- いま、まず必要な組織のコミュニケーションとはなんでしょうか!?
- 実は、コーチングよりも、カウンセリングかも知れません。
- なぜなら、コーチングというのは目標・ゴールありきのもので、VUCA時代にはその目標すら設定するのが難しいケースが多々あるためです。
- 本書は、数多くの会社の幹部研修などをつとめるコンサルタントの小倉広さんによる、新しい時代のコミュニケーションの方策を説いた1冊です。
- 本書を通じて、組織やチーム内でのコミュニケーションの方法について、新しい視点を得られるでしょう。
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コーチングよりカウンセリングをまず行いたいのはなんで!?
VUCAの時代と言われて久しいです。過去の投稿「【VUCAの正しい備え方とは!?】最強の教養 不確実性超入門|田淵直也」においても、不確実性への正しい対処の仕方について学びました。
変化が激しい時代において、目標を設定するのは難しいことが多くあります。その市場が10年後あると保証できますか?そのターゲットニーズが10年後もあると保証できますか?その市場の代替手段が登場しないと断言できますか?などなど、の難問に答えなければ(答えられないのですが)、明確な目標というのは立てづらいのも事実です。
一時期から、ティーチングではなく、コーチングが注目されています。しかし、いま必要なのは、カウンセリングなのかもしれないと小倉広さんは説きます。しかしティーチングやコーチングが不必要ということではなく、うまく組み合わせるのが重要だといいます。
それはなぜか。
気づきの内容が異なるためです。
カウンセリングでの気づきとは自分でも知らなかった自分の感情や信念・価値観への気づきです。一方でコーチングでの気づきとは、自分が達成したい目標や解決策への気づきです。この違いはゴールの違いから起きていることを理解すると理由が見えてくるでしょう。
1コーチングではこうする
反対にとらえれば、自分の感情への気づきや信念・価値観が見出しにくい、あるいは、あっても覆い隠されてしまう時代なのかも知れません。そういえば、過去の投稿「【これからの働き方の羅針盤!】ニュータイプの時代|山口周」において、そもそもモノにまつわる問題が解決されつくされて、その問題を見つけること自体に意味のある時代になったと、これからの時代を山口周さんは説きました。つまり、働くにも、生きるにも、よりそえる軸を自ら作らないといきづらいということだと思います。
カウンセリングのメリットとは!?
感情や自分の価値観などに対して気づきをえられるカウンセリングですが、それってつまりどんなメリットを享受できることにつながっていくのでしょうか!?
1)感情をしっかりと感じ、表出することで、自分の気持ちに素直になることができる。
2)感情を受け止めてもらえることで、所属意識が高まり、貢献意識が強化される。
3)左脳的なレポートではなく、右脳的なエピソードで、新しい気づきの角度を得られる。
4)ときに、矛盾で硬直している思考に、違う視点を用いることで、スタック状態から抜け出せる。
などがあげられます。
先が読めずゴールすら描けないことを認め受け容れ、その上で上司と部下が二人三脚で試行錯誤を重ねていく、カウンセリングこそが求められる時代なのではなからろうか。
はじめに
こうした二人三脚を通じて、カウンセリングでは、自分でも気づいていない本当の自分の存在に気づき、それらを統合して、全人格的な成長=自己実現を目指していくことが、志向されます。
カウンセリングを進める5つのステップとは!?
そんなカウンセリングですが、どのように進めていくのが良いのでしょうか!?本書では、5つのステップで語られています。
1.壁になる
まず、部下との会話でいけないのは、ついつい自分の話に持っていってしまうことと、過剰な質問を投げかけてしまうことです。この2つをしないように壁になって、単に聴くことに徹底的に努めます。たとえば、「先週、映画をみました」という切り口に、対して、「私も、これを見たよ!」とか「何をみたの?」などの口を挟んではいけません。とくに「何をみたの?」等の質問は、映画のタイトルに話題がズレていってしまうので、部下が本当に言いたかったことを言えない筋道に追い込んでしまいます。部下は、映画のタイトルではなく、その映画館で体験したことや、あるいは、映画に行く途中で出会ったことを語りたい場合を想定すれば、「何をみたの?」は余計な質問だということが確認できるでしょう。
壁になるときのポイントは、相づち・オウム返し・述語的会話・理解の確認などを駆使しましょう。
述語的会話とは、「続けてください」「それで?」「詳しく教えてください」などです。理解の確認は、ほとんど聞き終わったあとえで、「それってこういうこと?」という風にサマリーをすることで、自分の理解が正しいのかを確認しながら、部下の頭を整理することに役立ちます。
2.エピソードを聴く
レポートではなく、エピソードが重要です。レポートは、抽象化されて、問題の本質を見えなくさせます。それよりも、エピソードは、体験でありその場での問題点が表出されやすいので、本質を突きやすくなるからです。
さらに、上司と部下が向き合うのではなく、そのエピソードを一緒に「見る」ことで、対峙関係での会話をせずに済み、より感情の共有や、素直な気づきに向かいやすいというメリットがあります。右脳的な刺激を得られるのもポイントです。
3.(感情に)共感する
私たちは、職場では感情を出してはいけないものと認識していますが、そんなことはありません。人間は、どうしても感情を抱いてしまう生き物です。そんな自然と生まれてくる感情にフタをしてしまっては、正しい判断や素直な気づきを得られません。感情を表出し、チームで共有することによって、卓越した成果につながるケースもあります。
ここでとても大切なのは、「わかる!」という口癖を封じることです。そもそも共感とはなんでしょうか。それは、相当に難しいことです。それはあなたと、他者が体験したことがそもそも異なりますし、そしてそこから受けた感情や思いは、全く一緒ではないのです。本来人は、その人の感情を「わからない」ものなのです。
だから、安易に「わかる」にしないで、「あなたの体験(内的世界)は、私の体験(内的世界)とは別な独特で特別なものだ。私にはあなたの体験(内的世界)はわからない。だから、なんとかあなたと同じように感じてみたい」と思うことです。
4.(信念・価値観に)共感する
感情の共感の上で、信念・価値観の共感へと深めます。大切なのは、感情レベルへの共感ののち、信念・価値観への共感を求めることです。
「あなたは、部下に何度も同じことを言ってもどうせわかってもらえないという思いがあるので(信念・価値観レベル)ついイラッときてしまったのですね(感情レベル)」という発言になりがちです。日本語の構造上これは、避けにくいものです。でも、まず、大切なのは、イラッと来ていることへの共感による、心的安全の構築なのです。
この順番を間違わないようにしましょう。
5.解決を提案する
そして、究極この提案するはなくても良いといいます。それは、1~4までのステップで、部下が自分自身に対して新たな気づきを得ていれば、省略できるからです。
まとめ
- コーチングよりカウンセリングをまず行いたいのはなんで!?――VUCA時代にゴール設定すら曖昧になりがちで、いきなりコーチングが機能しない局面があるからです。
- カウンセリングのメリットとは!?――感情を共有し、心的安全を確保しながら、新しい気づきへと、上司部下ともに向かっていくことができます。
- カウンセリングを進める5つのステップとは!?――部下の話をとにかく聞き、共感し、新たな気づきへと一緒にむかっていく過程です。
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