【ROICは投資家とのコミュニケーション!?】ROIC経営:稼ぐ力の創造と戦略的対話|KPMG FAS,あずさ監査法人

ROIC経営:稼ぐ力の創造と戦略的対話
  • 企業価値とは何でしょうか、売上?利益?キャッシュフロー?
  • 実は、こうしたフロー型の管理だけでは舵取りが難しい時代になっています。
  • なぜなら、フロー型は、投資家の関心事の一部にしか応えられておらず、適切なコミュニケーションツールとして言い難いものなのです。
  • 本書は、リスクマネーの主たる提供者である投資家とのコミュニケーションとして機能しつつも、社内的には適切な効率性管理を実現するROIC経営に関するベーシックな1冊です。
  • 本書を通じて、ROIC経営のメリットについて基本的な知識を得られるでしょう。
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企業価値とは何か!?リスクマネーを集めることから考える

ずばり企業価値とは何でしょうか。残念ながら一義的に答えが決められません。ステークホルダーにとって、さまざまにゆれる企業価値ですが、本書の中では、リスクマネーをいかに集められるかという価値観にそっていきます。

リスクマネーは成長性ある市場に集まります。日本の経済成長率よりも遥かに凌ぐ、アメリカに投資家の注目が及んでいることはみなさんもさまざまな報道で知るところでしょう。新しい事業を始めるのに投資は重要です。良いアイデアがあっても、あるいは志を持っていても、元手がなくては、変化をもたらすことは難しいものです。

お金を集めるというのではなく、未来を見るプロの賛同をいかに得られるか!?と言う視点で、投資マネーと付き合うのが良いかもしれません。

【幸せな投資とは!?】投資家が「お金」よりも大切にしていること|藤野英人」では、そんなお金に関するスタンスが説かれていました。合わせて読んでいただくことで、お金稼ぎだけではない世界観で経営指標についてふれることが可能になるでしょう。

リスクマネーの提供を受けることで事業を展開している以上、リスクマネーの主たる提供者である機関投資家と企業とで企業価値に関する目線が異なれば、成長資金が日本市場に本格的に回帰することはないであろう。

はじめに

ビジネスは常に相手ありきです。もちろんモノやサービスを販売する先としての顧客の存在も特に重要なのですが、そもそも、そのビジネスに投資をしてくれた投資家の存在も忘れてはなりません。投資家のインサイトも、事業運営・拡大にはポイントです。この投資家とのコミュニケーションを適切に行なっていくために、数字コミュニケーションが有用なのです。

フロー経営だけではリスクマネーを集められない!?

経営指標でコミュニケーションが大切になりますが、日本企業の多くが、まだ「フロー経営」を重要視しています。

現状では、多くの日本企業が売上、利益、キャッシュフロー、売上利益率などのフロー指標を重視した経営を行っている。

(1)フロー経営の限界

売上、利益、キャッシュフローに何がかけているでしょうか!?

それは、投下資本です。元手をいくら投下してその利益や現金を生んでいるのか?その視点がないのです。

たとえは、「フロー経営」では、A社利益100 B社利益100は同じ評価になります。ただし、これに対してA社は元手1000、B社は5000で展開していたらどうでしょう。圧倒的にA社の方が効率性が高いということになります。

このように、「フロー経営」では、実は元手を勘案した管理や情報開示をすることができないのです。自社にとって○でも、実は投資家にとってみれば、あまり興味のない数字を公表してた!ということにもなりかねないのです。

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企業の対外的に公表する観点で言えば「フロー経営」は不足点があるのですが、実は、対内的な管理に関しても、不足しています。

本来、既存事業を改善・改良したり、新しい事業を展開する際などには、「何を行って」「結果どうなったか」の2つの観点で分析する必要があります。しかし、フロー的指標では、「結果どうなったのか」しか分からずに、「何を行った」という視点が抜けてしまうのです。

「フロー経営」だけでは、結果だけを見ることになりかねず、元手意識、あるいは効率性意識を欠如しかねないのです。

こんな当たり前なこと!大丈夫でしょう!って思うかもしれませんが、さまざまな関与者がして、日々の業務に追われる極めて複雑系の経営において、こうした指標ひとつの設定が最終的な結果を左右することになるものなのです。

ROIC経営のすすめ!

そこで、おさえておきたいのが「ROIC経営」です。

ROIC = NOPAT / 投下資本

(3)稼ぐ力を表すROIC

税引後営業利益÷投下資本で算出されます。投下資本は、いくつか定義がありますが、1)有利子負債+自己資本、2)運転資本+固定資産で表されるケースがベーシックです。

詳しくは過去の投稿「【事業別の収益性管理の重要性とは!?】P/Lだけじゃない事業ポートフォリオ改革 ROIC超入門|松永博樹,伊藤学」で、WACCやEVA®との関係性も含め、算出方法が詳しく説かれていますのでご参照ください。

今回取り上げさせていただいた、『ROIC経営:稼ぐ力の創造と戦略的対話』は、ROIC経営を取り入れるため、その算出方法や注意点、運用方法についても示唆をくれる非常に実務的な1冊であると感じました。ROICを起点とした投資家コミュニケーションを行っていく際の基本書籍として、おすすめしたいと思います。

まとめ

  • 企業価値とは何か!?リスクマネーを集めることから考える――機関投資家の立場から企業価値を見ると、彼らの関心事にいかにこたえるか!?そのためのコミュニケーションの重要性に気づきます。
  • フロー経営だけではリスクマネーを集められない!?――フロー指標は、投資家の関心事の一部にしか応えられていません。また、自社にとってもPDCAが回しにくいものになっているはずです。
  • ROIC経営のすすめ!――投下資本も加味した情報開示・内部管理を行いましょう。
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