- どうしたら、気持ちをコントロールして、よりよい時間を過ごすことができるでしょうか。
- 実は、自分の脳と上手に付き合うことが大切かも。
- なぜなら、脳は人類史上まだまだ発達過程だからです。
- 本書は、脳に4つのキャラクターを見出し、自らを客観視する視座を得る1冊です。
- 本書を通じて、脳の機能について思いを馳せることができるでしょう。
キャラが4つ!?
本書の著者ジル・ボルト・テイラーさんは、神経解剖学者です。37歳の時に脳出血によって、左脳の機能をすべて失いました。8年間のリハビリの末、身体、感情、施行全ての脳機能を回復させる過程で、さまざまな気づきを得ました。本書は、こうした過程で自らの身体に起こった変化や、考え方やものごとの捉え方に関する1冊です。
ジル・ボルト・テイラーさんは、右脳と左脳にはそれぞれに「考える」役割と「感じる」役割があります。さらにそれに解剖学的な根拠があるとしています。本書には、4つのキャラが登場します。
<考えるキャラ1>・・左脳の大脳新皮。スケジュール帳のように几帳面です。
<感じるキャラ2>・・左脳の辺縁系。たいていネガティブになってしまいます。
<感じるキャラ3>・・右脳の辺縁系。「今ここ」での歓喜に浸ります。
<考えるキャラ4>・・右脳の大脳新皮。自分の本質であり、哲学者、経営者、宗教家でもあります。
現代社会は忙しなく、ストレスの連続だ。それは、<キャラ1>と<キャラ2>に偏った社会だ。
役者あとがき
<キャラ1>と<キャラ2>が優勢な生き方は、外の世界や誰かに生き方を押し付けられるモードです。外的な変化に自分がコントロールされて、その反応だからです。
でも、人は周囲から押し付けられる価値観や評価ではなく、自らの内面の価値観や評価で生きるほうが、幸せを感じられるはずです。
それぞれのキャラの特徴をキーワードで見つめてみましょう。考えるキャラのそれぞれは、情報を知覚して処理する方法が全く正反対ですし、感じるキャラのそれぞれは、ものごとの感じ方がほぼ正反対です。
左脳の〈考えるキャラ 1〉(直列プロセッサ)
- 言葉による
- 言語で考える
- 順序だてて考える
- 過去/未来にもとづく
- 分析的
- 細部に注目
- 違いを探す
- 手厳しい
- 時間を守る
- 個別に
- 簡潔/正確
- 固定した
- 「私」を重視
- 忙しい(手がふさがっている)
- 意識的
- 構造物/整列
右脳の〈考えるキャラ 4〉(並列プロセッサ)
- 言葉によらない
- 絵で考える
- 経験にもとづいて考える
- 現在の瞬間にもとづく
- 運動感覚的/身体的
- 総合的に大局を見る
- 類似点を探す
- 思いやりがある
- 時間の流れに没入する
- 集団で
- 柔軟性/弾力性
- さまざまな可能性に柔軟
- 「私たち」を重視
- 手が空いている
- 無意識
- 流動的/流れ
左脳の〈感じるキャラ 2〉
- 抑圧された
- 融通がきかない
- 用心深い
- 恐怖心にもとづく
- 厳格
- 条件付きで愛す
- 猜疑
- いじめる
- 正義を求める
- あやつる
- 定石
- 個別で
- 利己的
- 批判的
- 優れた/劣った
- 正しい/まちがっている
右脳の〈感じるキャラ 3〉
- おおらか
- オープン
- 危険を厭わない
- 怖いもの知らず
- フレンドリー
- 無条件で愛す
- 信頼支える
- 感謝する
- 流れに任せる
- 創造的/革新的
- 集団で分かち合う
- 優しい
- 平等
- 文脈によりけり
会議を開こう!?
幸せを感じやすい体質を目指すためには、4つのキャラの存在を認め、なにかものごとにぶつかったら、4つのキャラそれぞれで、「会議」を開くのがよいです。作戦会議を開いて、いま何が置きているのか、自分はどんな気持ちなのかを知り、対処を決めることがよりよい人生を拓く力になります。
「四つのキャラ」について理解し、作戦会議を開き、最終的に自己に立ち返ること。
役者あとがき
4つのキャラは、それぞれが全体であり、また、個でもあります。彼らのニーズに耳を傾けそれに応じて頼み事をしてみましょう。それぞれのキャラは「ねえ、聞いて聞いて、見て見て」とねだる、4人の子どものようなものです。それぞれのキャラについてよく知ってあげて、その時々の自分の状態を理解してあげる努力をしてみましょう。
進化論の観点から見ると、人間の脳波、神経学的な傑作ですが、それでも完成品からは程遠いのです。
第1章 私の物語、私たちの脳
私たちの脳は、いままさに継続している進化の過程で、左の考える脳<キャラ1>に新しく追加された組織と、もとからあった左の感じる脳<キャラ2>の組織を活発に統合中です。また、右脳についても同じことが言えます。<キャラ4>に新しく追加された組織と、もとからあった右の感じる脳<キャラ3>を連携中です。
人間の脳は現在進行系で進化中ですが、左脳と右脳の価値観の相違が、人生や社会に影響を与えていることは明らかです。
宇宙とつながろう!?
左脳と右脳をひとつの頭の中で連携して働かせることで、私たちは自然な2面性を経験してしまいます。たとえば、夏休みの宿題を思い出してみましょう。キャラの1人は、「すぐにでもやらないと!」と思います。でも、あるキャラは、「後で大丈夫。だから、今は遊びに出掛けよう」とあなたを誘います。だれしもこうした2面性を持ちます。
放っておけば、自分の中にある2面性に矛盾を抱えてしまい、心を痛めてしまいます。自分を否定してしまうことほど、つらい体験はありません。
それを防ぐためにも、自分の中には、すでに4人も別のキャラクターが存在して、それらと上手に付き合うことが、脳を働かせることであることを知るのです。
特に優勢に感じてみたいのは、<キャラ4>の存在かも知れません。<キャラ4>は特別な存在です。というのも自分以外の全ての生命と共有される特別なキャラだからです。宇宙とつながっていると、著者ジル・ボルト・テイラーさんは表現します。この脳細胞は、宇宙のエネルギーが身体の全細胞に流れ込む「燃料注入口」です。<キャラ4>は、私たちの源である全知全能の知性であり、私たちが宇宙の力を身体に宿す方法でもあります。
宇宙の力の存在については、多くの方によっても語られています。例えば、田坂広志さんがその1人でしょう。こちらの1冊「【大きな何かよ、導きたまえ!?】運気を磨く~心を浄化する三つの技法~|田坂広志」もぜひあわせてご拝読下さい。
無意識の領域が膨大に広がっていて、それらが宇宙の波長をキャッチして、自らの潜在的な意識や行動を引き出し、運や縁を紡いでくれているという考え方です。
こうした起点となるのが、<キャラ4>であるということが今回の本書『WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方』で説かれています。
<キャラ4>の意識に焦点を合わせることで、安らぎを身体に宿すことができます。でもそのためには、外の世界で生活の細部に固執する<キャラ1>の思考を鎮める必要があります。また、<キャラ2>の感情の起伏や反応を抑え、<キャラ3>が堪能している経験的な感覚からも意識をそらさなくてはなりません。<キャラ1~3>は脳の中でひときわ大きな音を立てているので、<キャラ4>の意識を広げるためには、周囲に大人しくしてもらわなければならないのです。
ポイントは、杓子定規なことや自我、自分の価値を正当化することから一歩踏み出して、「いまここ」に集中してみることです。人生は厄介極まりないものでありますが、ありのままに身を任せて、思いっきり暴れまわってみることで、開けることは結構あります。
まとめ
- キャラが4つ!?――脳には考える・感じる×左右で、4つのキャラが存在します。
- 会議を開こう!?――4つのキャラのそれぞれの声を聞いてみましょう。
- 宇宙とつながろう!?――<キャラ4>を立てる時間もつくってみましょう。