【答えのない問いを目指そう!?】知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~|田坂広志

知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~
  • 活きる知性を身につけるためにはどうしたら良いでしょうか!?
  • 実は、知能と知性が異なることについて、理解を深めてみることが重要かもしれません。
  • なぜなら、答えのあり・なしの問いについての能力を指すためです。
  • 本書は、これからの時代の考える力について考えるための1冊です。
  • 本書を通じて、「思考の能力」についてもうひとつの視点を得ることができます。

「知能」と「知性」の違いとは!?

「知能」「知性」は異なります。

「知能」・・答えのある問いに対して速く正しい答えを見出す能力です。
「知性」・・答えのない問いに対して、その問いをとい続ける能力のことです。

この「知能」が、「答えの無い問い」に直面したとき、何が起こるか?
端的に言おう。
「割り切り」
「知能」はそれを行う。

第3話 なぜ、「割り切り」たくなるのか?

この判断の奥にあるのは、楽になりたい・・という気持ちです。

答えがない問いを抱えて生きて行くのは、それは、相応に苦しいものです。私たちの精神は、容量を超えるほどの難しい問題を突きつけられると、其の問題を考え続ける精神的負担から逃れようとしてしまいます。だから、問題を単純化し、二分法的に考え、心が楽になる選択肢を選び、それを正当化してしまう方に流れます。

2つに「問い」を分かつことの危険性については、こちらの投稿「【生きるための知恵の身につけ方とは!?】勉強するのは何のため?|苫野一徳」でも具体的に説かれています。ぜひご覧ください。

また、「知識」「知恵」も異なります。

「知識」・・「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
「知恵」・・「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。

そもそも、世に溢れる「プロフェッショナル論」の本は、それが真っ当な本であるならば、「いかに楽をしてプロフェッショナルになることができるか」を語ることはない。
それが真っ当な本であれば、「プロフェッショナルになるためには、どのような苦労を積むべきか」を語ってる。

第8話 頭の良い若者ほど、プロフェッショナルになれない理由

「知識」を学んで「知恵」を掴んだ!と理解することは危険です。

本当の知恵とは、行動をして、体験を経験に変えて身につけられるものです。だから、まず、知識を蓄えた上で、自ら行動を積極的にしてみることが大切です。

机上だけでは、まだ何も生まれていませんし、社会も変えることは不可能です。

「価値ある何か」は、常に行動のその先に見出される可能性があるものなのです。

能力を磨くには、やはり修行(=行動)が重要になります。そのときあまりに楽なことばかりに目を向けていては、能力は当然高まりません。「100」の能力を持った人は、「110」「120」の能力が求められる仕事に集中して取り組む時間を、毎週数時間で良いから持たなければなりません。それを「数時間」でもいいから持ち続けることができれば、確実に能力は上がっていきます。

ここで言う「修行」とは、実は特殊なことではありません。

自分の能力を少し超えたレベルの仕事に集中するという時間を、
定期的に、継続的に、数年間というオーダーで持つ。

第6話 「固定観念」を捨てるだけで開花する能力

と、いうことなのです。

ぬるま湯では、人は成長できない、少し熱めを積極的に求めていきましょう。

7つのレベルの思考を身につける!?

「知性」を磨くにはつぎにあげる7つの思考が重要になります。

1)明確な「ビジョン」――これからの三方良しを貫く視野です。
2)基本的な「戦略」――戦を略するための設定と運用のことです。
3)具体的な「戦術」――戦略の実行プランのことです。
4)個別の「技術」――戦術を具現化する能力です。
5)優れた「人間力」――単に古典や儒学、宗教を学ぶことにない、ものです。
6)素晴らしい「志」――単なる野心ではない、ものです。
7)深い「思想」――未来を予見する優れた手段です。

実は、これら7つのレベルの思考を身につけることはそれほど難しいことではありません。

なにが必要か・・・、あるいは、何が、私たちを、思考の垂直統合から遠ざけているのか・・・、

それは、

「自己限定」を捨てる。

第11話 「垂直統合の知性」を持つスーパージェネラリスト

このことに尽きるといいます。

私たちは、無意識に、自分の思考を、自分が得意だと感じている領域に閉じているきらいがあります。「思考のレベル」を無意識に限定することで、知の統合から、身を遠ざけているのです。

習慣として、これらの無意識から自由になるためには、もしかしたら自分の肩書を、自分で決めないということかもしれません。

自分は、エンジニアである、とか、技術職であるとか、マーケティング職であるとか、そういう分断的な思考に陥りやすい役割を一度除外してみる・・そこに、新しい自分の視点が見いだせ、7つの思考を柔軟に行き来する立ち位置を回復できるのかもしれません。

7つのレベルの思考の深め方とは!?

7つのレベルの思考を行き来しながら、それぞれの領域でシナジーを得るにはどうしたら良いでしょうか!?実は、「上向過程の思考」と「下向過程の思考」の両方を知ることが大切です。

「上向過程の思考」とは、

  • 例えば、ある「戦術」を検討している時、その戦術が「戦略」のレベルからみて、基本戦略を歪めるような逸脱をしていないかチェックすることです。
  • 例えば、ある「ビジョン」を検討している時、そのビジョンが、「思想」のレベrうで予見されえるものであるかチェックすることです。

「下向過程の思考」とは、

  • 例えば、ある「戦略」を検討するとき、ただちにその戦略が、具体的な「戦術」のレベルで実行可能化をチェックすることです。
  • 例えば、ある「戦術」を検討するとき、それを実行できるスキルやテクニック、すなわち十分は「技術」があるかをチェックすることです。

こうした「上向過程の思考」と「下向過程の思考」を交えながら、「思考の往復運動」を行う必要がある。それを行わなければ、「7つのレベルの思考」にシナジーが生まれてこない。

第13話 なぜ、経営者がスーパージェネラリストになれないのか?

ものごとのレイヤーを行き来しながら、検討を重ねていく、姿勢と活動が必要です。

具体的には、

1)7つのレベルの思考を、バランス良く身に着けていく
2)7つのレベルの思考を、それぞれのレベルで深めていく
3)7つのレベルの思考を、垂直統合して、シナジーを生み出していく

この3つを意識しながら、ものごとの解像度を上げていきましょう。

解像度を上げることについては、こちらの投稿「【思考の全体像を身に着けよ!?】解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法|馬場隆明」もたいへんおすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ

  • 「知能」と「知性」の違いとは!?――答えのありなしそれぞれの問いに向き合う能力のことです。
  • 7つのレベルの思考を身につける!?――自己限定を捨て、7つを横断しましょう。
  • 7つのレベルの思考の深め方とは!?――7つの思考を垂直統合するのです。
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