【読書とは、生き様である!?】人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える|堀内勉

人生を変える読書 人類三千年の叡智を力に変える
  • どうしたら、よりよい人生を送ることができるでしょうか!?
  • 実は、「読書」にヒントがあるかも。
  • なぜなら、読書とは、他者そして自己との対話を促すからです。
  • 本書は、読書の叡智をいかに活かすかにフォーカスした1冊です。
  • 本書を通じて、さまざまな名著からどのような思考を巡らせることができるのかを知り、多くの書籍を手に取る貴重なきっかけを提供してもらえます。

読書とは!?

本と真摯に向き合うことで、自分自身の人生を振り返ることができ、そしてこれからの人生をどう生きるかについて考えるきっかけを得ることができます。

読書とは、著者との対話であり、そして、その著者と向き合っている自己との対話でもあります。まだ知らないことを知り、その事実に対して自分のまだ見ぬ反応を知ります。まだ知らないこととの出会いが、人生を豊かに彩ります。

人間にもっとも大きな影響を与えるのは人間なのです。

はじめに

人との出会いが自分自身の生きる力を養うことになります。リアルな出会いはもちろん、本を通じた著者との出会いも含めて豊かなつながりをつくり、自らを成長させ続けていきましょう。

いま、生き方について全員が真剣に考えなければ、幸せを実感することが難しい社会になっていると思います。経済的に豊かになること、モノを潤沢に得て便利に暮らすこと、テクノロジーを活用してより快適に暮らすこと、などなどこうした-をゼロにする取り組みは、(特に先進国において)非常に高い水準で提供されています。

成長というものがたりが語られづらくなってきた今、私たち一人一人が考えて、俯瞰し、いま・ここにある幸せにいかに自覚的になれるかが、生きる意味を養っていきます。

みなが不安な今だから、つぎのような情報接触の必要性を煽る文句をよく見かけます。

  • 「今のビジネスパーソンは、この程度のスキルがなければ生き残れませんよ」
  • 「これからの時代、英語もテクノロジーの知識も欠かせませんよ」
  • 「知識があっても、教養がなければ、欧米のビジネスパーソンとの会話にはついていけませんよ」
  • 「人間でなくてもできるルーティンワークは、すぐにAI(人工知能)に取って代わられますよ」
  • 「AIには生み出せない創造性がなければ、人に使われるだけの人生になりますよ」
  • などなど

こうした脅し文句は、たんに「強いものが勝つ」「優秀なものが生き残る」という、優勝劣敗や適者生存を別の言い方に置き換えたに過ぎません。社会、人間に対する何の深い洞察もありません。こうした「役に立たなければ意味がない」というひとつのロジックを強化しているのは資本主義の影響が強いでしょう。資本主義は、資本投下のもと多くの労働者を構成し、彼らに労働という貴重な資源を積極的に提供させます。その仕組の中では、経済的なインパクトをもたらすことをメインの目的として人々の活動を繰り返し強制・強化します。

確かに経済の仕組みは、これからの時代も大切です。しかし、それだけを拠り所にしたとしても、幸福を持続的に感じることにはなかなか難しい。別のロジックを使って、自分の人生を自己定義し続けることが重要になります。

私たちは、一人ひとりが

  • 自分は何のために生まれてきたのか?
  • 自分は本当は何がしたいのか?
  • 自分はこれからどう生きればよいのか?
  • 人生は自分に何を求めているのか?

という、本当は誰もが心の奥底に持っている根源的な問いに向き合うことを促されています。

自分を見つめてみよう!?

「自分が誰なのかがわからず、ふわふわと漂っているような状態」から抜け出すためのひとつの手段として、読書があるのだと考えます。

読書は「自分が自分である」ためにある

世の中や社会は、私たちにこう生きればいいよ!という「大きなものがたり」を提供してくれません。だから、私たちは、「自分の内なるものがたり」に耳を澄ませて、自分の人生を自分で形作って、意味付けをしていきたいものです。

現代は「大きな物語」が存在しない時代とされています。

これを言ったのは、フランスの哲学者、ジャン =フランソワ・リオタールです。リオタールは、その著書『ポスト・モダンの条件──知・社会・言語ゲーム』(水声社)の中で、社会が共有する価値観やイデオロギーがもはや失われてしまった時代を「ポスト・モダン(脱近代主義)」の時代として定義しました。そして、この世界全体を解釈する思想的な枠組みを、彼は「大きな物語」と呼んだのです。ここでの「大きな物語」とは、それまでの近代(モダン)を根拠づけていた啓蒙思想、進歩主義などを指していて、そこには近代哲学や科学なども含まれます。そうした人類の進歩を信じてきた思想的な枠組みに不信感を表明し、「大きな物語」は凋落してその目標を失いつつあるとして、そこからの新たな展開を目指したのです。

この本は思想界に大きな衝撃を与えただけでなく、建築や文学の世界にまで広がりを見せ、「ポスト・モダン」という時代の潮流を形づくっていきました。そして、現代という時代はまさに、世界のどこかに「大きな物語」があって、その物語に沿って生きればよいという楽観的な状況ではなくなっています。

たとえば、現代人は、進歩主義の名のもとに、科学技術の進歩や経済の発展こそが人間の生存条件を改善するという「大きな物語」に乗っかり、資本主義というシステムに従って経済成長に邁進してきました。もちろん、それがもたらした果実は非常に大きなもので、この狭い地球上に 80億人もの人間が共存できているということ自体が奇跡のようです。

もはや世の中に「大きな物語」はない

自分が読むべき本を自分で選択することです。だれも教えてくれません。自分の生き様だと思ってとにかく最初の1冊を選んで、それを手がかりに本の海にダイブしていきます。

読書は「考える材料」を集め、「考える枠組み」を構築する手段としてもっとも優れたものです。他人の言うことを鵜呑みにするのではなく、一人で悩んでいるのでもなく、人類が積み重ねてきた「集合知」を上手に使って、自分の思考と意識に磨きをかけていきます。

人は、自由を望みますが、一方で、自由であるということは心理状態が不安定であるということでもあります。

ですから、私たちはその答えが正しいか間違っているかを飛び越えて、心理的安全性をもたらしてくれる「正しそうな答え」に飛びついてしまいがちなのです。

「正解を求める」日本のビジネスパーソン

自由であることは、全てを自分で引き受けている必要があって、それはそれでなかなかしんどいところがあります。でも、自由であるには、ものごととの向き合い方に自分自身で責任を持って、自らの道を拓いていく活動が欠かせません。そうした活動の積み重ねによる自己研鑽が自由を生む、スパイラルを構成します。

メタ認知を得る!?

読書とは「自分で自分をつくっていく」ことであり、「自分が何を望んでいるのか?」を明瞭にするための作業にほかならないのです。

読書とは「自分が何を望むのか」を明らかにする作業

自分の視点の出発点を自分の外部から内部へと切り替えて見るということです。例えば、ビジネスパーソンであるなら、会社のあり方に自分の生き方を合わせるという順番ではなく、まず自分を起点に会社との向き合い方を考えてみるということもしてみたいものです。

自分自身が何を望んでいるのかを知るには、自分がまだ知らないことについても自覚的になることが求められます。ただ、自分がまだ知らないことは何なのかを知るのは、とても難しいことです。そもそもわからない、見えていない、知らないことを知覚する必要があり、そのためには創造力を働かせる領域の話になるのです。「メタ認知」とよばれるものです。

独立研究者でパブリックスピーカーの山口周氏は、『ビジネスの未来──エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(プレジデント社)の中で、「資本主義をハックしよう」と提言していますが、彼は現代の資本主義を真っ向から否定しているわけではありません。そうではなく、資本主義の限界を理解したうえで、この仕組みをうまく利用して変革を成し遂げていこうと主張しているのです。
つまり、資本主義という「鉄の檻」の中で生きている私たちの立ち位置をきちんと理解したうえで、さらにその枠組みをずらしたり、枠組みの向こう側をイメージしたりして、新しい社会や生き方を構想するということです。

自分は「何がわかっていないのか」を知る

たとえば、「会社」という枠組みに自分を当てはめてしまうと、とてもラクなのですが、一方で心の自由度は極めて制限されます。そして、なかなかそこから出づらくなってしまいます。

こうした状況において「メタ認知」を身に着けさせてくれるのが、読書です。読書からえた知識によって、「私たちは何わかっているのか」を知ります。そして、読書を繰り返すことで、自分は「何がわかっていないのか」が、明確でなくとも、だんだんと分かってくるようになります。

その目には見えない部分の解像度をあげていくために、先達が積み上げてきた力を借りる必要があります。

読書体験については、「【本は、人を結ぶ!?】読書の価値|森博嗣」や「【なぜ読書は、今を生き抜く力になるのか?】本を読む人だけが手にするもの|藤原和博」なども大変おすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ

  • 読書とは!?――思考の枠組みと知により、考える材料を提供してくれます。
  • 自分を見つめてみよう!?――自分を見つめ、自分の人生のものがたりを見出しましょう。
  • メタ認知を得る!?――「読書とは、自分が何を望むのか」を明らかにする作業です。
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