【踊る!「人の心理」とは!?】行動経済学の使い方|大竹文雄

行動経済学の使い方
  • わたしたちは、つねに、合理的な判断や言動が可能でしょうか!?
  • 実は、人は、必ずしも常に合理的でありえません。
  • なぜなら、私たちはそもそも人はバイアスの中を生きているのです。
  • 本書は、そんな人の本性について解き明かす1冊です。
  • 自分を知り、人を知り、多少なりとも制御する知恵を得られるでしょう。
大竹文雄
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従来の経済学と行動経済学の違いとは!?

従来の経済学では、人は、計算能力が高く、情報を最大限に利用して、自分の利益を最大化するように、常に合理的な行動計画のもと、活動すると見立てられていました。

でも、現実はそんなことはありません。

従来の人への見立てをより、現実に即したものにしたのが、行動経済学です。行動経済学は、人の意思決定の「クセ」を見つめます。

ポイントは3つ。

1)不確実性の中での意思決定の仕方
従来は、満足度を発生確率の値をもとに、意思決定していると思われてきましたが、行動経済学ではプロスペクト理論と呼ばれる方法で意思決定していると説明します。利得と損失を非対称に感じたり、確率をそのまま使わないというクセに気付きます。

2)時間の捉え方の違い
従来は、将来のことを今決めると、時間が経っても状況に変化がなければ、決めたことを実行できると考えられていましたが、実際には、平気で先延ばしします。

3)利己的な人間像
自分のことしか考えない人間像を従来は想定していましたが、行動経済学では、社会性・互恵性も見据えます。

4)計算能力の違い
従来は、計算能力が高いことを前提にしていましたが、行動経済学では、計算能力はそんなに高くなくて、その分を直感で補うことを前提にしています。

人間の意思決定には、どのような特徴があるのだろうか。行動経済学は、人間の意思決定のクセを、いくつかの観点で整理してきた。

はじめに

確実性効果と損失回避とは!?

「確実性効果」とは、確実なものを好きだ!というクセを示します。

問題1
A 確率80%で4万円が得られる
B 100%確実に3万円が得られる

問題2
C 確率20%で4万円が得られる
D 確率25%で3万円が得られる

問題1→問題2は、確率が、それぞれ0.25掛けされているので、伝統的な経済学では、問題1でBを選んだ人は、問題2でもDを選択することが示唆されるはずなのですが、現実は、BとCを好む人が多いのです。リスクのある意思決定の際に、満足度の平均値を計算して大小を冷静に比較してはいない。というのが、行動経済学の見立ててです。

確率を数値ではなく、感覚として理解しようとする人間の心理かもしれません。

私たちは、確率に対してクセを発揮します。確実なもののほうが、多少でも不確実なものよりも好きです。また、80%90%のような確率を実際よりも低く見積もってしまったり、10%20%という比較的低い確率をより高く感じてしまいます。

また、同時に「損失回避」を行います。損失を被ることが嫌いなので、徹底的に避ける行動をとります。

損失回避や確実性効果などを背景にして、同じ内容であっても表現方法が異なるだけで、人々の意思決定が異なることをフレーミング効果と呼ぶ。

1 プロスペクト理論

たとえば、
A 術後1ヶ月の生存率は90%です。
B 術後1ヶ月の死亡率は10%です。
この2つを比較すると、Bのほうが手術を受ける人数が低かったそうです。

さらに、厄介な世界の捉え方が「現状維持バイアス」です。これは、現在の状況を自分が「保有している」と勘違いしてしまうことで、新しいチャレンジングな行動を制約することになります。保有しているものを価値が高いものだと勘違いしてしまう、人の見立てのクセによるものです。

今あるものを失うことは誰しもいやなので、現状を維持するようにものごとの判断を行うというものです。

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時間、社会性、直感が招く非合理性とは!?

人は、ものごとを先延ばししがちです。これは「現在バイアス」と呼ばれるもので、現在の楽しみを優先して、計画を先延ばしする本性をしめします。

問題1
A 今1万円もらう。
B 1週間後に1万100円もらう。

問題2
C 1年後に1万円もらう。
D 1年と1週間後に1万100円もらう。

問題1ではA、問題2ではDを選ぶ人が多いです。1週間で100円増えるのならば、Bが得なのにも関わらず、多くの人は金利を犠牲にしてしまうのです。そしてなぜか、問題2ではDが多いので、1年という長い期間を耐えたのだから、あと1週間くらい・・といってがまんできるのです。金利は同じなので、B、Dを選ぶのが合理的なのですが、なぜか、時間軸と率が絡み合うと人間のクセを助長させるようです。

近くへの視野では、ものごとの高低・大小がつかみにくいですが、遠くの視野では、ものごとの高低・大小がつかみやすい、視野の問題でもあるようです。

こうしたクセを理解して自分をコントローするすことをコミットメント手段といいます。たとえば、事前に予定を決めておくとか、細かく〆切を設けるとか、そういう工夫がポイントということです。

自分に現在バイアスがあることを自覚していおり、コミットメント手段を利用して、それを防いでいる人のことを、行動経済学では賢明な人と呼ぶ。

2 現在バイアス

また、人は、人のために自分の利を減らしたり、不平等な状況を是正したりもできます。これを「互恵性」や「不平等回避」と呼びます。

人は完璧な計算能力を持たないので、直感で行動してしまいます。これを「ヒューリスティック」と呼びます。たとえば、過去の投資はもう取り返せないのに、固執してしまうサンクコストの誤謬や、疲れているときに正しい判断ができない意思決定能力について、あるいは、選択の自由がかえって不自由に感じてしまうことなども含まれます。

松竹梅があれば、竹を選びがちですし、9×8×7×6×5×4×3×2×1のほうが、1×2×3×4×5×6×7×8×9よりも大きそうな感じがします。

大切なのは、こうした私たちのクセを知っているかどうか、そしてその上で自分の行動を上手にコントロールできるかどうかでしょう。

人というのは奥が深い。そして自分自身のことだからこそ、客観的になりづらい・・。とてもおもしろいですね。

過去の投稿「【非合理的な私たちを知る!!】行動経済学ってそういうことだったのか! – 世界一やさしい「使える経済学」5つの授業|太宰北斗」でも行動経済学がご紹介されていました。あわせてご覧ください。

まとめ

  • 従来の経済学と行動経済学の違いとは!?――人は必ずしも常に合理的ではないと見立てます。
  • 確実性効果と損失回避とは!?――率と損にだまされます。
  • 時間、社会性、直感が招く非合理性とは!?――現実的なクセを知り、コントロールしましょう。
大竹文雄
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