【資本主義をハックせよ!?】ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す|山口周

ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す
  • 変化の時代をどのように生きていくことが理想でしょうか!?
  • 実は、時代を大きく俯瞰することが大切です。
  • なぜなら、大きな変化を知ることで、人生の舵取りが可能になるからです。
  • 本書は、経済と社会を広く俯瞰することで、現在地とこれからを考える1冊です。
  • 本書を通じて、自分の意志を大切にする生き方に焦点を当てることができます。
山口周
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ビジネスのその先に!?

過去の投稿「【読書とは、生き様である!?】人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える|堀内勉」では、社会や国家、組織がおおきな物語を提供できずに、私たち一人一人が、自分の人生という物語に向き合い、自ら主体性を持って作っていくことを見てきました。本書『人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える』でも取り上げられていた、山口周さんの1冊『ビジネスの未来――エコノミーにヒューマニティを取り戻す』を本日は見ていきながら、時代を俯瞰する視点を養っていきましょう。

ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。

第1章 私たちはどこにいるのか?

これまでの時代は、人類の歴史上稀に見る変革の年代でした。実際に「経済成長」をすることができて、社会と技術が革新的に変わっていきました。しかし、私たちは、ある程度の閾値まで達したというのが、山口周さんの見立てです。それを「高原」と例えます。この「高原」にまで達した状態を実感しながら、新しい活動を紡いでいくことが、私たちが幸せや悦びを感じることができるよりよい方法です。

「安全で便利で快適な(だけの)世界」から「真に豊かで生きるに値する社会へ」と変成させていくことにあります。

第1章 私たちはどこにいるのか?

ものごとが終わったことを受容することから始めましょう。過去の投稿「【真の「成長」とは!?】トランジション ――人生の転機を活かすために|ウィリアム・ブリッジズ」にもあった、トランジションを参考にしてみることです。

トランジション理論では、ものごとの終焉を受け入れていくときには、擬似的な死を人は体験すると説かれていました。すでに終わっている状態を積極的に認識することで、過去に縛られず、いま・ここに集中して、積極的に変化を受け入れ、自らを変容させていくことが可能になります。

成長を前提とした社会の制度疲労が顕著な中、それにしがみついていたり、あるいは、それを頼りにしすぎていたりすることで、心身の調和が保てなくなったり、あるいは、無力感、徒労感を覚え続けることはもったいないです。すでに終了したことに固執することではなく、すでに終わったものとしてとらえるのです。

でも、世界や社会の仕組みはそう簡単には変えられません。慣性の法則のように、おなじ資本主義の下、私たちは生きていく必要があります。これを変化させようと(革命)すれば、過去の事例のように必ず倒れてしまいます(共産主義の革命や新興宗教によるテロなどを見ればあきらか・・)。むしろ、成熟した社会において資本主義という基盤を上手に活用しながら、自らの意思をもって自分の理想とする人生や社会を構築することを目指していく、という思想を持つことも、可能なのです。

・むしろ、すでに社会にインストールされている資本主義・市場原理の仕組みを「ハックする」ことでこれを乗っ取ることを考えるべき
・その際、経済原理=エコノミーの中に人間性原理=ヒューマニティを稼働ロジックとして埋め込むこと、社会という集積回路においてプロセッサの役割を果たす個人の演算にヒューマニティをファクターとして組み込むことが必要

第1章 私たちはどこにいるのか?

このように山口周さんは提唱します。人の入る余地がないような、デジタルな社会に、人間性を取り戻すようにまずは個人の意識と視点から、活動を再構築するため動き出してみましょう。

大切な視点とは!?

現在と未来の見立てを変えていく必要がありそうです。経済原理=エコノミーだけを推進するデジタルな社会において、私たちは、未来のために今を我慢することを良しとしてきました。それよりもむしろ「永遠に循環する“いま”を豊かに瑞々しく生ききる」という自己充足的な生き方にアップデートしてみることです。

インストルメンタルコンサマトリー
中長期的瞬間的
手段はコスト手段自体が利得
手段と目的が別手段と目的が融合
利得が外在的利得が内在的
合理的直感的
インストルメンタルとコンサマトリーとは?

「未来の利得・効用のために消費行動を手段化する」ことを考えれば、今を手段として、未来の目的を得ることになるのでこれを、手段=インストルメンタルと呼べます。一方で、「いま、この瞬間に感じられる愉悦・官能という利得によって行為のコストが回収される活動」という考え方は、アメリカの社会学者タルコット・パーソンズによる造語「コンサマトリー」で説明できます。

自己充足的な生き方はすなわち、「文化的豊かさを生み出すビジネス」への転換であると言えます。これまでは、「文明的な豊かさを追求」してきた私たちですが、上述の通り「高原」において、次に目指すべき物質的な豊かさの目標を持ちづらくなっていることも事実です。過去の人類が創造した最大限の豊かさを私たちはすでに達成しているのです。その内容の精度や高度さはともかく、すでに私たちは望んだ世界を実現しています。不足を生めるための活動から、文化的な豊かさを生み出して行く創造的な世界へと積極的に変えていくことが、人生の充実度を左右します。

「無限の成長」という考えは「非科学的なファンタジー」でしかないからです。

第1章 私たちはどこにいるのか?

労働生産上昇率は、「低下している」のではなく、「かつて異常に高かったのが、通常の状態にもどりつつある」ととらえてみることです。足元の2000年で私たちは、テクノロジーによって実際に人々の物質的生活基盤が休息に整備される時間を過ごして、これを見事に達成してきました。

私たちは、文明成長の終焉期を生きています。

真に問題なのは「経済成長しない」ということではなく「経済以外の何を成長させれば良いのかわからない」という社会構想力の貧しさであり、さらに言えば「経済成長しない状態を豊かに生きることができない」という私たちの心の貧しさなのです。

第1章 私たちはどこにいるのか?

そのうえで、山口周さんが説くのは、以下のような社会のあり方です。

目指す方向目指さない方向
大きな北欧型社会民主社会小さなアメリカ型市場厭離主義社会
イノベーションによる社会課題の解決イノベーションによる経済成長の追求
企業活動による文化的価値の創造企業活動による大量消費の促進
目指す方向と目指さない方向

これらの対比構造をより知るために文化資本経営の概念がおすすめです。ぜひこちらの1冊「【文明の次は、文化!?】文化資本の経営:これからの時代、企業と経営者が考えなければならないこと|福原義春,文化資本研究会」もご覧ください。

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生きるに値する社会のために!?

これからを生きていく時に頼りになる考え方をいくつか箇条書きにして、これからの自分の思考や行動を検討するヒントにしていきましょう。

  • 「浪費」や「無駄」が、人生には必要
  • バリューチェーンからバリューサイクルへ
  • 「小さく、近く、美しく」へ
  • 「幸福の感受性」を高める
  • 「資本主義のハッカー」へ
  • などなど

社会にものがたりを依存せず、自らの意志をもって自分の人生を設計していきましょう。すでに下記のような動きをしている人たちや考え方に触れて、自らを触発し、感謝しながら前に進んでいくことも良さそうです。

1.社会的課題の解決(ソーシャルイノベーション):経済合理性限界を超える未解決の問題を解く
2.文化的価値の創出(カルチャークリエーションの実践):「高原」社会を「生きるに値する社会」にするモノ・コトを生み出す

活動の方針としてはクランボルツさんの5つのトライを参考にしてみるのも良いかも知れません。「【幸運は引き寄せられる!?】その幸運は偶然ではないんです!――夢の仕事をつかむ心の練習問題|J・D・クランボルツ,A・S・レヴィン」の1冊をぜひご覧ください。

「便利で快適な世界」を「生きるに値する世界」へと変えていく

第2章 私たちはどこへ向かうのか?

まとめ

  • ビジネスのその先に!?――ビジネスが役割を終えた時代を私たちは生きています。
  • 大切な視点とは!?――物質的で過剰な成長前提の豊かさだけに頼ることを見直してみましょう。
  • 生きるに値する社会のために!?――いくつかの着眼点をもって活動を拡げてみましょう。
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