- 本を読むとは、人生においてどんな意味があるでしょうか!?
- 実は、本とは、その著者の人生に繋がることかもしれません。
- なぜなら、本には、その人や、家族や、街の風景などが詰まっているものだから。
- 本書は、島田潤一郎さんと本を巡る思考を積み重ねる1冊です。
- 本書を通じて、本を読む意味について感じてみるきっかけを得られるでしょう。
本は、人格であり、人格を磨く!?
昨日の投稿「【小さく、でも、永く!?】古くてあたらしい仕事|島田潤一郎」に続き、本日も島田潤一郎さんの1冊をレビューしていきたいと思います。島田潤一郎さんは、30代に夏葉社という、ひとり出版社を起業し、一人ひとりに向けた本を、1冊1冊丁寧に作り続けている方です。
本は、それすなわち人であると、島田潤一郎さんはいいます。
一冊の本との出会いというのは、たとえるなら、ひとりの人との出会いであって、「世の中にはこんな人もいるんだ」とか、「最初はとっつきづらいかと思ったけれど、ほんとうは、この人はこんなに魅力的なんだ」とか、そういう人間の多様さと同じ類のものです。
人生に迷っている若い人に
言葉を伝えるとは、ともすると正確性とか、いち早く、とか、そういう機能的な側面がフォーカスされることも多々あるでしょう。でも、人は、機能的な側面だけで、言葉を使っているわけではないと、島田潤一郎さんの言葉により改めて気づくことができます。
本を読むことで、その著者の人柄をうかがい知ることができます。「面白い人」「優しい人」「感性がゆたかな人」などなど、著者との対話の中で、感じることは多いものです。
こうした、人を感じ、知ることが読書体験の醍醐味なのかも知れません。とくに、便利な世の中において、「わかりやすい」言葉が歓迎される昨今において改めて、人という複雑な存在を、情報でシンプルに片付けてしまうことのもったいなさというか、悲しさみたいなものを感じながら、丁寧に執筆された1冊とじっくりと付き合ってみる充実性を、感じてみたいものです。
人が考えるということは、言葉を通じて行われる行為です。そして、この考えるという行為は、より多くの人と多様な付き合うをしてみることで、より充実になっていきます。
人間は言葉によって考え、世界を広げていきます。それはたくさんの人と話をすることによって成し遂げられます。
人生に迷っている若い人に
一人ひとりの著者という人との出会いをコツコツと積み上げていけば、複雑なものごとを複雑なままに理解できるようになります。あらゆるものを単純化して、理解した気で満足するのではなく、本当は複雑なものを、そのままに受け入れてみるアイデアを捕まえてみましょう。
一人ひとりは、本当は、違う。
そうした、とても当たり前のことなのだけれど、いまの社会が、ふと忘れてしまうことに対して、思いを馳せるためにも、本はとても大切な機会を与えてくれるのです。
もしかしたら、これは、人にもあてはまるし、会社のような組織に対しても当てはまるのかも知れません。市場を画一的に捉えていくと、自分自身も型にはめてしまって、顔がどんどんなくなっていきます。つるんとしてとらえどころのない組織=ブランドづくりをしても、誰も魅力を感じてくれません。分かりやすい言葉だけをつかってブランドの内実を記載しても、それはそういう顔の見えないどこでもありそうな人格になってしまいます。
大切なのは、一般には違和感のあるかも知れないどの表現やあるいはその表現につながっている根源の想いをいかに見つけて、意識的になれるかがキーなのかも知れません。ブランドについて意識が向かいましたが、人もブランド同じように人格があり、そしてそれを複雑なまま時間をかけて理解することができるかが、大切なのではないかと思いました。
ちなみに、ブランドづくりについては、こちらの1冊「【ブランドは、ミッションから、滲み出す!?】ブランド 「自分の価値」を見つける48の心得|岩田松雄」もおすすめです。ぜひご覧下さい。
互いに個性を認められるか!?
島田潤一郎さんは、お子さんにも、本との出会いをすすめています。数多くのご本を購入しては、お子さんと本の体験をおすすめしてきました。
そこにはこんな願いがあったといいます。
子どもたちに、本をとおおして、想像力をやしなってほしいと願うからです。
妹に読み聞かせする兄
想像力といっても、夢をつむぐような想像力ではなく、人のこころがわかるということです。友だちたちも「わたし」と同じように些細なことで、よろこび、かなしみ、そして絶え間なく何かを感じて、考えるということを想像できる力のことです。
こうした想像力を欠いていると、自分のことしか考えられなくなってしまいます。また、こうした状態では、友だちを「敵か、味方か」のようなニ種類でしか見られない人間になってしまうのでは、と。
ここにも、「個性」を認めることの大切さがあると思います。もっと言えば、互いに「個性」があるのであると認める力があることが、なんと重要なことか・・。
島田潤一郎さんは、こうも言います。
親ができることなんて、ほんのわずかなことしかないのです。
妖怪の世界に没頭する子ども
それは、一言でいれば、子どもを尊重するということ。彼らの行動や考えを褒め、自信をもってもらうということ。彼らを支えるために、いつまでも健康であるということ。そして毎日ちゃんと働き、稼ぐということ。
本は視点で成長を促してくれる!?
むかしある本屋さんで、こんな話を聞いてことがありました。
ほんの世界に逃げ出せる
「蝶ってギュッと両手で握るとつぶれてしまうでしょ?
でもあんまりそっと握ると、手のひらのあいだから逃げてしまう。私たちが子どもたちに教えてあげたいのはその力加減。それを経験させてあげたい」
互いのことを想像する力というのは、この力加減の根底にあるものなのかも知れません。私たち人間が作ってきた社会は、必ず、他者の存在が必要です。互いが繋がり合っている状態でしか、人は生ききることが難しいからです。だからこそ、互いを理解し、想像し、そして、その上で、個性を互いに認めあえるかどうか、が大切なのですね。
こうした固有にある大切なところと、人が積み重ねてきた意味(概念)や約束(規範)を知識や体験として知りながら、大きくなっていくことに、とても大切なものを感じます。
そうした成長を目指していく人に、貴重な時間を提供してくれるのが、読書体験ということになるでしょう。
本はときに、地図にも似ています。
本は地図に似ている
俯瞰して自分を見つめることができる視点を持つということであり、自分を相対的に見るということでもあります。究極は、こうした視点を時折活用しながら、自分を見続けていくこと自体が、生きるということにもつながっていくのかも知れません。
そうした視点があれば、きっと成長もあるし、そのための活動や変化というのもありうるからです。一方で、自分の視点だけでは、そうした活動も生み出すことがしづらい。本は、そうした視点の提供をもって、自分自身を成長させていく、意識と力を刺激してくれているのです。
毎日がたいへんで、頭のなかが散らかった部屋のようにごちゃごちゃになって、なにから手をつけていいのかわからない、そんなとき、ぼくは本を開きます。自分の内側から這いずり出て、自分を冷静に見つめたいからです。
本は地図に似ている
まとめ
- 本は、人格であり、人格を磨く!?――生き様に触れることこそ人にとって多くの刺激があります。
- 互いに個性を認められるか!?――そうした瑞々しい感性を想像力といいます。
- 本は視点で成長を促してくれる!?――人が成長するには、視点が必要です。