【企業は“ストック”!?】フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則|細谷功

フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
  • 世界の仕組みをよりよく理解するためには、どんな視点が必要でしょうか!?
  • 実は、フローとストック、抽象と具体のマトリクスがキーかも。
  • なぜなら、この4象限で人間の営みの循環を説明することができるからです。
  • 本書は、細谷功さんによる世界を見抜くための視点をまとめた1冊です。
  • 本書を通じて、いかに人がものごとをとらえ、秩序を生み出すのかを知ります。
細谷功
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4象限で考えてみよう!?

本書は、シンプルに言えば、フローとストックという考え方を、抽象と具体に取り込んでいくことで、社会の仕組みや人間の営みを俯瞰して捉えていくための1冊です。

フローというのは、「行為」(動詞)であり、ストックは、「状態」(名詞)です。フローが作用をもたらし、ものごとに変化をもたらす側で、ストックは変化させられる側です。

PLとBSを想像すればわかりやすいかも知れません。企業の活動は、売上と仕入れ、そして、利益の蓄積です。売上と原価というフローがあって、その結果、利益が残ったり、あるいは現金を吐き出したりしながら、年間の決算を締めていきます。ストックをBS(キャッシュ)であると捉えれば、フローとストックのイメージが付きやすいです。

ポイントは、フローとストックは独立して存在しているのではなく、互いに密接に関わっているということです。

「お互いの関係性によって成り立ち」「フローがストックを生みだしてそれが蓄積されることで世の中が回っていく」という関係になっていることです。

フローは「行為」(動詞)、ストックは「状態」(名詞)

知的生産に置き換えて考えれば、「思考」がフローであり、「知識」がストックということになるでしょう。

フロー型の思考を重視する場合、「いま・ここ・これ」を重視し、変化を思考し、「絆」を嫌い、「ないものから」の発想を行い、「攻め」の姿勢を持って、能動的に動き、思考と創造を重視します。

一方で、ストック型の思考を重視する場合、過去の経験を重視し、安定を志向し、「絆」を好み、「あるものから」の発想を行い、「守り」の姿勢で、受動的に構え、知識と経験を重視します。

ストックの代表として所有が上げられるでしょう。人間の活動は、ストックで成り立っていると言ってもいいかも知れません。資本主義の根幹となる資本だって、抽象的なストックであり、インフラを成り立たせています。地球上の土地やモノにバーチャルな所有という概念を持ち込み、それを運用することで、富をもたらす仕組みを人間は構築しました。

あるいは、人間同士の「引力」も、集団生活を成立させるためには不可欠であり、これもストックの概念と表裏一体と捉えることができます。

ストックは、人間特有の世界観です。

また、同時に抽象と具体についても同じような視点を持つことができます。思考とは、抽象と具体の往復運動であることは、こちらの1冊「【抽象と具体の間!?】見えないときに、見る力。 視点が変わる打開の思考法|谷川祐基」や「【具体と抽象の間で仕事が生まれる!?】具体と抽象が、ビジネスを10割解決する。|谷川祐基」でも語られていますが、抽象という世界観を持っているのは、人間だけです。

見える世界、見えない世界!?

フローとストック、そして、抽象と具体で4象限を作ってみます。

フロー×具体

この領域は人間の全ての解釈が入っていない「自然」や身の回りの事象などの「ありのまま」の状態を指します。この「ありのまま」の状態の中には、動物、植物、人工物、一人ひとりの人間などありとあらゆるものが含有しています。

フロー×抽象

この領域は、一時的な作業スペースのようなもので、永続的ではありません。フロー×具体を抽象化して考えることによって生まれた抽象概念、つまり、分類やカテゴリーや何らかの線引きがこの領域に相当します。個人の試行錯誤の中で生まれるさまざまな産物の集合体とも言える領域です。

ストック×抽象

この領域は、フロー×抽象がスナップショットとして固定化したものです。この典型例としては、暗黙知があります。あるいは、様々な社会規範や特定の社会における常識などがこれにあたります。たとえば、ネクタイをしているのが礼儀正しい印象を感じることについては、社会のストック×抽象に含有する常識的な認識が蓄積されているからであると言えるでしょう。鎖国中の日本でネクタイをしていたら、きっとみんなから不思議がられるに違いありません。そして、ネクタイをしている私たちも、ネクタイを何故するかということは上手に言語化できません。あるいは、「お金に価値がある」ということもこうした、現象によります。

ストック×具体

ここが非常にとらえどころが難しくて、ストック×抽象との(まさに)線引きが厳しいところ(実際に細谷功さんもおっしゃっています)なのですが、何らかの「線引き」がなされた状態で、具体が認識されることを指しています。たとえば、「善悪」「正誤」「ルール違反の有無」などです。世の中の具体的な事象が認識されているという状態ととらえることができそうです。大多数の人間が(言葉などによって)無意識に認識している世界が、この領域です。

ストック×抽象が、言葉にならない概念で、ストック×具体が、言葉にできる概念ということと捉えてみると、良いかも知れません。

ここで面白いのが、具体と抽象を行き来しながら、物事をとらえることです。

具体とは、「唯一無二の存在」であるということです。全てのものは固有であると捉える捉え方のことで、この領域にあることは、個別具体であり、同じものは一つもないということになります。一方で、抽象はそうした個別具体性のあるものごとをくくりチームをつくります。例えば、「りんご」という抽象的な言葉の前では、赤いリンゴも青いリンゴも、品種改良されたりんごも、野生のりんごも、同じものとして認識されてしまいます。

ストックの世界観は、多くの人が見ている世界です。一方でフローの世界は一時的なもので、イノベーターにしか見えない世界であると言えます。さらに、ストックの世界の中でも、ストック×抽象側から、ストック×具体を見れば、それは足かせをはめられたような固定的な世界に見えて、逆にストック×具体側からストック×抽象を見ることはできません。

イノベーターはこの歪みを捉えることで、旧来の「ストックのとしての抽」の「枷」を外し、抽象から解き放たれた「ありのまま」の具体を再度、最適なかたちで抽象化し、新たな秩序(「ストックとしての抽象」)をつくり上げようとします。

変数から見たカイゼンとイノベーション
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社会はストックでできている!?

人間は動物に比べて膨大な抽象の世界をもっていて、「見えない関係が見えている」と述べました。これが自然界や人間社会におけるさまざまな因果関係の解明による未来予測への応用など、多くの領域に貢献したことは疑いがありません。

「陰謀論」にとらわれる人の思考回路

しかし、抽象世界にだけ身をおいてしまうと、陰謀論にとらわれてしまったり、バイアスを俯瞰することができなかったり、偏見となってしまったり、自然な状態とのバランス感覚を失ってしまいます。まさに諸刃の剣・・人間は、抽象という世界観を手にしたからこそ、悩み苦しむが、よりよい社会を作る能力を持ち得たといっても良いのかも知れません。

見えない「ストックとしての抽象」に支配された「ストック型」の人や集団は、「フロー型」の人から見るとあたかも何かに「洗脳されている」(しかもその自覚がない)かのように見えることがあります。

宗教の教義や企業ミッションの「正体」

「ストック型」の人や集団は、外からは見えない共通の抽象概念を信じ、それが固定化されてあたかも確固たる人生の指針が存在しているように思えるからです。

逆の言い方をすれば、為政者のように多数の成員からなるグループのリーダーがやるべきことのひとつは、その集団における「ストックとしての抽象」をいかに確立し、すべてのメンバーに浸透させられるかということです。

この視点、とてもおもしろいですね。ミッション・ビジョン・バリューをさらに俯瞰した形で捉えさせてくれます。

このような「ストックとしての抽象」を一度インストールされると、「ストック型」の人はリセットすることが難しいので、集団の管理や統制が容易になるのです。

宗教の教義や企業ミッションの「正体」

人間の社会は、実際には存在しないバーチャルの線引きで構成されているような側面が強いです。会社やブランドもそうしたものごとのひとつなのかも知れません。

次回の投稿でも本書をご紹介しながら、もう少し踏み込んで、イノベーターは、いかに、新しい秩序をいかに生みだし、運用していくことができるのか?についてフォーカスしてみたいと思います。

まとめ

  • 4象限で考えてみよう!?――フロー・ストック、抽象・具体で世界を捉えてみましょう。
  • 見える世界、見えない世界!?――立場によって、見える世界と見えない世界が変わります。
  • 社会はストックでできている!?――ストック×抽象のインストールがキーです。
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