- よりよい幸せをたくさん感じられる人生とは、どこにあるでしょうか!?
- 実は、いまここかも。
- なぜなら、感じ方によるものだからです。
- 本書は、世界で活躍する投資家が見つけた、本当に大切な人生の幸せの秘訣に関する1冊です。
- 本書を通じて、人生とは見立てによって、どんなものにもなることがわかるでしょう。
ダイヤモンドの山は足元にある!?
本書の著者は、ジョン・C・ボーグルさんです。彼は、1974年に投資信託運用会社「バンガード」を設立しました。世界で初めて個人向けのインデックスファンドを創設したことで有名です。
彼の業績は次のような点があげられます。
- インデックスファンドの創設:ボーグルは、1975年に世界初のインデックスファンド(Vanguard 500 Index Fund)を設立しました。このファンドは、S&P 500指数に連動するように設計されており、低コストで広範な市場に投資する手段を投資家に提供しました。
- 低コスト投資の推進:ボーグルは、投資家の利益を最優先に考え、低コストで運用することの重要性を強調しました。彼の理念は、投資信託の運用コストを最小限に抑えることで、長期的な投資リターンを最大化するというものでした
- 投資家保護の理念:ボーグルは、投資家が市場の騒動や短期的な利益に惑わされず、長期的な視野で投資を行うことの重要性を訴えました。また、彼は透明性の高い運用を重視し、投資家が自分の資金の使われ方を理解できるよう努めました。
ジョン・C・ボーグルさんは、本書の中で、人生で本当に大切なことについて、説いてくれています。そんな本書は、次のようなストーリーからはじまります。
ダイヤモンドの山
古代ペルシャでのこと。 1人の裕福な農民が、さらなる富を求めて旅に出た。生涯をかけて伝説のダイヤモンド鉱山を探そうとしたが、いつまでたってもその夢がかなうことはなく、農民はついに海に身を投げて死んだ。哀れな農民がわが家に帰ることは二度となかった。そのころ、彼の土地には新しい持ち主が現れた。広大な土地を見て回ると、小川のせせらぎのなかに日差しを受けて何かが輝くのが見えた。それは大きなダイヤモンドだった。そこは宝の山として知られるゴルコンダ鉱山だったのだ。
私たちが生きるこの時代はすばらしい時代であり、また悲しい時代でもある。
序章
このように、ジョン・C・ボーグルさんは描写します。それはまるで、解釈の重要性を説くような言葉です。お金だけに身を委ねて、無尽蔵の欲にさいなまれながら生きるのか、あるいは、別のロジックを自ら意志をもって見つけるのか、その自分の価値観の舵取りを自らに課すべき時代と言ってもいいかも知れません。
正しさとは!?
マネーゲームとは、金融市場において投機的な取引や投資を行い、短期間で利益を得ることを目的とした行動を指します。この用語は、しばしばリスクの高い取引を伴うことから、ギャンブルに例えられることがあります。こうした、お金が目的となって、お金を増やし続ける行動に幸せの世界線はあるのでしょうか。
残念ながら、お金はどこまでいっても手段であるため、それが幸せを呼んでくれることはありません。さらに、お金は無限に増やすことができてしまうために、自分で線を引いていかないと、無尽蔵の欲に自分が埋もれてしまうことになります。
足るを知る――。飾り気のないこの言葉の意味の深さに、私は打たれた。
序章
「足るを知る」とは禅の言葉ですが、まさに、この言葉通り、自分とお金の使い方に区切りをつけて、自分なりの解釈をしなければ、お金や物的欲に支配された人生になりかねません。
禅視点での考え方はこちらの1冊「【質素と簡素は大違い!?】人生の流れが美しくなる 禅、「お金」の作法|枡野俊明」をぜひご覧ください。
人は、本来自分の人生の舵取りをしたいと考えている生き物です。自分の意志を大切に、自らの発想を研鑽しながら、よりよい人生のために感じ方考え方をアップデートしていくことが大切です。
職業人の行動とは!?
「ビジネス」と「職業人の行動」を比較してみましょう。
「職業人の行動」とは次のようなものです。『ダイダロス』誌による定義です。
① 広くは社会全体の幸福に対する責任、具体的には依頼人の利益に対する責任を負う。
② 理論や特別な知識が蓄積される。
③ 専門に応じた特殊技能をもち、それを使って独自の成果をあげる。
④ 倫理性があいまいな状況でも、高潔な決断を下せる高い能力をもつ。
⑤ 個人または集団として経験から知識を得るための体系的な手段をもち、仕事を通じて新たな知識を蓄える。
⑥ 専門分野のコミュニティを組織して、実際の仕事の質と専門教育の質とを管理する。
こうしたマインドセットとスキルセットをこれまで人は大切にしてきました。しかし、足元の世界観は、これらの「職業人の行動」を「ビジネス」の思想が凌駕したものとなっています。どんなビジネスでも利益を上げることは、とても大切なことです。ただ、ビジネスの側に職業人の倫理観を持つことも求めることはできるはずです。
でも、いまこの時代は、どうしても「ビジネス」優勢のものごとの判断がされがちです。利益のための売上。収益のための活動。何を感じ、何を見たいからこそ、それをしているのかという、視点、つまり生きる目的を改めて問う時代です。
そして、よき倫理観をもってして、ものごとに当たる時、えられることも多いことに気付くでしょう。それは、まるで足るを知るのと同じように、ひとつの結果に対してもより多くの手応えや見方をえるのと同じになります。利益=お金という視点だけではなく、それ以外の何かを感じながら、そして、それらを積み重ねていくことが、なにか自分にとって、そして周囲にとってより良いことになりそうだという感覚を見出しながら、歩んでいくことが必要なのです。
この社会の未来は、わずか40年前にはたしかな存在感をもっていた、職業人の価値観に立ち返ることができるかどうかにかかわっている。
第5章 「ビジネス」より「職業人の行動」を
また次回も、本書から、いかに生きるかを探してみる時間を持ってみましょう。
まとめ
- ダイヤモンドの山は足元にある!?――ものごとの見立てこそ、自らの資産なのかも知れません。
- 正しさとは!?――強欲の中にはなく、足るを知る考えの中にあります。
- 職業人の行動とは!?――倫理観にあふれ、よりよい生き方を目指すうえで基本となるOSです。