。

第2部「わかる」編

「真の科学的理解」という言葉が難しいですが、これは、「自分でやってみて、知識を経験に置き換えること」と理解してもいいかも知れません。だから、畑村洋太郎さんは「単に知っている」ことと「わかる」ことは、本当は全く異なるものだというのです。自分でやってみて、経験にしてみることで、本当の「わかる」を手に入れることが大切なのです。

情報過多の社会で、なんとなく、ネットで見た情報をそのまま「わかる」に転換してしまう傾向が強まっているかも知れません。でも、実際に社会はリアルですし、その中には五感の刺激や、喜怒哀楽や、成功や失敗が詰まっているものだと思います。ひとつの枠組みを大切に生きることも大切だと思いますが、それをアップデートし続けて、再構築していくことも、真の学習を目指す上では大切かも知れません。

過去の投稿「【成長の秘策は「学びほぐし」!?】仕事のアンラーニング|松尾睦」を思い出します。過去に得た知識に固執するのではなくて、柔軟な発想で、失敗してもいいから、前に出てみることがきっと大切なんです!

まとめ

  • 「わかる」とはなにか!?――自分の頭の中にある要素やその構造との合致の度合いを「わかる」といいます。
  • 「わかる」のパターン3つとは!?――要素の合致、構造の合致、新たなテンプレの獲得の3つに分かれます。
  • やってみること以外に真に「わかる」はありえない!?――アンラーニングという概念も武器に失敗を怖れずにやってみることで、「真のわかる」枠組みをえることができるでしょう。

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