LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる|ケイト・マーフィ

LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる|ケイト・マーフィ

本来コミュニケーションは話し手と受け手の双方で成り立つものですが、私達は「伝え方」や「話し方」ばかりにとらわれています。相手が伝えようとしていることは何か?に、集中して「聞くこと」が大切です。本当の意味で「聞くこと」ができると、相手に新たな気づきを与えられたり、相手と自分との関係性の向上に役立ち、ひいては自分の人生が豊かになります。

ケイト・マーフィ
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本当の意味で「聞くこと」が、忘れられている。

「話を聞く」とは相手のおしゃべりを待つことだと思っている人が多い。

chapter 1 「聞くこと」は忘れられている

積極的に自己アピールしないと、存在価値がないのは?という不安に駆り立てられる風潮が世の中にあります。こうした先入観に支配されている人は、黙っていることは、つまり、他者に遅れを取ることだと思ってしまうのです。つまり、人の話を聞くことは、自分のブランドを押し出して、名を上げるためのチャンスを逃すことになると捉えられがちです。

一方、いかにして良い聞き手になるか!?といったテーマの本も巷にあふれています。しかし、真の聞くことについて説いているものはほとんどありません。うなずいたり、オウム返しをしたり、アイコンタクトをしたり、そういったテクニックは聞くことではないのです。なぜなら、その裏側には、この方法を実践すれば自分が欲しいものが手に入るという交渉が隠れているからです。

何が相手にとっての核心か?を探ることが、聞くということ。

「聴くこと」の核心は、「何が重要か」を探り当てることです。

chapter 5 「空気が読めない」とはそもそも何が起こっているのか

相手が自分でもわかっていないことを引き出してあげる行為が、本当の意味で聞くことであると、著者は語ります。

話し相手は、必ずしも自分で考えを常にわかっているわけではないのです。優れた聞き手は、それを承知の上で質問を投げかけ、もう少し詳しく話すよう働きかけることで、話し手が答えを自分で気づくように手助けをしてみることです。20世紀の心理学者で、もっとも影響力のあるひとり、カール・ロジャースは、これを「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」と呼びました。

著者が述べるのは、あくまで相手の真意に迫る行為であるという点です。だからこそ、自分が次に何を喋ろう?とか、この人はこんな人だろう!とか、この人だからきっとこんなことを考えているだろう!とか、決めつけてはいけません。自分に無意識のバイアスがあることを理解することも重要なのです。

しかし、なぜバイアスというフィルタを私たちは、もっているのでしょうか。それは、この広くて複雑な世界を手っ取り早く理解するための処世術なのです。大雑把な先入観を持っていれば、新しい刺激をいちいち細かく分析に時間と労力を使わずに済みますからね。

本当の意味で聞くことは、このバイアスさえも取り払って、新たな出会いを自分と他者にもたらすことにつながるのです。

聞くことは、豊かな人生への近道。自分にとっても、周りの人に対しても。

人の口から出てくる言葉ほど意外なものはありません。たとえそれが、よく知っていると思っていた相手であっても。実際に自分の口から飛び出た言葉に驚かされた経験がある人もいるのではないでしょうか。

chapter 3 聞くことが人生をおもしろくし、自分自身もおもしろい人物にする

生きた実感をいちばん味わわせてくれるのは、小さな気付きの積み重ねかもしれません。

そして、小さな気付きが他者や自分との間、つまりコミュニケーションの中で起こったときのささやかな喜びは、なんとも言えないものがあります。こうした日々のやりとりや活動の積み重ねが、私たちを形作っていきます。

世間とはこういうものだという自分の理解も、日々少しずつ変化します。耳を傾けることから、自分と外の世界との関係性が少しずつ変わり、そして成長をもたらします。

直感や第六感と呼ばれるものは、実は気づく力でしかない、と言われます。

chapter 10 話にだまされる人、だまされない人

多くの人の話を聞けば聞くほど、人間が持つ多様な側面に気づくようになり、直感も冴えます。これは、いかに幅広い、意見、態度、信念、感情に触れるかによって決まる、実践的なスキルです。

その人が、変わっていく過程に気づくこと、その過程に加わりたいと思うことほど以上の愛があるだろうか?と著者は語ります。自分本位ではなく、相手ありきで話を聞くことに尽きるのです。

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話すことのトレーニングはたくさんあるのに、なぜ聞くことのトレーニングはないのか?これは私にとって目からウロコでした。聞くことこそが、他者に良い影響を与え、そして他者が変わっていくきっかけとなると著者はあくまで、相手目線で語ります。まさに聞くこととは、「愛」であるのだと、気づかせてくれる一冊だと思います。コーチングや心理セラピストの界隈で注目されている書籍ですが、私は、ごくごく普通の一般の方にとっても、人間関係の作り方を考えるきっかけを与えてくれる良書であると思います。

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