- これからの時代において、どのような行動指針が大切でしょうか!?
- 実は、まず一歩踏み出す「行動」が起点になることは間違いないかも。
- なぜなら、行動によって感性が触発され、創発につながっていくためです。
- 本書は、知の賢人、田坂広志さんによる21世紀の見立てです。
- 本書を通じて、この100年の「大局観」を得られるでしょう。
前回の投稿「【私たちの生きていく世界を知るには!?】田坂広志「21世紀の知」を語る|田坂広志」に続き、今回も、こちらの1冊をレビューさせていただきます。
我々の「知の在り方」は、どう変わっていくのか。
序話 21世紀、人類の知は「7つの成熟」を遂げていく
どう変わっていかなければならないのか。
どのように成熟を遂げていかなければならないのか。
この7つこそ、次に掲げられている成熟です。それぞれのベクトルを知ることで、自分の取り組みや自社の方向性を検討する素地を得ることができます。
- 第1の成熟 「言語の知」から「暗黙の知」へ
- 第2の成熟 「分析の知」から「統合の知」へ
- 第3の成熟 「個人の知」から「集合の知」へ
- 第4の成熟 「管理の知」から「創発の知」へ
- 第5の成熟 「理論の知」から「行動の知」へ
- 第6の成熟 「理性の知」から「感性の知」へ
- 第7の成熟 「知能の知」から「知性の知」へ
第4の成熟 「管理の知」から「創発の知」へ
言葉を換えれば、それは「すでに世の中に存在する知識や知恵を管理する」能力から、「まだ世の中に存在しない知識や知恵の創発を促す」能力への成熟とも言える。
第4話 人類の知 第4の成熟 「管理の知」から「創発の知」へ
ナレッジマネジメントは、現在、社員や顧客が持っている知識を上手に管理し、活用するというレベルにとどまってしまいます。
ただ、「管理」する手法だけではなく、人間集団から、新たな知識や知恵が自然に生まれてくることを促す手法、つまり、知識や知恵の「創発」を促す手法へと成熟していかなければなりません。
「創発」のためには、次の3つのポイントが大切です。
1)「水平的な関係」――権力や権威による強い上下関係が存在せず、メンバーが権威主義や自己顕示などの「小さなエゴ」に動かされることのない組織が大切です。
2)「肯定的な文化」――問題点や否定を繰り返すのではなく、発想や発言の良い点を見つめ、そこから何か新しいことを生み出していこうとする肯定的なカルチャーが大切です。
3)「刺激的な言霊」――想像力や創造性が刺激されるような新たな発想が生まれてくるような、言霊(言葉)が投げかけられることが大切です。
言霊とは、ときにビジョン、キーコンセプト、力に満ちた言霊を語ることによって、「知のリーダーシップ」となりうるものです。人々の知の創発を促す力にほかなりません。
第5の成熟 「理論の知」から「行動の知」へ
そもそも、東洋思想に「知行合一」という言葉があるように、「知」というものは、この「理論の知」と「行動の知」が結びついて、初めて意味を持つ。
第5話 人類の知 第5の成熟 「理論の知」から「行動の知」へ
いま、「知行分離」的に「理論の知」と、「行動の知」から分離してしまっている状況が問題かもしれません。
安全な高みに立って、評論をしているのではなく、自ら行動をすること、そして、大切なことは、その行動によって、変革をもたらすことです。こうしたスタンスを経済学者のカール・マルクスは、次の言葉と残しました。
「哲学者たちは、これまで世界を様々に解釈していきたにすぎない。
経済学者カール・マルクス
しかし、大切なことは、それを変革することである」
(The philosophers have only interpreted the world in various ways,
The point however is to change it.)
行動の知とは、それは古来、大切な意味をはらんでいます。
それは、「行動」とは最も洗練された「認識」のスタイルということです。
知の世界には、言葉で表すことのできる「言語知」と、言葉で表されない「暗黙知」があるが、実際に行動し、現実と格闘するという体験を積まないかぎり、この「暗黙知」をつかむことはできないのです。
この点については、前回の投稿「【私たちの生きていく世界を知るには!?】田坂広志「21世紀の知」を語る|田坂広志」における、「第1の成熟 「言語の知」から「暗黙の知」へ」にふれるところでもあります。
第6の成熟 「理性の知」から「感性の知」へ
「知性の知」とは「表層意識の知」であるが、
第6話 人類の知 第6の成熟 「理性の知」から「感性の知」へ
「感性の知」とは「深層心理の知」である。
まずこのことを理解しなくてはなりません。
私たちが、何かを「感じる」とき、実は、「考える」という状態よりも、「心の深くの知」が働いています。
環境の中に身を置き、環境に対して純粋な感覚を解放する経験を積み重ねていくことがポイントになります。
「表層意識の知」=「感性の知」は、表層意識の雑音から離れて、エゴから自由になった静寂の中で働き始めるものです。
保身や立場を守るような、スタンスではなく、環境を感じ、そして、その上で、自分の感覚をもってその状況に向き合うことができるのかがポイントです。
もしかしたら、自身のエゴを払拭する在り方としては、価値・信用・信頼の考え方「【信用貯蓄を始めよう!?】なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?|山口揚平」や、GIVEについての考え方「【正しく、”ギバー(Giver)”になるには!?】GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代|アダム・グラント,楠木建」がヒントになるかもしれません!!
まとめ
- 第4の成熟 「管理の知」から「創発の知」へ――創発のための場づくりが重要です。
- 第5の成熟 「理論の知」から「行動の知」へ――行動とは最も洗練された「認識」方法のです。
- 第6の成熟 「理性の知」から「感性の知」へ――エゴを払拭し、「感じること」が大切です。