- どうしたら「しなやかマインドセット」を育てることができるでしょうか!?
- 実は、ものごとの捉え方を修正させることが大切かも。
- なぜなら、能力を固定的に考えない先入観を払拭し、成長を信じることが大切だから。
- 本書は、キャロル・ドゥエックさんによるマインドセットと成長に関する研究成果です。
- 本書を通じて、どのような心がまえがよりよい人生のために大切か、知ることができます。
「しなやかマインドセット」については、前回の投稿「【あなたは硬直型!?それとも、しなやか型!?】マインドセット:「やればできる!」の研究|キャロル・S・ドゥエック」をご確認ください。
しなやかマインドセット vs 硬直マインドセットの子ども!?
それぞれのマインドセットを持つ子どもへのQAを比べてみましょう。どちらが、しなやかマインドセット、硬直マインドセットなのか、わかりますか!?
Q お母さんやお父さんが、宿題を見てやろうと言ったとします。どんな気持ちからだと思いますか?
A 宿題をやっているのを見て、ぼくがどれくらい頭がいいか確かめたいから。
Q あなたが良い成績を取ったのを、お母さんやお父さんが喜んだとします。なぜだと思いますか?
A ぼくが頭のいい子だとわかったから。
Q 成績が振るわなかった科目について、お母さんやお父さんがあなたと話しあおうとしたとします。どんな気持ちからだと思いますか?
A ぼくは頭が良くないんじゃないかと心配だから。成績が悪いのは賢くない証拠かもしれないと思っているから。
もうひとりのQAがこちら。
Q お母さんやお父さんが、宿題を見てやろうと言ったとします。どんな気持ちからだと思いますか?
A 宿題からできるだけたくさんのことを学んでほしいから。
Q あなたが良い成績を取ったのを、お母さんやお父さんが喜んだとします。なぜだと思いますか?
A 良い成績がとれたのは、一生懸命に頑張った証拠だから。
Q 成績が振るわなかった科目について、お母さんやお父さんがあなたと話しあおうとしたとします。どんな気持ちからだと思いますか?
A もっとうまい勉強方法を教えてやりたいと思っているから。
2人目がしなやかマインドセットを持つ子ですね。しなやかマインドセットは、能力は固定的でないと知っています。努力や行動次第で、能力は磨かれていき、継続的に成長することが可能だと知っているのです。
しなやかマインドセットの根底にあるのは、「人は変われる」という信念である。
第8章 マインドセットをしなやかにしよう
では、どうしたら、しなやかマインドセットのクセを作ることができるでしょうか。
子どもの教育から学ぶ・・!?
著者で、研究家であるキャロル・ドゥエックさんは、子どもに対する声かがけにヒントがあるといいます。子どもに対して向き合う大人を想像しながら、自分に対してどのような声がけ(思考の癖づけ)をすればいいのかを探っていきましょう。
キャロル・ドゥエックさんの実験では、テスト(問題)を子どもに継続して受けさせて、採点後の声がけを変えて、その後の行動を比較しました。子どもが次に受ける問題は、難易度を選択できるようにしました。
グループA)「おお、8問正解。よくできたね。頭がいいね!」
グループB)「おお、8問正解。よくできたね。頑張ったんだね!」
グループBは、その9割が新しい問題にチャレンジングしたといいます。
学べるチャンスを逃さなかった。
第3章 能力と実績のウソホント
グループAは、失敗を避けるためにより簡単な問題に流れました。つまり、結果的に、知能をUPするチャンスを逃したのです。本調査は、知能検査の問題を用いて行ったそうで、能力を褒めると子どもの知能が悲しくも下がったことになったそうです・・一方で、努力をほめると生徒の知能が上がる結果となりました。
子どもに「あなたは頭が良い」と言ってしまうと、その子は自分を賢く見せようとして愚かなふるまいに出るようになる。私たちはそんなことを望んで「頭が良い」「優秀」「才能がある」とほめるわけではない。子どもからチャレンジ精神を奪い、成功への道を閉ざしてしまおうなんて、そんなつもりは毛頭ない。けれども、実際にはそういう結果につながる危険をはらんでいるのである。
第3章 能力と実績のウソホント
努力と成長に注目したメッセージを送りましょう。子どもが何か素晴らしいことをしても褒めてOK。ただし褒め方が大切で、知的能力や才能を褒めるのではなく、その子がどれだけ自分が頑張ったのか、その過程にフォーカスできるよう支援になるような褒め方をしましょう。
ほめるときは、子ども自身の特性ではなく、努力して成しとげたことをほめるべきだ
第7章 教育――マインドセットを培う
しなやかエクササイズ!?
子どもへの褒め方は、大人自身へのフィードバックにも役立ちます。自分の成長を信じるために、自分の才能を所与として見ないようにしてみましょう。自分は努力や活動・行動次第で、成長し続けることができることを認識するのです。
いくつかの思考のエクササイズをしてみましょう。
- 憧れの人物を思い浮かべて、その人の隠された努力を知りましょう。とてつもない努力とその時間を想像するのです。
- 人が自分より優れた業績をあげたときのことを思い出してみましょう。才能の差ではなく、やり方が優れていたから、研究熱心だったから、懸命に練習したから、つまづいてもくじけなかったからできたのだと思うのです。
優劣や善悪の判断をくだすのはやめて、教え導いていこう。今まさに学んでいる最中なのだから。
第7章 教育――マインドセットを培う
子どもに向けられる全ての言葉に、親のメッセージが含まれるのと同じように、自分自身にかける言葉の全てに自分の暗黙のメッセージが込められていきます。自分の深層心理が、自分に暗示をかけ続けるスパイラル構造になっているのです。
成長を信じましょう。
人間の脳はまだ神秘に包まれており、知能や脳の働きについてはわかっていないことがたくさんあります。知能と言うと、人間には頭の良い人、普通の人、悪い人がいて、一生そのままだと思っている人が大勢いますが、最近の研究でそうではないことがわかってきました。
第8章 マインドセットをしなやかにしよう
脳は、筋肉と同じく、使えば使うほど性能がアップするのです。新しいことを学ぶと脳が成長して、頭が良くなっていくことが科学的に証明されています。
赤ちゃんだって、最初はおしゃべりができないことから、自ら言語を試行錯誤しながら習得していきます。大人だってそうなんです。自分の学習能力に限界を設定するのではなく、成長を信じることが大切です。
赤ちゃんの言語習得の方法については、こちらの投稿「【言語学習は、最強の学習スパイラルシステム!?】言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか|今井むつみ,秋田喜美」もぜひご覧ください。おすすめです。
まとめ
- しなやかマインドセット vs 硬直マインドセットの子ども!?――成長を信じるか否か、決定的な違いが出ます。
- 子どもの教育から学ぶ・・!?――才能ではなく、努力を褒めましょう。
- しなやかエクササイズ!?――自分の深層心理に働きかける問いを自身に投げかけてみましょう。