【「未病」を感じよう!?】謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?|若林理砂

【「未病」を感じよう!?】謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?|若林理砂
  • どうしたら、フィジカルもメンタルも、健康な人生を送ることができるでしょうか。
  • 実は、まだ病気でない状態「未病」を知ることが大切かも知れません。
  • なぜなら、「未病」は現代医学でも明確に(定量的に)定義されない不調だからです。
  • 本書は、そんな「未病」を謎の症状を通して知る1冊です。
  • 本書を通じて、自分の身体と対話するヒントを得られます。

現代人は、脳だけ疲れてる!?

本書は、「病院に行くほどではないが、ちょっと困る・・」心身の不調についてレビューした1冊です。著者・若林理砂さんは、臨床家・鍼灸師として活躍される方で、不調を持つ人の治療にあたっています。本書は、そんな患者さん一人ひとりの悩みに、若林理砂さんが回答する形式で進行していきます。

多くの人が、知的労働によって生業を立てている現代において、脳の疲れに関する問題はついてまわります。仕事では脳はフル稼働させるけど、身体は使わないということがあり、これによって、脳はへとへと、身体はピンピンという状態になります。こうなると「深く眠れず、朝起きてもだるい」という症状が現れるようになります。

そんな時大切にしたいのが、バランスです。脳ばかりを使っている人は、積極的に身体を動かしてみましょう。おすすめなのは、「5分ラン」です。心拍数と呼吸数が上がるようなランニングを、ショート・タームで行ってみましょう。ちょっと息があがって、脈拍も上がるような速度がポイントです。これによって、交感神経が優位に振り切ることができ、身体と脳のバランスが取れるようになります。

また、寝る前2時間くらいに、バスタブに浸かるのもおすすめです。入浴で1回体温を上げると、その後きちんと下がりやすくなり、入眠をスムーズにします。その結果、深めの睡眠が取れるようになります。

現代人は運動して気血を巡らせたり、発汗して津液(体内の水分)を発散したりが足りない人が多いのでしょうね。寝ても疲れが取れないという訴え、とても多い症状です。運動して、よく寝るといいですよ。

たくさん眠っても、疲れが取れません

1日1日をしっかり充実させていくことで、よりよい1年、10年につながっていきます。人間が本来持っている自然のリズムを活かして、メリハリと活力あふれる人生を積み重ねていきましょう。

心に効く薬とは!?

心を病むことも現代人は多いと思います。自然に生きている状態に比べて、情報環境や、人間関係などがとても複雑な社会のように感じてしまいます。そんなときにケアしてあげたいのが、自律神経です。

実は、「救心」や「宇津救命丸」で有名なきつけ薬は、多くが自律神経に働く漢方を原料としています。牛黄という成分です。これらの薬には、西洋医学で処方されるような化学薬品に比べて、強い作用はありませんが、素晴らしい機能が備わっています。それが、プラセボ効果です。まったく薬効がないものでも、「効く!」と思えば、実は人には効くものです。

心のありようが大切ということかもしれません。まさに、「病は気から」という言葉の通り、自分の心の置きどころや心の状態が身体につながって、不調になっているというケースも多いのだと思います。

この点が、まだまだ現代医学を持ってしても、解明できていないことが多いので、神秘です。

私は「宇津救命丸」をプレッシャー避けの薬としてしばらく使っていたことがあります。おまじないのような感覚ですが、意外と効きました。ぜひ試してみてください。

本番に弱いです

著者・若林理砂さんも、プレッシャーを感じたり、緊張したりするときには、自分の心持ちを整えるため、プラセボ効果を期待していたとのこと。こうした自分ならではの「ルーティン」を持つことは、とても大切なんですね。

なぜ、未病が生まれた!?

東洋医学では、病気の状態をどう考えているのか。以下のような言葉が伝わっています。

上手な医者は未病を治す。すでに病気になったものを治さない。

コラム どこからが病気?

「未病」というのは、「未だ病ならず」ということ。そして、「已病」という言葉も合って、これは「已(すで)に病なる」という意味です。この「未病」というファジーな状態に言葉を与えて、認識することが東洋医学のキーです。

症状は発現していないけれど、体内ですでに問題が発生している状態を定義して、これに対応することが大切です。そうした状態は、外から見えないのも事実だと思います。だからこそ、自ら自分の心身に耳をすまし、どんな状態かを絶えずモニタリングして、疲れたら休む、1日のリズムを調えてみる、生薬に頼ってみるなどの工夫を施していくことが良いのだと思います。

なぜ、そもそも東洋医学で「未病」の状態を知ることが重要だったのかということも面白いです。一見放っておいても良さそうな状態を放置してはならない!という思いは、なかなかめんどくさがりが前提の人としては、思いつきません。

昔の中国が東洋医学の発祥の地なのですが、当時、医者は主人の病を治すことができないと、問答無用で処刑だったそうです。こわい!!という状況なので、なんとか、主人が病気にならないように、ケアしていたからこそ、なんとなく不調の状態にも意識が向いていたそうです。

大昔は、治すほうも命懸けだったのですよ。

おわりに

ちなみに、主人が不治の病になってしまった場合は、医者は逃げちゃうこともあったとか。そうですよね、さすがに命は惜しい。しかし、これは単に医者だけの問題ではありません。当時の医療環境や設備も現代に比べると極めて未熟であり、治療が困難であるという現実があったのです。現代でも病を治すのは難しいことなので、考えや技術が現代よりも少なかった当時はなおさら病を治すことは難しいことだったでしょう。また、情報の伝達手段も限られており、地域ごとに医療知識のばらつきがあったことも一因です。

だからこその、「未病」ということなんですね。「未病」というのは、病気になる前に予防するという考え方であり、現代でも健康管理の一環として重視されています。つまり、医療技術が発展していない時代においても、人々は何とかして健康を維持しようと努力していたのです。

ものごとには、言葉を与えると、見える化して、社会に普及する概念も多くあります。本書では、「未病」でしたが、こちらの1冊「【仕事の定義を改めてノマドを目指してみよう!?】ノマドライフ|本田直之」では、「ノマド」です。もやもやした社会のインサイトを言葉にして、みんなで共有することって大切ですね。

まとめ

  • 現代人は、脳だけ疲れてる!?――身体も疲れさせて、神経のバランスを取りましょう。
  • 心に効く薬とは!?――結局、自分の心持ちです。
  • なぜ、未病が生まれた!?――必死さが、人に見病をケアさせました。
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