【親子の信頼関係がキー!?】私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む|ポール・タフ

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む
  • よりよい未来を作り出していくうえで、何が必要でしょうか!?
  • 実は、平等、公平に子どもを育てる社会を作ることかも知れません。
  • なぜなら、子どもこそが、未来であるからです。
  • 本書は、子どもに対する教育と投資の可能性を説いた1冊です。
  • 本書を通じて、実現したい豊かな社会のあり方についてヒントを得ます。
ポール・タフ
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子どもへの介入に必要な視点は!?

多感な子ども時代によりよい経験や体験を積み上げることで、その後の人生をよりよく変えていくことができます。それは、おとなになってからの教育よりも段違いの効果を生みます。なぜなら、蓄積効果があるからです。3~5歳の未就学児に対するアプローチで、未来の社会を変えていくことができます。

いくつかのアクションが考えられますが、本書では、次の3つを提唱しています。

1)政策の変化

子どもに十分な支援が与えられている環境を「強化された環境」として定義して、社会福祉の充実をはかることが望ましいです。とくに貧困などの個人の努力ではどうにもできないようなことについて向き合っていく必要があります。すでに固定的になっている学校教育では、貧困層の子どもを十分に救い出すことは困難です。社会の仕組みとして教育制度を整えていくことが求められます。積極的な社会政策に対する議論の必要もあります。

2)行動の変化

逆境に育つ子どもたちのために働いている、教師、メンター、ソーシャルワーカー、コーチ、それに親は、自ら接点を持つ子どもの非常に重要な時間を担っているのであるという意識の下、よりよい行動のために学習とトライアンドエラーを続けていきましょう。

子どもたちの人生の軌跡は、大人にとってはたいして重要でないように見える些細なものごとから変わり始めます。親の声の調子、教師が付箋紙に書くメモ、数学の授業のやり方、難題に直面した子どもの話を聴くコーチやメンターの姿勢、こうした個人的な行動が強力な変化を生み出すことも考えられます。

3)考え方の変化

教育に関する研究は、その効果を説くために、詳細なデータを記載している場合があります。サンプルの規模、標準偏差、回帰分析とか・・・データの分析にフォーカスすることも大切ですが、ひとりひとりと向き合うことの大切さも改めて考えてみることが大切かも知れません。マクロ的に社会や政策を変更していく視点と、目の前の子どもといかに向き合うかを考える、その両輪が、豊かな子どもの体験を育む環境を作っていくものだ、と信じてみましょう。

ロシアの孤児院や、ジャマイカの貧困地域や、シカゴの高校や、クイーンズの誰かの家の居間まで出かけていって、「私は子供たちの助けになりたい。私たちはもっとうまくできるはずだ」と発言した医師、心理学者、ソーシャルワーカーたちがいたことを思い出してほしい。

23 解決策

子どもが多感な時期に伸ばしたいのは、「非認知能力」です。もちろん、学力や読み書きなどのも向上している必要性に異論はないのですが、小さい頃に「非認知能力」を伸ばしておけば、その後、学力等の認知能力はついてくる可能性が大きいです。まずは、生き抜くための基本的なOSをいかに伸ばすのかを、子どもの周りにいる人が考えておく必要がありそうです。

子どもに何を提供すべきか!?

数学や歴史を教える時にうまくいくような指導法が、性格の強みを伸ばそうとするときには役にたたないことも明らかでしょう。

私の至った結論はこうだ。「非認知能力は教えることのできるスキルである」と考えるよりも、「非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えたほうがより正確であり、有益でもある。

3 スキル

かつて読んだ本の中に、環境次第で人は変わるという主旨のものがありました。こちらの1冊「【意志に頼るな!環境を変えろ!!】FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略|ベンジャミン・ハーディ,松丸さとみ」です。

子どもを育てることを、個人で引き受けすぎる必要もないのかも知れません。大人がそうであるように、子どもも社会生活の中で育ちます。当然、家庭がもっとも重要な場所であることに変わりないと思いますが、それ以外の環境の重要性についても検討してみましょう。

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何が子どもを育てるのか!?

1986年、ジャマイカの首都キングストンにある最貧困地域で、西インド諸島大学の研究者チームが実験を始めました。30年以上にわたる介入効果テストです。この実験の中で、子どもの環境を構成するもっとも重要な要素である親に対する介入効果を把握しました。

129人の乳幼児とその家族を対象とした実験において、当初乳幼児たちには、肉体面あるいは精神面で何らかの発達の遅れがありました。対象は、4つのグループに分けられました。

  • グループ①有資格研究者による1時間の家庭訪問を週1受ける:研究者は、子どもと遊ぶ時間をもっととるように(絵本を読み聞かせたり、歌を歌ったり、いないいないばあをしたり)親を、指導しました。
  • グループ②牛乳由来の栄養補助食品を週に1キロ受け取る
  • グループ③補助食品と家庭訪問の両方を受ける
  • グループ④なにもしない(コントロール)

これらのアクションを2年間継続し、その後は何もしませんでした。そして30年後追跡調査によって、判明したことがあります。

結果をいうと、子供の人生に大きな変化をもたらしたのは栄養の補助ではなく、もっと子供と遊ぶようにという親への指導だった。

9 アタッチメント(愛着)

指導を受けた親の子どもたちは、最貧困地域にあっても、子供時代をうまく乗り切りました。知能指数のテストの成績が良く、攻撃的な行動は少なく、そして、自制心が養われました。

30年を経て、大人になった彼らの年収は、家庭訪問を受けていなかったグループの子どもたちよりも、平均して25%高い状況です。発達に遅れのあった子どもたちが、まったく発達遅れのなかった同年代の子どもたちに追いつくこともできました。

ジャマイカの実験で、貧しい親への家庭訪問には、予算を割いてもいいだけの潜在的な効果があるとわかった。

9 アタッチメント(愛着)

ジャマイカの実験では、いくつかの疑問が残りました。

  • 親のどのような行動がいちばん大事だったのか?
  • 訪問者からのどの指示が、どういった方向づけが、不利な状況下にある親たちにその大事な行動を取らせたのか?

これを明らかにすることによって、より効果的な政策を提言することができます。実際には、まだ不確かなことが多いのです。いくつかの仮説のもと検証が進められています。キーは、何をターゲットにするかです。

1)子どもの健康
2)子どもの認知能力(語彙・読解力)
3)子どもと親の関係

いまでは最も見込みの高いアプローチは、3番めの「子どもと親の関係」をターゲットとしたものだと考えられています。心理学で「アタッチメント(愛着)」と呼ばれる現象を子どもの側に作り出すことです。

1950年代にイギリス、カナダ、アメリカの研究者らが発見したところによると、生まれた最初の12ヶ月のうちに暖かく気配りの行き届いた子育てを経験した子どもは、多くが親と強い結びつきを形成することが明らかになりました。これによって、子どもの心に安心感と自信が深く根づきます。

家庭訪問によって、もっと子どもと遊んだり、本を読んだり、話たりすること――つまり、「もっと子どもとのやりとりを増やすこと」を通じて、親の行動が安定した「アタッチメント(愛着)」を育てる効果を育むのだということが考えられます。

まとめ

  • 子どもへの介入に必要な視点は!?――政策と一人ひとりの行動と考え方です。
  • 子どもに何を提供すべきか!?――生きる力を養うための環境です。
  • 何が子どもを育てるのか!?――アタッチメントと呼ばれる心理状態を育むことです。
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