- どうしたら、具体的な両立思考のスキルを身につけることができるでしょうか!?
- 実は、やってみるというのが、最もシンプルで有効な手段かもしれません。
- なぜなら、成功も失敗も内在しているのが、両立思考であるともとらえられるからです。
- 本書は、これからの時代にかかせない、両立思考に関する1冊です。
- 本書を通じて、複雑なものごとの中で、新しい方向性を提示する力を養えます。
動態性を磨け!?
前回の投稿「【両立には「パーパス」が不可欠!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」に続き、今回もこちらの1冊『両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ』をご紹介していきたいと思います。
前回までは、両立思考とはなにか、両立思考のためには、パーパスを見いだすことが有効であることなどを確認してきました。今回の投稿では、3つの手段について詳しくご紹介したいと思います。
パラドックスを乗りこなす際の不快感に対応するために、まずは間を置いてみよう。
間を置く
人は、問題に直面した時、焦りを覚えます。それは、太古の昔から感じていることで、なんらかの問題=死という連想をしてしまうのでしょう。これは仕方のないことです。だからこそ、自分はそういう反応をしがちなのだと言うことを、客観視して、冷静に対処する必要があります。
間を置くとは、そういうことです。
一呼吸置けたところで、3つのティップスを活用していきましょう。
1)反応を測定しながら実験を繰り返す
2)セレンディピティへの備え
3)アンラーニングの学習
この3つです。
この3つは、「動態性」に繋がります。「動態性」とは、ダイナミクスのことです。ものごとを柔軟にとらえ、自分自身も柔軟に活動し続けることで、ダイナミックな視点に基づく活動を積み上げていくことができます。択一的にものごとを「英断」するのではなく、全体をとらえながら、両立思考的活動を続けられます。
「動態性」のあり方として、ウェンディ・スミスさん、マリアンヌ・ルイスさんは、トヨタの組織的な特徴を取り上げます。
動態性の実践を示すために、組織の例としてトヨタを考えてみよう原注6。大薗恵美、清水紀彦、竹内弘高は、パラドックスの活用が同社の継続的な創造力と成功を育むカギになっていることを発見している。著書『トヨタの知識創造経営』(日本経済新聞出版、2008年)で、大薗らはトヨタの戦略に影響を与え、成功を牽引した6つのパラドックスを指摘する。
動態性を組み込む
- 少しずつ前進するが、時おり飛躍もする
- 倹約を徹底するが、大盤振る舞いもする
- 業務の効率性が高いが、重複も多い
- 安定を目指すが、同時に現状を疑ってかかる
- 官僚的な階層組織を尊重する一方で、反対意見を自由に述べさせる
- コミュニケーションを単純化しているが、コミュニケーション・ネットワークは複雑である
これらは、両立思考がトヨタの企業文化の根底にあることを示唆します。こうした、いずれのスタンスも取りうる状況は、組織に柔軟性を与えます。あらゆる変化に対して柔軟性を担保する、冗長性を持つのです。
3つのティップスとは!?
具体的に3つのティップスを見ていきましょう。
1)反応を測定しながら実験を繰り返す:小さく、頻繁に、低コストで新しいアイデアを段階的にテストし、フィードバックに学び、前進すると、不確かさを経験しているあいだにも組織を推進することができます。
2)セレンディピティへの備え:備えている人に訪れる幸運を通じて、イノベーションと変化の可能性を、よりうまく広げられるようになります。さらに、意図的な探索によって、チャンスを経験または創出する立ち位置に身を置き、チャンスに取り組むマインドセットを備えておくことができます。
3)アンラーニングの学習:パラドックスは動態的で、知っていることを常に考え直し変化させることを求める。そうするためには、既存の確かさを手放す心構えが必要になります。
これらの工夫を通じて、私たちは、AとBの両立を検討することが可能になります。
競合する要求に直面した時、「AとBのどちらを選ぶか」の代わりに「AとBの両方にどうやって取り組むか」と問うことができる。
問いを両立思考にリフレーミングする
リフレーミングを大切に!?
両立思考を継続するためには、ものごとに対して新しい見立てを常にしていくことが欠かせません。ものごとは常に揺れ動きながら、状況を変化させています。私たちは、環境を見ると止まっているように見えるものでも、それは常に移ろいでいます。私達自身も移ろいでいます。実際に細胞は常に入れ替わっており、新しい自分になり続けていると言っても過言ではないでしょう。
常に状況をリフレーミングして、新しい解釈をし続け、行動を止めないことが、両立思考には欠かせないものとなります。
1回目の投稿「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」における、ラバも綱渡りも、新しい見立てによって生み出されていくはずです。
動態性には、学習に拍車をかける行動、適応を可能にする行動、競合する要求の継続的な切り替えを促す行動が含まれる。
動態性を組み込む
常に変化を是としてながら、成長を続けていきましょう。その先に、両立思考が実践として立ち現れるはずです。成長に関しては、こちらの1冊「【1日の成長へ!?】人生の成功とは何か|田坂広志」もぜひご覧ください。多くの刺激を得られます。
まとめ
- 動態性を磨け!?――ダイナミクスなマインドセットと活動を大切にしましょう。
- 3つのティップスとは!?――実践を繰り返す、セレンディピティへの備え、アンラーニングです。
- リフレーミングを大切に!?――常に変化し成長を止めないことが大切です。