【実践考③「あるべき姿」を見つける実務戦略】ニュータイプの時代|山口周

ニュータイプの時代
  • 「ニュータイプ」シフトを現業で達成するには、どんな着眼点が必要でしょうか。
  • 実は、「問題」「課題」「解決策」の違いを理解することが重要かも。
  • なぜなら、大切なのは、この順番と最初の「問題」の設定だからです。
  • 本書は、山口周さんによって説かれた新しい働き方の考えを「ニュータイプ」として詳しく説いています。
  • 本書を通じて、「ニュータイプ」のあるべき姿と現在の自分とのギャップを認識することができます。

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山口周
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大切なのは、「問題」だ!?

問題とは「あるべき状態」と「現場」との差分と定義することができる。現在進行している「問題の希少化」という問題は、根本的な「あるべき状態」を構想する力の衰えが招いている。

第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から問題設定へ

これまでは、「問題」は所与でした。なぜなら、みんなだいたい同じような理想像をもって、結果、同じような問題認識をして、同じような価値観をもとに、ジャッジしていればよかったからです。決定的に影響しているのは、「モノが不足していて、不便だった」という背景があるでしょう。みんなが三種の神器が欲しかった時代から、みんな百種の神器をすでに持っている時代になって、モノでは、満たされなくなってきてしまいました。ここで、私たちは、新しいあるべき姿を構想する必要が出てきてしまったのです。

「セグウェイ」どこいった?

方法論がどんなに革新的であっても、生み出した経済価値が小さい取り組みには「イノベーション」の称号は与えられません。世紀の大発明と言われながらも結局は一度も黒字化できなかったセグウェイ、あるいは世界初の携帯情報端末として期待されながらも大きな経済価値を生むことのなかったアップルのニュートンは、その典型例と言えます。

第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から問題設定へ

山口周さんは、セグウェイや、ニュートンには、「社会をどうしていきたい」というあるべき姿を提示することが欠けていたといいます。一方で、現在グローバルで注目を浴びている企業の多くは、社会視点・社会起点のビジョンを持ちます。しかも、野心的、独善的に。たとえば、化石燃料依存からの脱却を目指す「テスラ」。たとえば、地球環境保護を訴える「パタゴニア」など。

こうした企業は、過去の投稿「【あなたのパーパスは、なんですか?】パーパス・ドリブンな組織のつくり方|永井恒男,後藤照典」でも取り上げられているパーパス企業の「パーパス」にも触れるところがあります。

「問題」→「課題」→「解決策」で考えよう!

良質な問題の設定と革新的な解決手段の組み合わせによってイノベーションは成立するが、それはあくまで結果であって、当初からイノベーションを目的として設定するのはオールドタイプの思考様式である。

第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から問題設定へ

順番が大切です。そして、「目的」と「手段」のすり替わりに、敏感になる必要があります。「イノベーション」は「目的」ではなく、「手段」でさえなく、「結果」です。

ニュータイプはあくまで「課題の設定とその解決」にこだわる。

第2章 ニュータイプの価値創造――問題解決から問題設定へ

どうしたら、問題、課題、解決策を混同せずに済むでしょうか。大切なのは、言葉だと思います。それぞれ、たとえば、下記のように記述されるものであると認識することで、不足を認識することができると思います。

  • 問題――「~~がない。」
  • 課題――「~~を、~~すること。」
  • 解決策――「~~をする。」

でも、これを一度設定してみるとわかることなのですが、いろんなレイヤーと粒度が入り乱れることになります。そのためにも、起点が必要になります。何より大切なのは、問題を生む原動力です。そのためには、「あるべき姿」へのビジョンが不可欠となります。

「あるべき姿」は、独善的でもいいと、山口周さんは説きます。事実として、たとえばテスラやパタゴニアのビジョンも、おせっかいだというふうに捉えることもできます。そんな時、大切なのは、「社会に決定的に不足しているものごとを見つけられる、自分軸の見立て」であると思います。

たとえば過去の投稿「【自分と本当に向き合えてる?】ジーニアスファインダー自分だけの才能の見つけ方|山口揚平」などがとても参考になると思います。これは個人のキャリア戦略について描かれていますが、実は、企業や事業にも応用することができるのではないでしょうか。

本書の中では、自分軸を持つ時に、つぎの3つを俯瞰するといいと説かれています。

STEP1「とげぬき」過去を整理して幼少期に植え付けられた自己評価や偏見を洗い出すこと
STEP2「天才性の抽出」自分のコア(存在の本質)から輝き出る光。つまり、天才性を明らかにすること
STEP3「再構築」天才性に基づいた生活環境や仕事を作り直すこと

これを企業や事業にあてはめてみたら、過去の俯瞰→執着してしまうものごとの客観視→再構築(社会に決定的に不足するであろうものごとの特定と、自分たちの役割の発見)と、なりそうです。こうしたステップを実行するには、「組織開発」のメソッドなどが活用できそうです。でも、紙面も限られていますので、それはまた、別の投稿にて・・!

ところで、「自分軸」ということを創造しながら、哲学者ノヴァーリスの「哲学とは?」という言葉を思い出します。

哲学とはほんらい郷愁であり、さまざまな場所にいながらも、
家にいるようにいたい、そう願う気持ちが哲学なのだ。

ノヴァーリス(Novalis, 1772年5月2日 – 1801年3月25日)

これは、20世紀最大の哲学者の一人とされるハイデガーも引用したそうです。自分軸を見つける時に、人として、絶対的にこうしたい!みたいな、根本的な視点も大切にしてみることもポイントかもしれません。「家にいるようにいたい」ってそんな、わがまま!って思うかもしれないんですけど、でも、世界や社会をこうしたい!っていうのも、案外わがままなのかもしれません。

ちなみに、ノヴァーリスについては、過去の投稿で取り上げた国分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』で知りました。こちらもとてもおすすめです。過去の投稿「【パンだけでなく、バラのある生活?】暇と退屈の倫理学|國分功一郎」もぜひご覧ください。

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まとめ

  • 大切なのは、「問題」だ!?――問題が希少化しているという問題がおきています。
  • 「セグウェイ」どこいった?――技術だけではなくて、社会をどうしていきたいもセットで考えましょう。
  • 「問題」→「課題」→「解決策」で考えよう!――自分軸で「あるべき姿」を規定しましょう。

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