- どうしたらよりよい充実した幸福を感じ続けることができるでしょうか。
- 実は、「感度」の問題かも。
- なぜなら、幸福はいまここ、足元にあることを知り、感じ続けることだから。
- 本書は、投資の世界で「人格」を見つめた著者の人生とは何かを説く1冊です。
- 本書を通じて、世界を知り、感じ、心=「人格」を磨き続ける大切さを知ります。
成功より、人格を!?
前回の投稿「【何を大切に生きるか!?】人生のダイヤモンドは足元に埋まっている 強欲資本主義時代の処方箋|ジョン・C・ボーグル,山崎恵理子」に続き、今回もこちらの1冊『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている 強欲資本主義時代の処方箋』をレビューさせていただきたいと思います。
本書は、世界で初めて個人向けインデックスファンドを創設した、ジョン・C・ボーグルさんによる人生を考える1冊です。
前回の投稿においては、お金との向かい方を中心に考えてきました。お金については、それが目的になることが不幸の始まりです。あくまで、お金は豊かで充実した生活を送るための手段に過ぎません。だから、たしかにお金から自由になる必要はありそうですが、その先を充実させていくのは自分次第ということになります。
自分の考え方を磨き、自分をアップデートし続けていくことが、充実した人生をつくる秘訣となっていきます。そしてその秘訣というのは、最初からパーフェクトなものはありません。ましてや人に教えてもらったことを100%そうだ!として受け取ったところで、行動が伴わなければ、秘訣になりえません。
大切なのは、自分自身で考えて、行動までしてみること。そして、自分の行動の結果を元にフィードバックして、さらに新しい考え方と行動を積み重ねることです。これは人生を通じた取り組みであり、どこかで終わりが来るものでもありません。ここにいち早く気づき、今日、今・ここから初めてみるのが大切かも知れません。
「成功」より「人格」を
第10章 「成功」より「人格」を
本書は、末尾において、「成功」と「人格」を比べる論点で、豊かな人生の在り方について、私たちに奥深いストーリーを紹介してくれます。
なぜ、年老いた犬は、レースをやめたのか?
こちらのストーリーをぜひご一読ください。ジョージアの優れた説教学者、フレッド・クラドック師の話です。
おそらくは説教師にありがちな想像上の話だろうが、クラドック師は現実に起きたことだと言う。彼が姪の家を訪ねたときのこと。そこには年老いたグレイハウンド犬がいた。ドッグレースでつくり物のウサギを追いかけてトラックを走る犬だ。すでにレースを引退していずれは処分される犬を姪が家に連れてきたのだ。クラドック師は、犬とこんな会話をしたらしい。
私は犬に尋ねた。「いまもレースに出ているのかね」
「いいえ」と犬は答えた。
「どうしたというんだ。年をとりすぎて、もうレースには出られないのかい」
「いいえ。出られるレースはまだありました」
「じゃあ、どうしたんだ。勝てなかったのかい」
「オーナーのために 100万ドル以上の賞金を稼ぎました」
「それなら、何がいけなかったのかね。待遇がひどかったのか」
「そんなことはありません。レースに出ているあいだは、
オーナーは私をとても大事にしてくれました」
「じゃあ、脚でも悪くしたのかね」
「いいえ」
「それなら、どうしたんだ」と私は問い詰めた。「いったい、どうしたというんだ」
犬はこう答えた。「やめたんです」
「やめたのかい」
「はい、自分からやめたんです」
「どうしてやめたのかね」
「レースで走って、走って、走ったあげくに、
追いかけているウサギが本物じゃないと気づいたのです」
真偽のほどはともかく、年老いたグレイハウンドがどんな気持ちだったか、読者のみなさんにはよくわかるはずだ。私たちは「成功」という偽物のウサギを追いかけてトラックをいったい何周すれば、じつは本物のウサギは私たちのすぐ近くにいて、見つけられるのを待っていることに気づくのだろうか。
成功は手段であって目的ではない
第10章 「成功」より「人格」を
この社会は、みんなの手で作られているものです。そして、実は機会というのは、みなにまんべんなく行き渡っているのです。
自分が意識さえすれば、その機会を掴むチャンスはある。でも、その自分が目指したい、あるいは、自分が追い求めようとしているものが、一体なんなのか、偽物のウサギでないことを、いち早く確認しておく必要がありそうです。
人格を通じて、世界を見よう!?
社会を構成するメンバーとして、より良いことは、「他者のためになること」をするということです。利他の精神で、自分をすり減らさないように、貢献を続けていくことです。この複雑で、危険で、不確かなな世界を生きていく、処世術は、これが遠回りのようで、実は最も確実に豊かさに向けた道なのです。
このマインドセットがあることを――自分の心のなかにあることを、確認することができたら、一生懸命、レースを走り続けることです。
走って、走って、走るのだ。
第10章 「成功」より「人格」を
物質的な豊かさ、名誉、権力、によって定義された「一般的な」成功の概念に惑わされることなく、自分色の幸福をいまここに感じながら、走り続けるのです。
そして、そこから見える景気を確認することもお忘れなく、正しい「人格」から見える、豊かさ、名誉、権力の色はまた違って見えるはずです。「人格」を最優先に考えることがいかに重要か、自分自身に絶えずフィードバックしながら、ものごとを見立て続ける工夫を施すのが、人生なのかも知れません。
世界は自分のフィルターでしか認識ができないものであるという視点は、こちらの1冊「【これが、人間の性(さが)!?】予想どおりに不合理|ダン・アリエリー」もぜひご覧ください。世界の認識をガラリと変える視点を得ることができます。
まとめ
- 成功より、人格を!?――人格が伴っていれば、最後には、成功も含めて追いついてきます。
- なぜ、年老いた犬は、レースをやめたのか?――自分が追い求めていたものが本物でないと気づきました。
- 人格を通じて、世界を見よう!?――世界を再認識し続けることで、よりよい幸福の感度を得ます。