【非合理的な私たちを知る!!】行動経済学ってそういうことだったのか! – 世界一やさしい「使える経済学」5つの授業|太宰北斗

行動経済学ってそういうことだったのか! - 世界一やさしい「使える経済学」5つの授業
  • なぜ人間はリスクを過剰に恐れたり、あるいは、過剰に受け入れたりできるのでしょうか。宝くじに大きなお金が使えるのに、なぜ、100円のたまごの10円割引にこだわってしまうのでしょうか。
  • 実は、「行動経済学」がヒントになります。
  • なぜなら、人間を完璧に合理的なものとして扱う経済学とは一線を画した、人間の本質やバイアスを加味した経済学が「行動経済学」だからです。
  • 本書は、そんな「行動経済学」に関するとても明快な1冊です。
  • 本書を通して、使える「行動経済学」の全体像にふれることができるでしょう。

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行動経済学ってなんだ!?

一般的な経済学は、人をいつのときも合理的に判断し、行動する存在と仮定しています。でも、人はいつなんどきも合理的かというとそうでもないのが事実です。これを現実的に捉えてパターンを見出そうというのが、「行動経済学」です。

行動経済学の大きな発見のひとつは、「多くの人がハマる非合理的な行動には、パターンを見つけることができる」という点です。

2 行動経済学の大発見!――「非合理な行動」はある程度予測できる

プロスペクト理論とは!?

プロスペクト理論では、心理学で考えられてきた認知・判断の限界という観点ではなく、「損か得か」「うれしいか悲しいか」という、人の心の満足度の感じ方という観点から「ヒトがどのように物事の価値判断をしているか」、その非合理的な特性を説明していきます。

3 「損失は絶対嫌!」の価値判断――プロスペクト理論①

プロスペクト理論によると、人は次にあげる3つの特長を有するといいます。

1)心の満足感(心理的価値)は「水準」ではなく「変化」で決まる
2)何かを損する悲しみは、同じものを儲けた際の喜びより大きい
3)リスクが好きか嫌いかは、損をしそうかどうかで変わる

 (損をするならリスクを追求するし、儲けがあるならリスクは避けたい)

どうやら、人は文脈と、すでに持っている(あるいは、もたらされそうなものとして確約されているもの)に対してとても弱いみたいです。いずれも、バイアスが作用していると言います。

こうした特性を活かせば、人にたいして何かを説明したり、行動を促すための工夫に応用できるかもしれません。ただし、効果てきめんですので、悪用は厳禁ですね。

確率論への甘さ、言語からの影響にみる行動経済学

さらに、プロスペクト理論では、リスクへの向き合いについて、さらに言及しています。

確率論への甘さ

リスクのある不確実な状況で、ヒトはその確率の判断を誤ります。

4 ”まずありえない”は「ありえるかも」の確率判断――プロスペクト理論②

どんな判断の誤りがあるかというと、たとえば、100%と99%と、92%と91%を比較すると、同じ1ポイントでも100→99%の方が差が大きいように感じることがあります。また、0%ではなくて0.05%でもあるならば、「意外とありえそうなできごと」と認識してしまうのです。

つまり、人はより確実な確率を重く受け止め評価し、少しでも確実でなくなると、その主観的な評価も大きく下がるのです。そして、全くありえないこと、つまり0%ではないと思ってしまうと、いきなり「案外あるのでは?」と思ってしまうのも特長なのです。

だから、宝くじが売れたり、生命保険が販売できたりするんですね。

不確実な状況こそ、冷静に確率論で判断したいものですが、そううまくはいかないのが人なのです。

というのも人には思考のシステムが2つ備わっていて、
システム1は、主に知覚や直感により働くもので、
システム2は、意識して働かせる情報処理です。

適切に使い分けられていれば良いのですが、直感系のシステム1が誤って優位になると、バイアスがかかり、上記の特性が良くない場面で表に出てしまうのです。

人ならではのこうしたクセを意識してものごとに当たるのがポイントです。

言語の特長が、時間価値と行動に影響している!?

もう一つ、本書の中で特に面白かった内容をご紹介します。

貯蓄額は、未来をどれだけ信じられるか、あるいは備える気持ちがあるかによっているといえます。時間割引率という概念でも説明できます。今日の100万円よりも、1年後の110万円を待てるかどうか、待てる人は、この比較をした場合に時間割引率が年率10%を超える人です。

国別に貯蓄を比べていくと、下記の2つのグループで顕著な差(実に4.7%の違い)があったそうなんです。

<Aグループ>
・ルクセンブルク
・ノルウェー
・スイス
・日本
・オランダ
・フィンランド
・オーストリア
・ベルギー
・デンマーク
・スウェーデン
・エストニア
・ドイツ
・アイスランド

<Bグループ>
・韓国
・ロシア
・アイルランド
・チェコ
・チリ
・スロベニア
・オーストラリア
・メキシコ
・スロバキア
・スペイン
・ハンガリー
・カナダ
・ニュージーランド
・イタリア
・トルコ
・フランス
・ポーランド
・ポルトガル
・イスラエル
・イギリス
・アメリカ
・ギリシャ

これらの2つのグループの違いは、未来形の違いにあります。

Aグループは、
「今日は寒い」「明日は寒い」という言い方をします。

一方、Bグループは、
「It is cold today」「It will be cold tomorrow」という言い方をします。

つまり、Aグループの主語は、過去と未来が一続きのようなニュアンスになり、Bグループは切り分けにより未来は未来というふうに脳が強調してとらえるというのです。よって、未来の自分や未来の貯蓄を想定することよりも、現在の消費に重きを起きやすくなるということです。

このようにして、言語の特長からなんと人の行動が左右されている可能性もあるというのです。

大切なのは、これらのバイアスが存在することを想定して、なるべくメタ認知を活用して意識的に行動することができるか。とくに大切なジャッジのときには、こうしたことを思い出すことができるか!?ということではないでしょうか。

自分の考え方に客観的になるのは難しいですが、それに取り組める視点をくれるのが過去の投稿「【人間OSの高め方とは!?】リフレクション(REFLECTION)自分とチームの成長を加速させる内省の技術|熊平美香」です。ぜひ、ご一読ください!!

まとめ

  • 行動経済学ってなんだ!?――人の非合理性にも着目しパターン化する学問です。
  • プロスペクト理論とは!?――文脈、感情・心理面、損得における人の特長を表す理論です。
  • 確率論への甘さ、言語からの影響にみる行動経済学――人の非合理性についてさまざまなファクターを知っておくことがポイントです。

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