- どうしたら、よりよく子育てができるでしょうか!?
- 実は、家庭内でのコミュニケションが大切かも。
- なぜなら、子どもにとって「親が話す言葉」がもっとも価値あるものだからです。
- 本書は、生きる力を養うための子育てについて説いた1冊です。
- 本書を通じて、家庭内での子どもとの向き合い方にヒントを得られます。
非認知能力とは!?
「テストの結果」や「IQ(知能指数)」などの数値化できる能力“以外の”能力も含めて、生きる力を捉えていくことにヒントがあります。数値化できない能力のことを「非認知能力」と呼びます。コミュニケション力、柔軟性、諦めない力、などなど、実は大人になってからもとても大切な能力は、小さい子ども時代に育まれるといいます。
日本では2020年の教育改革でこうした能力に注目して子どもを育てていくという指針が示されました。日本の学力が落ちていると言われるのも、日本の教育が「学力偏重」に陥っていると指摘されることにもあると、本書の著者ボーク重子さんは指摘します。
また、同時に日本は「先進国の中でも珍しく起業家が育たない国」という不名誉な事実もあります。社会全体で、挑戦的な風潮を養えていないということも一因かと思われますが、数値化できる学力面で過剰に人を測る訓練ばかりを積み重ねていることも、もしかしたら原因かも知れません。人と比べることで、伸びる領域もあれば、過剰に比べることは、創造性や個性を失わせることになりかねません。
こうした子どもの教育については、多くの研究がされていますが、なかなか「なにがいい!」ということを言いづらいのも確かです。子どもの生活環境は変数が多量です。例えば、親の年収や暮らしぶり、生活する街、自治体の制度、はたまたその子が固有に持つ遺伝的な要素など、さまざまな要素を考慮しながら、しかも、中長期的に研究を進める必要があり、因果関係を言及するのに、慎重にならざるをえないからです。
しかし、いかに生きるかという研究はとても重要です。というのもこれからは、自分の力で道を見つけ、極めて行く人が、充実感をえられやすい時代だからです。自分の個性ややりがいを突き詰めていけることは、感覚的にはより良いことだとわかっていますが、それが学術的な研究として証明されることは価値があります。
さまざまなアプローチで研究が進められていますが、それらを学びつつも、子どもと実際に接しながら、大人も感じながらアップデートしていくマインドセットが、理想かも知れません。子どものことを考えることは、未来を考えることです。積極的に、引き受けながらパーソナルなレベルでもトライアンドエラーを続けていきましょう。
ボーク重子さんは、ライフコーチとして活躍しながら、プライベートでは子育てにトライアンドエラーをしながら、自らの方法を確立してきました。そんな中で、特に重視していたのは、次の3つです。
1)家庭のルールづくり(世の中にはルールがあることを教え、守らせる)
2)豊かな対話とコミュニケーション(表現する力と自信を養う)
3)思う存分、遊ばせる(遊びの中から問題解決能力を伸ばす)
この3つには、子どもの成長に非常に重要な要素がふんだんに入っています。
第1章 非認知能力とは数字で表せない、豊かな「人間力」と「生きる力」
親子のコミュニケーションがキー!?
大切なのは、親と子どものやり取りを重視することです。子どもは親のことをよく見て、聞いています。子どもなりに、親の様子を見て、どうしたらいいのか、どこまでが許されるのか、何が社会のポイントなのかなど、一生懸命に自ら学習しているようにも見えます。
「保護者が話す言葉はおそらく子どもにとって、もっとも価値がるもの」
第2章 ルールをつくる 自立心と自制心を伸ばす枠組み
子どもがルールを守らなかったり、良くないことをした時に、大声で感情にまかせて叱りつけるのではなく、それはやっていけいないことだと丁寧に教えることに努力してみることが肝心です。
また、その時、「**をやってはいけない!」ではなく、「○○をしたほうがいい!」というように、否定ではなく、肯定で語ることで、子どもの素直な行動を引き出すことができます。例えば、「夕食を食べないで、遊んではいけない!」ではなくて、「夕食を食べてから、遊ぼうね」という感じです。
否定的な親の言葉かけは、子どもの能力を抑えてしまいます。大切なのは親の意識と努力です。
子どもに対して、積極的に問いかけて考えるきっかけを作ってあげることも大切です。
- どんな方法があると思う?
- 自分だったら、どうすると思う?
など、子どもが積極的に考えることを促す問いかけをしてあげて、命令をなくして、自発性を育ててあげましょう。子どもを一人の人格ある人として見つめ、対等にコミュニケーションを取る努力をするのです。怒鳴りつけていいことは何もありません。怒鳴ったり、悪い言葉を使ってしまっては、子どもは人の話を聞けないおとなになってしまいます。これは社会的な生き物である人間にとって致命的です。人とともに歩むことができない大人は苦労します。
子どもを褒めることも特に重要ですが、その時、何にフォーカスするかにもケアしてみましょう。大切なのは、子どもが持っている能力ではなく、努力を褒めるということです。能力はなかなか変えることができないのですが(というよりもどうしたら能力が向上するのかが分かりづらい)、行動なら自分で積極的に強化することができます。
子どもが自発性を持って、取り組めることを強化してあげるために褒めるのです。「〇〇ちゃんは、頭がいいね」ではなく、「○○ちゃんは、一生懸命努力したね!」という感じです。
過去の投稿「【あなたは硬直型!?それとも、しなやか型!?】マインドセット:「やればできる!」の研究|キャロル・S・ドゥエック」でもその著書を取り上げさせていただいたドゥエック博士は、次のような実験で努力を褒めることを肯定します。
10代の子どもたちに10問のIQテストを解かせて、2種類の方法で彼らを褒めました。1つ目のグループは、「○点も取ったの、あなたは頭がいいね!」というふうに、子どもの「能力」や「結果」を褒めました。そして、もう一方のグループでは、子どもたちの「努力」や「プロセス」を褒めました。「○点も取ったの、よく頑張ったね!」というふうな感じです。
すると、「能力」を褒められた1つ目のグループの子どもたちは、次のテストで2つの問題を選択する際に、難しい問題を避ける傾向にありましたが、もう一方のグループでは、より難しい問題を自ら選ぶ傾向にありました。このように実は努力次第で、自分の行動を変えられるし、その結果、生まれ持った能力も変えていくことが可能なのです。
そのために大切なのは、子どもも親も、努力を歓迎し、自発的に課題を引き受けながら育っていくマインドセットを持つことです。
挑戦を繰り返していく中で、自己肯定感を高めることができます。自己肯定感が高い人の特徴は、例えば次があげられます。
- 何かを成し遂げようという気持ちが強い
- 悩みや不安を感じて落ち込むことが少ない。また、落ち込んでも立ち直りが早い
- 感情的になることが少なく、いつも精神的に安定している
- 相手の話を素直に聞くことができる
- 仕事や学業、決めた目標などに対して、途中で挫折することが少ない
- 障害があっても、柔軟に対応策を練り、やり抜くことができる
- 自分を素直に表現でき、人のことも素直に受け入れられるため、友人が多い
自己肯定感の高い人は挫折やストレスに強く、やり遂げようとする意思が強いので、結果的に学業や仕事の成果が上がりやすくなります。
自己肯定感を高めるには!?
自己肯定感を高め、子どもが自らの力で人生を拓いていけるようにするために、親子のコミュニケーションを次のポイントに気をつけて実施してみましょう。
1.子どもに頻繁に声をかける
2.子どもの話をよく聞く
3.親が感情に左右されない
4.子どもに感謝する
5.子どもをよく見て、よく褒める
6.子どもを他の人と比べない
7.欠点を治すよりも、長所を伸ばす
8.子どもに決断させる
9.選択肢を用意して、自分で決める力を育む
10.やってあげるのではなく、手本を見せて手伝う
11.子どもの感情が爆発したときは、子どもを責めない
12.あるがままの子どもを認める
世間体よりも、子ども優先です。まずは、子どもをよく見て、よく聴いて、子どもとの信頼関係を作るようにしましょう。
対話の基本はガタイの信頼関係を築くことです。これがなければ子どもは安心して親の前で自分を表現することはできません。そうなると人前で表現する力も自信もなかなか育ちません。
第2章 ルールをつくる 自立心と自制心を伸ばす枠組み
本書の著者であるボーク重子さんについては、こちらもご覧ください。
まとめ
- 非認知能力とは!?――数値化できないが大切な、生きる力です。
- 親子のコミュニケーションがキー!?――親の言葉が子どもを育てます。
- 自己肯定感を高めるには!?――12のルールを参考に、子どもとの接し方を考えてみましょう。