- どうしたら他者とより良いコミュニケーションを取ることができるでしょうか!?
- 実は、「自他尊重」が大切な視点かも。
- なぜなら、対話とは、フラットな関係性の中で育まれるものだからです。
- 本書は、「自他尊重」をアサーションという考え方で説く1冊です。
- 本書を通じて、自己主張、他者理解にとどまらない、コミュニケーションの奥行きを知ります。
アサーションとは!?
どうしたらよりよいコミュニケーションを行って、円滑に人間関係を構築していくことができるでしょうか。コミュニケーションは、相手があることなので、どのように展開されるかが難しいものです。状況や相手によってうまく話せて意思疎通できることもあれば、そうでないことも多くあります。
コミュニケーションがうまくいかないときや人間関係が難しいとき、「アサーション」を理解すると、関わりを建設的に変えることができます。
はじめに
アサーションとは、なんでしょうか?
アサーションとは、一言で訳すことができれば、「自他尊重の自己表現」ということになるでしょう。言い換えれば、「自分も相手(他者)も大切にする自己表現」という意味になりそうです。
アサーションには、自己表現という表現の方法を定義するニュアンスもありますが、本当に大切なのは、「自他尊重」のスタンスということになります。単純な「言い方」ではなく、相手とどのようなコミュニケーションを成り立たせれば、よりよいかを考え続ける「考え方」とでも捉えてみるとよいでしょうか。
たとえば、こんなことがないでしょうか。
- 自分や相手の状況によって、言いたいことが言えない。
- 言いたい気持ちがあって、それに気づいているのに、言い方がわからない。
- 自分でも言いたいことがはっきりしない場合もある。
などなど。
あるいは反対にこんなことも日常生活にはあります。
- 言いたいことが言えたとしても、相手を不愉快な思いにしてしまった。
- 相手を傷つけてしまったような気がする。
などなど。
ここで大切なのが、アサーションによるマインドセットづくりです。アサーションのマインドセットを深く知るために、自己表現にはタイプが有ることを知りましょう。
アメリカの心理学者であるJ・ウォルビィは、「人間関係における自己表現」には大きく3つのタイプがあると言いました。
1)自分よりも他者を優先し、自分は後回しにする自己表現。
2)自分のことだけを考えて行動し、時には他者をふみにじることにもなる自己表現。
そして、
3)1と2のバランスをとも言える自己表現。
3がキーです。そしてそれが、アサーションのマインドセットです。自分のことを「まず」考えますが、他者のことも配慮する自己表現を目指します。
アサーションのコツとは!?
アサーションのマインドセットが理解できたところで実践のための行動指針を知りましょう。
大切なポイントは、2つです。
1)自分の考えや気持ちを捉え、それを正直に伝えてみようとする。
2)伝えたら、相手の反応を受け止めようとする。
コミュニケーションでは、「聴く」と「話す」の役割がとても大切です。そしてこれらを有効に使い分けながら、自他尊重を構築していく活動自体を、コミュニケーションと読んでみましょう。
とくに、相手を「聴く」ということは、実は、難しいかも知れません。
本当に言っていること、あるいは、言わんとしていることを感じながら、相手の反応をはかるからです。案外、話し方についてのレクチャは多くあるのに対して、聴くことに対してのレクチャってないんですよね。話すことが意識的であるのに対して、聴くことが相対的に無意識だからでしょうか。口は意識しないと言葉を発しないですが、耳は開きっぱなしなので意識下になくても聞くこと自体はできますね。
よりよい聴き方については、こちらの1冊「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる|ケイト・マーフィ」も大変おすすめです。
アサーションというマインドセット・スキルセットを駆使して、自分が話したいことを「非主張的」にも、「攻撃的」にもならずに、なるべく素直に、率直に伝えると同時に、話した後には、相手の反応を待ってみましょう。
アサーションとは、自分の思いを正直に、率直に、なるべく相手に分かりやすいように伝えることですが、相手も同じように自己表現をすることを前提としています。
第1章 アサーションとは時分も相手も大切にする自己表現
アサーションを実行していると、互いの考えや気持ちの類似点や違いについてきちんと表現すると同時に、関心を寄せて理解しようとします。
自他を大切にするとは!?
友人とお茶でも飲みながら気軽に話をしたいと思って、「お茶を飲みに行かない」と誘うことはアサーションです。すると友人から「いきましょう」と同意されることもあれば、「いけません」と同意されないこともあるでしょう。大切なのは、その反応のいずれに対しても、きちんと対応をするということです。
アサーションは、すなわち、「人として誰もがやってよいということ」を認め合う動きです。
1.私たちは誰もが自分らしくあってよい
2.人はだれでも自分を気持ちや考えを表現してよい
3.人間は過ちや間違いをし、それに責任をとってよい
この考え方を身に着けて、自他ともに大切にできるコミュニケーションの在り方を毎日の活動で積み上げてみるのはいかがでしょうか。
自己表現をしてよいのだ、ということを知っていれば、人の意に反したことは言ってはならないとっか、困ったことを伝えたり助けを求めたりしてはいけないということを思わないで、「どう伝えるか」ということを考えることができるでしょう。
助けを求められたら断ってはいけないとか、不快な気持ちを押し出してはいけない、という先入観からも逃れられます。
大切なことは、私たちが、幼い頃から今に至るまで、コミュニケーションの先入観を育んでしまっている点に気づき、そしてもっと自由に、自他を大切にするコミュニケーションの在り方を追求してもよいのだという、ポジティブな解釈を持つことです。
自己表現すれば、「本当の自分の気持ち」が分かる
第2章 「人として誰もがやってよいこと」を認め合う
葛藤を恐れてはいけません。自分も、相手も、感情や思っていることを押し殺していては、何も始まりませんし、それは自他双方を大切にしているとは、言い難いものです。葛藤や違いが明らかになることを避けていれば、その場は何事もなかったように思えるかも知れませんが、誤解の上に人間関係が作られていくようになります。
自分も、そして他の人も自己表現をすれば、互いに自他の違いや類似点が見えてきます。明確になればなるほど、互いに、自分の感じ方や意見を変えることにも同意することもやりやすくなるのです。
次回の投稿では、さらにアサーションから深堀りをして、考え方をアサーションにしていくコツについてレビューを続けてみたいと思います。
まとめ
- アサーションとは!?――自他尊重のコミュニケーションをする心構えと方法論です。
- アサーションのコツとは!?――自分の考えに素直になり、相手の反応を確かめ続けることです。
- 自他を大切にするとは!?――葛藤や違いを恐れることではなく、それも受け容れる覚悟を持つことです。