【哲学とは、媚薬である!?】フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書|シャルル・ペパン,永田千奈

フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書
  • 生き方を考えていくには、何が大切でしょうか!?
  • 実は、哲学にふれることかも。
  • なぜなら、哲学には、「道を逸脱させる」力があるためです。
  • 本書は、シャルル・ペパンさんによる哲学への導きの1冊です。
  • 本書を通じて、哲学の思索に触れ、自身や社会を見立てる視点を得られます。
シャルル・ペパン,永田千奈
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哲学的に自分を捉えてみると!?

相互主観性という考え方があります。これは、「わたし」の存在をどのようなものとして捉えるのか、視点を提供してくれるものです。通常「わたし」といえば、確固たる自己があり人格のある個性を主体を指すように感じます。しかし、相互主観性というのは、他者あるいはほかのものごととの関係性の中に「わたし」を見出します。「わたし」ははじめから確固たるものではなく、他者やものごととのふれあいの結果、生まれるという考え方です。

主体は、独立して定義されるともいえるし、相対的なものであるともいえる。

1|主体 「私」は私いとりだけのものか、それとも他者との関係で定義されるものか

自分が何者であるかをしるために、他人の存在が必要であるのならば、「自意識」の意味が変わってきます。意識は他者との出会いを前提とするのです。主体は「主観的な意識」にすぎず、ぼんやりとした感情としてしか自分を意識することができないということになります。

これらの考え方、「わたし」の捉え方を発展させてきたのは、サルトル、メルロ=ポンティ、あるいはヘーゲルです。

「わたし」という主体がその存在意義を客観的に認識する方法を示唆します。他者との関係性を見つめることで、「わたし」が立ち上がってくる感覚を持ちながら、人生もキャリアも、あるいはブランドの支援や企業の経営なども行ってみると、それはまた新たなビジョンを構築することになるかも知れません。

こうした考え方に符合する仏教の考え方が「縁起」でしょう。仏教でもすべてのものごとがつながっているからこそ、良い行いをしていると良い方向へ、悪い行いをしていると悪い方向へ、というつながりを説きます。こちらの1冊「【仏教の教えを一言でいうと!?】完全版 仏教「超」入門|白取春彦」もぜひご覧いただきながら、哲学との思想のリンクを体感してみるのもとてもおもしろい読書体験になります。

あるいは、こちらの1冊「【本当のあなたの「個性」はどこにある!?】私とは何か「個人」から「分人」へ|平野啓一郎」の分人の考え方にも触れる視点でもあります。

欲望とは!?

欲望は他者のマネをするようになることもあります。「わたし」は他人が求めるものを欲しくなります。さらには、欲望を抱くためには「他者」が必要だということになります。

また、わたしが抱いた欲望の意味を、他人が承認してくれなければ、私はその欲望の「主体」として認められないということにさえなるのです。

欲望が満たそうとするところまでは動物と同じだが、人間は、欲望が満たされるだけでは満足できない。人間はそれ以上のことを求める。

1|主体 「私」は私いとりだけのものか、それとも他者との関係で定義されるものか

欲望が満たされて、さらにその欲望が他者によって認められること、欲望にこめられた「意味」が理解されることを望みます。

欲望に際限はないかも知れませんが、この点を俯瞰して見つめることの大切さも仏教は説いています。煩悩という言葉で表現されますが、欲望に悩まされている状態に気づき、理解し、そこから解放されると人は本当のラクを手に入れると言います。

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生き方とは!?

主体が相互主観性によるものならば、「主体」は生きている間ずっと、新しい出会いがあるたびに、再定義され、方向を変え、修正されていくことになる。

1|主体 「私」は私いとりだけのものか、それとも他者との関係で定義されるものか

他者との出会いのなかで「主体が」新たな価値を得ていくことができるのは「生きている間」だけであり、時間という概念にも特別な意味が生まれます。

生きている限り、人は自由で、常に変化します。そして、死んではじめて「運命」が決まる。という考え方です。「運命」とは、終わりであり、死であるのですね。

当初から規定されていないという考え方は希望でもあり、自分の手で自分の人生を作っていこう!というマインドセットを養ってくれる考え方です。

能力を固定的なものだと捉えるか、あるいは、可変のものであると捉えるかについて研究したドゥエック先生の論文を思い出します。詳しくはこちらの1冊「【あなたは硬直型!?それとも、しなやか型!?】マインドセット:「やればできる!」の研究|キャロル・S・ドゥエック」をぜひご覧いただきたいのですが、能力は可変だととらえるしなやかマインドセットの人は、よりよい結果を先入観なく作っていくことができるというものです。

たとえば、哲学者に「本当になりたいものは、なんなのか・・どうすればわかりますか?」と問うたとしましょう。哲学者にこんな質問をしたら、内省や論理的な考察を推奨され、世間の喧騒から離れて、自身のうちなる欲望に耳を傾けよ、というような答えが返ってくると思っている人が少なくないのでは?

でも、それは誤解です。

デカルト、ヘーゲル、アラン、サルトルなど何人もの哲学者、かなりの数の哲学者がそれを知る手ては、「行動を起こすこと」であることを指摘しています。

その選択がただし以下否かを知るにはまずひとつの道を選んで歩き出すしかないとしている。

1|主体 「私」は私いとりだけのものか、それとも他者との関係で定義されるものか

自分が何を目指すべきか本当の意味で知ることは難しいです。でも、何が正しいかわからなくても自分で選ぶことはできます。それが自身の強みになります。

哲学は、ことのしだいで毒にもなれば薬にもなる「媚薬」だと考えられていると、本書の著者シャルル・ペパンさんは語ります。使う人の心構え次第なのです。「道を逸脱させる」力、「常識や自然界の法則、習慣から外れさせる」力をもっています。ここには危険が伴いますが、当然ながら、いつもの道を外れるということは、自分の存在を問う、1つの賭けがあります。

哲学に触れながら、自分や自分が生きる社会について考えを巡らせる機会を得ることも、よりよい人生を見出す創り出すヒントを得ることになるでしょう。

まとめ

  • 哲学的に自分を捉えてみると!?――他者との関係性の結果という見立ても得られます。
  • 欲望とは!?――他者の存在がなくては欲望を認識できません。
  • 生き方とは!?――哲学に触れながら、行動を起こし続けていきましょう。
シャルル・ペパン,永田千奈
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