- 成長を支援するコーチングには、どんなスタンスが大切でしょうか。
- 実は、「思いやりのコーチング」のスタンスがキーポイントになるかも。
- なぜなら、内在する気持ちに火をつけていくアプローチだから。
- 本書は、誘導型のコーチングではなく、相手の意識を覚醒させるコーチングアプローチ関する1冊です。
- 本書を通じて、互いにさらにより良い関係を構築するヒントを得ることができます。

大切なコーチングのスタンスとは!?
コーチングというアプローチが注目されています。コーチングを行うことで、3つの効果を生み出すことができます。
1.相手はパーソナルビジョンを見出し、あるいは再発見し、情熱の対象、パーパス、価値観などを明確にすることができる。
2.行動、思考、感情に変化が生じ、それによって理想の実現に近づいていることを実感することができる。
3.人生において支えてくれるほかの人々とも「共鳴する関係」を築き、その関係を維持することができる。
これらのメリットは測りし得ないものがあります。というのも、自らの意志をもって、行動を喚起し、人生において中な人脈というリソースを獲得し続けるポジティブなサイクルを期待することができるためです。
自らのマインドセットを明らかにすることは、これからの時代においてとても大切なことです。国や会社が、ものがたりを提示してくれなくなっている(社会全体が、ゼロベースで豊かなものがたりを志向している)ため、自らの想いを確認し、見える化し、それに基づき行動を続けること自体の意味が、高まっていると考えられるからです。
よって、ゼロベースで意志を見出すことがコーチングの最初のステップになります。「間違いを正す」ことがコーチングではないのです。このスタンスの違いを以下の表で確認してみましょう。
誘導型のコーチング | 思いやりのコーチング | |
---|---|---|
刺激するモチベーション | 外部からの期待への反応 自分自身の弱みや課題の克服 | 自分自身のありたい姿の体現 自分自身の強みの自覚 |
活性化される脳内および 体内の箇所 | 脳の問題解決ネットワーク +交感神経 | 脳の共感ネットワーク +副交感神経 |
脳内に分泌されるホルモン | アドレナリン ノルアドレナリン | オキシトシン バソプレシン |
付随して起こる感情 | 不安や義務感と行った防衛的で ネガティブな感情 | 変化や学習、コラボレーションに 対するオープンでポジティブな感情 |
生み出す成果 | 迅速な問題解決 | 自ら望む姿への持続的な変化 イノベーションやコラボレーションの活性化 |
変化の持続性 | ストレス反応を引き出し 変化が持続しない | 主体的な変化が持続する |
私たちの大半は、「問題解決」のアプローチを取ってしまうということを知る必要があります。仕事や家庭において、問題が起こっている状態は、本能的になんとか解決しないといけないこと、として、強く印象付けられます。人は、動物なので、まず、とにかく刺激されやすいのが生存本能だからです。問題をより色濃く認識し、その排除や解決に向けて、努力するようにプログラミングされています。
無意識の状態でもとくに問題を好むように自らの考え方を調整していきます。そのために、思いやりのコーチングスキルを駆動させるときには、ポジティブなマインドセットに意識的になる必要があるでしょう。
問題を正そうとするのは間違った方法なのだ。
思いやりのコーチング
意識を引き出す時に、問題を解決するようなアプローチを取るのではなく、思いやりに溢れたアプローチによる、持続的な関係性を構築することに注力してみましょう。
コーチこそ変化を!?
コーチ自身が、絶えずインスピレーションを受け取っている必要があります。コーチングとは、伝染するものだからです。先生と生徒のような一方的な関係性を想定してみることが大切かも知れません。コーチをデリバリする人も絶えず変化を繰り返すし、その変化に応じて、相手方の変化も絶えず引き出されていくのです。
コーチをはじめ、他者を支援しようとする人なら誰でも、まず自分がインスピレーションを受けていなければならない。
思いやりのコーチングはなぜうまくいくのか
コーチ自身が、自分の感情を理解し、自分のパーソナルビジョンへの展望をもっておく必要があることは言うまでもありません。その視点が支援する人とされる人のあいだにできる、真の人間関係のための基盤となるからです。
互いが共鳴される関係の特徴というのは、次の3つで表現できます。
1.マインドフル――自己認識が高く、自身の感情のコントロールをできる状態にあります。
2.希望を喚起する――マインドフルなマインドセットで、本当の自分を見つめることが可能になります。
3.思いやりを示す――真に相手のスタンスからものごとをみることです。
希望を互いに共有できるコーチは、常に相手に全力で意識を向け、その相手と関係性のために時間を使うことに意識的になることができます。こうしたコーチは、常に自分自身に意識を向けながら、自分の考えや感情を意識することができます。
しかし、そうした意識が相手にオーバーラップしないようにもしています。そのおかげで、相手と真の関係を構築することが可能になります。
コーチされる側は親友と話をしているかのうようなゆったりとした心地よさをたびたび感じる。
共鳴とコーチング
とても重要なことは、自らのビジョンや感情や考えを持ちながらも、それを相手に押し付けない線引です。また、常識からも一定の距離感をもった付き合い方ができるかどうか、も、よりよいコーチングのために必要なポイントとなります。誰かを支援するには、「ものごとはこうあるべきだ」という先入観を眺められる、視点の高さがキーになるのです。
大切なことは相手が何を感じ、何を考えているのかを、深く見つめることです。しかし、その着想や見立ては時に、誤って捉えてしまうこともあるでしょう。思い込みを極力排除するためにも、常識や先入観というフィルターで状況を見つめることを忘れないようにしましょう。
自分の考えに俯瞰した視点を持つためには、こちらの1冊「【頭がいいは、視点で決まる!?】メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける|澤円」もぜひご覧ください。おすすめです。


変革のステップを進めよう!?
望ましいコーチングのあり方を考えていく時、次の5つの要素をケアしていくことが大切です。
1)理想の自分
2)現実の自分
3)学習アジェンダ
4)新しい行動の実験と実践
5)共鳴する関係と社会的アイデンティティ・グループ
1と2を把握することで、ギャップを認識することができます。そのギャップをうめるように3を想定し、4に移っていきます。その過程で、よい出会いを通じて5を獲得していくという流れです。この5つの要素は相互に関連しています。意図的変革のプロセスと呼びます。
私たちが本書で強調してきた一番のテーマは、パーソナルビジョンを用いてポジティブな感情を呼び起こすことである。
夢への招待状
変化には、理想と現実のギャップを認識することから始めることは不可欠であるようです。まずは自分を見つめ、いかにしたらより良い世界観を見出していけるのかをケアしていきましょう。その時に、コーチングの存在はとても効果的です。よくわかるようでわからない自分という存在を見つめていくためには、他者の存在という写し鏡は大切だからです。
写し鏡については、こちらの1冊「【対話こそが変革を生む!?】企業変革のジレンマ「構造的無能化」はなぜ起きるのか|宇田川元一」も是非ご覧ください。変革の際に重要な対話の概念が詳しく説かれています。

まとめ
- 大切なコーチングのスタンスとは!?――思いやりのスタンスを崩さないことです。
- コーチこそ変化を!?――絶え間ないトランジションが、相手の変化を喚起します。
- 変革のステップを進めよう!?――5つの要素をケアしながらコーティング対話をしていきましょう。
