- 新時代の知の思考とはどのようなものでしょうか!?
- 実は、20世紀とは全く異なるかもしれません。
- なぜなら、21世紀は、答えのない時代だから。
- 本書は、知の賢人、田坂広志さんによる21世紀の見立てです。
- 本書を通じて、この100年の「大局観」を得られるでしょう。
前々回の投稿「【私たちの生きていく世界を知るには!?】田坂広志「21世紀の知」を語る|田坂広志」、前回の投稿「【行動・感性・創発の好循環がキー!?】田坂広志「21世紀の知」を語る|田坂広志」に続き、今回も、こちらの1冊をレビューさせていただきます。
我々の「知の在り方」は、どう変わっていくのか。
序話 21世紀、人類の知は「7つの成熟」を遂げていく
どう変わっていかなければならないのか。
どのように成熟を遂げていかなければならないのか。
この7つこそ、次に掲げられている成熟です。それぞれのベクトルを知ることで、自分の取り組みや自社の方向性を検討する素地を得ることができます。
- 第1の成熟 「言語の知」から「暗黙の知」へ
- 第2の成熟 「分析の知」から「統合の知」へ
- 第3の成熟 「個人の知」から「集合の知」へ
- 第4の成熟 「管理の知」から「創発の知」へ
- 第5の成熟 「理論の知」から「行動の知」へ
- 第6の成熟 「理性の知」から「感性の知」へ
- 第7の成熟 「知能の知」から「知性の知」へ
答えのある問いと、答えのない問いとは!?
21世紀に起こる「人類の知 7つの成熟」の第7の成熟は、何か。
第7話 人類の知 第7の成熟 「知能の知」から「知性の知」へ
それは、「知能の知」から「知性の知」への成熟である。
「知能」と「知性」は異なります。
知能は、「答えのある問い」を問う力のこと、
一方、知性は、「答えのない問い」を問う力のことです。
例えば、
人生とはなにか、
運命とはなにか、
愛とはなにか、
など、深遠な「答えのない問い」を前に、答えなど得られぬと分かっていて、それでも、なお、生涯をかけて答えを求める力のことです。
20世紀を振り返ると!?
これまでの時代は、「知能検査」という手法に象徴されるように、知能が評価されていました。
「目の前に問題が出されたとき、いかに速く、正しい答えに辿り着けるか」という能力のことである。
第7話 人類の知 第7の成熟 「知能の知」から「知性の知」へ
この点については、山口周さんも「【これからの働き方の羅針盤!】ニュータイプの時代|山口周」において、指摘されています。
オールドタイプ | ニュータイプ |
正解を探す | 問題を探す |
予測する | 構築する |
KPIで管理する | 意味を与える |
生産性を上げる | 遊びを盛り込む |
ルールに従う | 自らの道徳観に従う |
ひとつの組織に留まる | 組織間を越境する |
綿密に計画し実行する | とりあえず試す |
奪い、独占する | 与え、共有する |
経験に頼る | 学習能力に頼る |
世界を「巨大な機械」とみなす「機械論パラダイム」が主流の社会では、機械を最適設計するように、問題には必ず「最適解」があり、その解を見出すことが、「問題解決」であるとする発想が支配的でした。
偏差値教育は、その最たるものです。
21世紀、問いの時代に向けて!?
しかし、現実の世界は、むしろ「大いなる生命体」とでも呼ぶべきものだというふうに人々は気づきました。
そこには、「知能」による論理思考だけでは決して処することのできない深遠な問題が、無数にある。
第7話 人類の知 第7の成熟 「知能の知」から「知性の知」へ
人生において、
「意志」と「運命」
「自力」と「他力」
「愛」と「憎」、
これらは、矛盾し対立するように見えて、実は、人生の「表裏」の現れに過ぎません。
そしてこの実態は、「知能」による論理思考だけでは、決してつかむことができません。
「深い矛盾を孕んだ問い=答えのない問い」について、体験をひとつひとつ重ねながら、問い続けることが、「成熟した知の営み」であると言えるのです。
まとめ
- 答えのある問いと、答えのない問いとは!?――知能と知性を分けるものです。
- 20世紀を振り返ると!?――答えのある問いに対して最適解を探していました。
- 21世紀、問いの時代に向けて!?――深い矛盾を孕んだ問いに、体験を通じて問い続けるのです。