【デザイン思考とはなにか?】HELLO,DESIGN|石川俊祐

HELLO,DESIGN
  • 「デザイン思考」って、ものづくりの思考法とか、クリエイティブ系の人だけのものとか、機能よりもデザインが大事とか、そんなイメージを持っていませんか?
  • 実は、デザイナーのものごとの見かたと考え方のことで、これは、あらゆるビジネスで活用が可能なんです。
  • なぜなら、観察→問い立て→ブレスト→プロトタイピングという流れを人間中心で進めるアプローチだからです。
  • 本書では、「デザイン思考」についてIDEO社で活躍された石川氏が詳しく、進め方を事例たっぷりに説明してくれています。
  • 本書を読み終えると、「デザイン思考」のマインドセットをもって、仕事に新しい人間中心の着眼点を持つことができると思います。

デザイン思考とは?

デザイナーとは、問いを設定し、その問いを解決する人である

デザイナーとは、問いを設定し、その問いを解決する人である

デザインという言葉が輸入された時、日本ではどうも見た目をきれいに整えることとして理解されてしまったようなのです。

事実、ウェブリオ辞書ではこのように解説されています。

デザイン(英:design)とは、「美しさ」や「使いやすさ」などの狙いを実現するために創意工夫すること、および、その創意工夫の成果を反映させた見た目や機能のあり方のこと。 多くの場合「図案」「模様」「設計」「造形」「構想」などと言い換えられる意味合いで用いられる。

Weblio

過去の投稿「【問題だらけの時代をどう生きぬくか?】コ・デザイン|上平崇仁」で取り上げた書籍『コ・デザイン』で、この点を著者が指摘されていました。

外見の美しさだけとしてとらえられがちなデザインですが、実は、「問い」の発見と、解決策の提示をすることなんですね。この概念に向き合うことができないことで、ちょっと損をしてしまっているのかもしれないです。翻訳って、大切なんですね。

でも、著者は、日本文化こそ、「デザイン思考」をそもそも何百年もまえからやってきているから、扱いやすいと言います。たとえば、お料理やさんで靴が揃えてもらえるとか、茶の湯とか、自動販売機に120円と160円のジュースがある時、150円を投入すれば、120円のジュースのボタンだけが光るとかとか、そういう類のことを自然とできるのが日本文化だと。

こうした文化を見直して、国際基準としてパッケージ化して提示することもこれから大切なのかもしれないです。近年だと、たとえば、「KAWAII」は、日本語から飛び出して、各国で使われるようになりました。

「デザイン思考」に話を戻します。

「デザイン思考」は、観察により「問い」たてを行って、そして、人間中心にものごとを考え、解決策を導くことを重視します。これらには4つのステップがあります。

デザイン思考は、4つのステップ

デザイン思考は基本的に、次の4つのプロセスで構成されています。

デザイン思考 4つのプロセス

①デザインリサーチ(観察/インタビュー)
②シンセシス/問いの設定
③ブレスト&コンセプトづくり
④プロトタイピング&ストーリーテリング

①発散→②収束→③発散→④収束を繰り返して、問い立てと解決策の提示を一気通貫で行うながれです。

①デザインリサーチ(観察/インタビュー)では、徹底的な観察を行います。インスピレーションやアイデアの種を大量にあつめるぞ!というモチベーションが大切です。はじめはなかなか難しいものです。無意識を意識的に観察することが求められます。あたりまえに処理していたことがらに、もう一度スポットライトをあてて、見ることを心がけます。「類推思考」で遠いものごとと結びつけてみたり(緊急治療室のデザインにモーターレースのピットインのアイデアを用いる)、「エクストリームユーザー」「エクストリームノンユーザー」を比較してみる、インタビューでは1問1答ではなく「対話」を意識するなどをやってみるのもいいでしょう。

②シンセシス/問いの設定では、いいサイズの問いを意識します。過度に抽象化しても具体化してもダメで、チームでアイデアが浮かびそうないい具合を目指します。例えば以下の例ですと、2番が「いい具合」です。
1)アイドルを売り出して、CDの売上を前年比130%にできないか?
2)ファンとの距離が近く、より親近感を持てるアイドルグループを売り出せないか?
3)握手会を定期的に開催したり、ファンの投票によるランクづけをしたりする大所帯のアイドルグループを売り出せないか?

そういえば、過去の投稿「【事業アイデアの生み出し方の決定版!】創造力を民主化する|永井翔吾」で取り上げた書籍『想像力を民主化する』でもこれに似たはなしがありました。うまく課題レイヤーをコントロールすることが、創造力を高める秘訣として語られていました。

①と②が特に大切ですね。ここをしっかりと進めておけば、後々につづく③と④が豊かになると思いました。

デザイン思考に大切なのは、主観

デザイン思考は、観察で得た主観を重視したアプローチです。

天才や中二病や独裁者じゃなくても、自分を信じるべき

自分の意見、見立てということが特に重要だといいます。「わたしは/ぼくは、こう思う!」という着想をないがしろにしてはいけません。そのためにも自分に自信を持ちたいものです。

「自分には、周囲の世界を変える力がある」という自信。
「自分にはなにかを生み出し、実行する力がある」という自信。
「自分の考えってイケてるぞ、みんなに聞いてもらおう」と思える自信。

これらなどを総称してIDEOでは、「クリエイティブ・コンフィデンス」と言うそうです。創造の自信ですね。

いきなり自信を持てというのも難しく、やっぱりまずはやってみること!が大切だそうです。そのためにも次に掲げる4つのマインドセットを忘れないようにしましょう。

1 曖昧な状況でも楽観的でいること
2 旅行者/初心者の気分でいること
3 常に助け合える状態をつくること
4 クリエイティブな行動を信じること

まとめ

  • デザイン思考とは?――デザイン思考は、観察により「問い」たてを行って、そして、人間中心にものごとを考え、解決策を導くことを重視します。
  • デザイン思考は、4つのステップ――①デザインリサーチ(観察/インタビュー)→②シンセシス/問いの設定→③ブレスト&コンセプトづくり→④プロトタイピング&ストーリーテリングで、発散と収束を繰り返します。
  • デザイン思考に大切なのは、主観――主観を大切にするために、「クリエイティブ・コンフィデンス」を持ちましょう!そのためにも、日頃からマインドセットをひらきましょう。

著者が残念な例として、マイナンバー制度をあげていました。たしかにとてつもなく使いづらい。人間中心ではなく、管理システム中心で作られてしまっているからだそうです。自分たちの社会をどうしたら、よりよくできるのか?自信をもって問いと仮説を語っていきたいと思いました。

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