【リーダーは、「3人」必要!?】組織変革のビジョン|金井壽宏

組織変革のビジョン
  • どのようなリーダーシップが21世紀には必要でしょうか!?
  • それは、謙虚であり、かつ仲間がついていきたい!と思える人間像であり、活動です。
  • なぜなら、人は一人だけではリーダーシップを発揮できないからです。
  • 本書は、これからの組織のあり方と進み方を説いた1冊です。
  • 本書を通じて、これからの時代のリーダー像について解像度を上げることができます。
金井壽宏
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謙虚なリーダーとは!?

ラクビーの平尾誠二さんが非常に興味深いことを語ってくれています。

平尾さんは、「よいパスの条件とは、相手に正確にわたすだけではない」と言う。良いパスというと、普通は速いパス、長いパス、そして正確なパスのイメージがある。

第5章 組織変革のリーダーシップ

本当に大切なことは、そうした正確性だけではなく、

「オレが持っているよりも、あいつが持っている方が、
  チームとしていい人間の手にパスが渡ることがいいパスの定義だ」

であるとします。

スポーツも、ビジネスも、チームワークです。人は一人でできる範囲のことを拡大して、より良く社会に働きかけるため、会社や組織を作ります。パスとは、仕事のやり取りや協働作業の中での依頼や受託ということになるでしょう。みんなで一つのものごとを完成せていく中では、非常に多く複雑なやり取りが発生します。

考えたいのは、互いの個性です。あの人は、あれが得意。あの人は、このスキルを持っている。あの人は、外とこういうつながりがある・・などを含めて、ひとつの仕事に対して、個々の人間がどんなバリューを提供できるのかを互いが理解して、上手にパスを回しながら、ゴールに向かっていくのが、理想的なジョブのプロジェクトマネジメントとなるでしょう。

リーダーと言えど、ずっと自分でボールを持っていてはいけません。もしかしたらリーダーという役割さえ常に可変であり、誰が持っていてもおかしくないボールかもしれません。

組織的には、マネージャーだけれど、案件的にはメンバーのほうが詳しいことは多くあります。というか、ほとんどがそれです。だから現場のリーダーは、現場のメンバーが引き受け、推進していく役割を担うことに越したことはないのです。

大切なのは、マネージングリーダーが、その推進にあたって障壁をなくすこと。さらには、モチベーションを継続できるように、チームのゴールを明確にすること、チームのあるべき姿を言葉にして、表現し続けることです。

3つのリーダー像とは!?

平尾さんの話を続けます。

ラグビーチームでは、3つのリーダーの重要性を意識していると言います。

1)チームリーダー・・メンバーに人望があって、みんながついて行きたくなる選手。
2)ゲームリーダー・・多少は嫌われていてもいい戦略が作れる選手。
3)イメージリーダー・・一見「こいつ、何を考えているんだ?」と言いたくなるぐらいわがままで勝手なことをする選手に見えるが、みんなが思いつかないようなことをイメージできる才能のある選手。

この3者がバランスよく存在するチームが、これまでの当たり前を打ち砕き、偉業を成し遂げる可能性があると説きます。

贅沢を言えば、リーダーには、チームリーダーとゲームリーダー、そしてイメージリーダーの要素を兼ね備えていることが望ましい。

第5章 組織変革のリーダーシップ

3つのタイプの素質を意識しながら、ひとりひとりが自己を振り返ることが大切でしょう。

わたしたちのリサーチで「すごいリーダー」としてとりあげられた人物は、大きな絵(ビジョン、ロマン、夢)を熱っぽく語り、フォロワーの感情に訴え、しばしばバランスを欠いたり、抜けがあったりしました。
また、ときには他者を攻撃するけれども、語る絵が本質的に正しく納得のいくものなので、周りのひとがついつい応援してしまうタイプでもある。

第5章 組織変革のリーダーシップ

前回の投稿「【リーダーシップは、後天性!?】リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力|荒木香織」においてもラグビーのリーダーシップのあり方をレビューいたしました。大変興味深い内容でした。こちらもぜひご拝読ください。

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チェンジマスターとは!?

「恐れなかったひと」ではなく、「恐れを克服したひと」がリーダー

第5章 組織変革のリーダーシップ

組織を変革する前に、自己を変革する必要があります。また、この変革は常に発生するはずです。理由は、社会や世の中が常に変革をしているからです。自分と他者の関係をより良いものにするためには、まず自分が外部環境にあわせて変わり続け、成長をつづけていくことが欠かせません。

変化は恐ろしいものです。人間は、現状維持バイアスの影響を受け続けているからです。

現状維持バイアス(status quo bias)は、人々が現状を変更することに対して無意識のうちに抵抗を示す心理的傾向のことを指します。このバイアスが働くと、新しい選択肢や変化に対して懐疑的になり、現状のままでいることを好む傾向があります。これは、新しい選択肢に未知のリスクや不確実性が伴うことへの恐れや、既存の状況への慣れ、さらには変更に伴う労力を避けたいという気持ちによるものです。

R・M・カンターさんの研究を引用します。彼女は、6社208人のミドルに「自分が成し遂げたことのなかで、最もと起きな成果を上げたと思うことをあげてください」という調査を繰り返し、変革のリーダーシップを持つ人の特徴を「チェンジマスター」の要素としてまとめました。

  • リスクにチャレンジすることになるので、抵抗や反対に遭いやすい。賛否両論。
  • 外部の人々への働きかけが要る(自分の部門だけで閉じない)。
  • 資金的にも、予算に収まりきらない。追加的資源を探し求め、捻出する。
  • 制度的に決められた予算の入手経路以外にもアプローチする。
  • 経営上層からスポンサーシップ(支援)を勝ち取る。
  • 他部門の同僚から支持や応援・理解を取りつける。
  • 情報量が多い。
  • 自分の率いるユニット内外の専門家の知恵をうまく使っている。
  • プロジェクトにかかわるキーパーソンの範囲が広い。
  • その目標は上から与えられるというより、自分で自律的に編み出したもの。
  • 一見いろんなところに働きかけ、組織の秩序をかき乱しているようだが、彼らこそコラボレーティブな管理スタイルで特徴づけられる。

この11の特徴は非常に重要な視点を提供してくれます。とくに、これまでのように仕事がメンバーシップかつウォーターフォール型で進みにくく、むしろアジャイルなジョブ型に移行していく中で、リーダーシップの新しいあり方を提示してくれます。

まとめ

  • 謙虚なリーダーとは!?――チームを俯瞰し、自分の役割をつねに規定できる人です。
  • 3つのリーダー像とは!?――チーム、ゲーム、イメージリーダーそれぞれを兼ね備えましょう。
  • チェンジマスターとは!?――11の変革のリーダー要素を意識しましょう。
金井壽宏
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