- デジタル社会において、どうしたらよりよく集中できるでしょうか!?
- 実は、自分の「リズム」を知ることが大切かも。
- なぜなら、膨大な時間があっても、人は集中できないからです。
- 本書は、デジタル=悪としてとらえるのではなく、上手に付き合う現代流の集中力の捉え方について説いた1冊です。
- 本書を通じて、集中とはなにか、自分の集中力を持続させるためには何が必要かを知ることができます。
認知(集中)リソースは有限!?
集中できていますか!?
デジタル社会において、集中力の持続性を考えることはいよいよ難しい問題になってきました。なにか物事に熱中していても、携帯電話で通知が来たり、あるいは、デジタルデバイスの情報が気になったりと、私たちをインターセプトする要素については、ことかかわないです。
まず大切にしたいのが、集中力=認知(集中)リソースは、有限であるということです。
大前提として、人が情報を処理するときにはこのリソースが必要となり、リソースの蓄えには限度がある。
認知リソースの量は限られている
たとえば、中断の誘惑を退けながら困難な仕事を1時間行ったとしましょう。すると、あなたの認知力は大幅に削られています。残念ながら、心身の快復がない限り、認知(集中)リソースは回復しません。
これには、朝目覚めてから時間の経過に伴うホメオスタシス(外界の変化にかかわりなく体内の状態を一定を維持する能力)の変化も関連しています。1日という単位で、まず認知(集中)リソースの配分と投下について私たちは検討する必要があるのです。現に、リソース量は限られているため、仕事が増えた時に、投下量が分散するため成果の質が下がるのです。
また、リソース理論によると、異なる種類のタスクには異なる認知リソースが使われることがわかっています。視覚、聴覚、空間処理に関わる複数のタスクでは、それぞれ別のリソースを使うということです。
<認知(集中)リソースの種類>
- 視覚リソース
- 聴覚リソース
- 空間処理リソース
ニュース記事を読む、電話で話す、空間処理のスキルが必要なゲームをする、などは、それぞれリソースの種類が異なります。たとえば、運転(視覚・空間処理)をしながら、おしゃべりをしたりラジオを聞いたり(聴覚)は難なくできるのに、運転をしながら、地図の操作(視覚)はとても難しいものになります。
同じ種類のリソースを奪い合う複数のタスク(電話会議を聴きながら別の電話で会話するなど、いずれも聴覚に関わるタスク)では相互干渉が多くなり、タスクを頻繁に切り替えなくてはならないため、疲弊もするし、効率もとても低下します。
集中タイムを大切に!?
前提として、自分のリソースが有限であることを理解していれば、例えば、長い記事を読み始めても、サンクコストの罠にはまるまえに切り上げることができます。これまでせっかく読んだのだから、記事をすべて読み終えるまで頑張ってみようというスタンスではなく、読み終えるまで時間がないとわかっていれば、上手に切り上げることができます。
集中先が移ろうことを「動的集中」と言います。たいてい、1日のうち終わり頃にはリソースが枯渇しており、注意散漫になることが多くなります。夕方以降は、なにか集中が必要なものごとをするにはとても注意が必要ということになります。
こうした内容を知ると、朝の重要性と、夜のケアについて意識をむけることが可能になります。活躍する経営者の方には朝を充実化させている方も少なくないですが、理にかなっています。また、夜にメールを返信したり、重要な決断をすることを避けるべき理由も分かります。
ちなみに朝を充実化させるアプローチについて充実した視点を提供してくれるこちらの1冊「【朝を使えば、人生が豊かになる!?】朝イチのひとり時間が人生を変える|キム・ユジン,小笠原藤子」もぜひご覧下さい。
集中リソースには上限があり、また、人によって上限の総量も異なるし、日によっても変動することを意識してみましょう。
現代のデジタル世界にふさわしい1日のスケジュールの立て方を学び直す必要がある。それは自分を疲弊させず、幸福度を高める戦略を考え、自分の集中のリズムや認知リソースは有限であるという事実を理解することでもある。
バランスのとれた1日を計画する
自分の行動が貴重な認知(集中)リソースにどのような影響をもたらすかを考えて、1日のスケジュールを計画的に立てることが大切です。
主体性こそキー!?
実は、集中時間が長く続くことは、確かにいいことかもしれませんが、フロー状態というのは、認知(集中)リソースを大幅に費消していきます。また、一般的に知的労働でフロー状態になれることがほとんどないことも証明されています。
自分にどんなタスクが課せられているのかの全体感を元に、1日のリソース配置を検討することがよりよい集中のためには欠かせないアクションになります。
複数の案件をパズルのように組み合わせ、難しい案件が続いて集中力に負荷をかけないようにする。
バランスのとれた1日を計画する
自分の集中のピーク時間を知り、集中を必要とする仕事に、その時間を充てましょう。ビーク時間はひとりひとり異なります。ほとんどの人は、午前11時から午後3時ころに集中のピークがあると言われていますが、自分についてはどうか・・について、意識的になってみることも良いでしょう。
ピーク時間には、メールを開いたり、デジタルデバイスの通知に追われたりしないほうが理想です。集中のピークでない時間に、デジタルデバイスを開いて、メールを確認したり通知を追いかけるようにすればよいです。
そもそもメールは時間の経過とともにすぐに内容が古くなるので、退社前にチェックすれば多くの問題はすでに解決しているかもしれない。
バランスのとれた1日を計画する
退社前に、少しの時間をかけてメールはチェックできれば、案外問題がないものです。
このようにデジタル社会であればあるほど、デバイスや通知を起点にものごと、とくに1日の計画を立ててしまいがちですが、そうではなく、自分起点(とくに自分の認知リソース起点)でスケジューリングを検討することが大切、ということになります。
これは要するに、集中に「主体性」を持つということだ。
「主体性」で中断を克服する
まとめ
- 認知(集中)リソースは有限!?――実は集中はリソースの投資なのです。
- 集中タイムを大切に!?――自分の集中できる時間帯を知りましょう。多くの人にとって、午前11時~午後3時であることがわかっています。
- 主体性こそキー!?――自分のリソースを起点に1日のスケジュールを検討しましょう。