- 心を清らかに保つためには、何が必要でしょうか!?
- 実は、物理的な空間の掃除にヒントがあるかも。
- なぜなら、掃除のその行為自体も、禅では立派な修行とされるのです。
- 本書は、掃除をキーに、心身を整える秘訣を説く1冊です。
- 本書を通じて、禅僧・枡野俊明さんから、日常を修行に変えるヒントを得ます。
掃除の効能とは!?
「一掃除、二信心」
はじめに
これは、禅の言葉です。最初にやるべきことは、掃除。そして、それが済んでから信心という意味です。それほどまでに禅では、掃除を重視します。
掃除をすると、なぜか気持ちがスッキリとする経験はないでしょうか。部屋にゴミやほこりがなくなって、きれいになることもさることながら、自分の心までも掃除をした気分になる、それが掃除です。
仏教の世界観は、「諸行無常」です。これは森羅万象、この世で起こることは一切が片時もとどまっていないという意味です。
この空間も、そして、私たちの心だってそうなのです。だから、時折、掃除をして空間も心もきれいにしておくことが、重要なのです。サボって心の掃除をせずに生活をしていると、欲求や執着、妄想、邪念など、心のほこりをためてしまいます。心のほこりはたまりだすと、さらに集まってしまいます。だから、ご注意ください。
自分の心をどう見立てるか・・・なのですが、前提として、「自分心は、一点の曇もない美しい心である」と見ることです。実際に人の心は自ら正しく美しい輝きを持ちます。しかし、ほうっておくと、それがほこりで曇っていってしまうのです。自分の素直な気持ちや心のままでいるためにも、定期的に掃除をしましょう。
掃除は、人を変える!?
物理的な空間を掃除することで、心の掃除も同時にできるのは一石二鳥ですね。
掃除はとにかく「実践」あるのみ。毎日繰り返し、全身・全力・全速力で取り組むことを通じて、ベストな方法を自分で探り出し、工夫しながらコツをつかんでいく。同時に、生き方につながる学びも体得する――。
掃除の心得を禅僧たちの「作務」に学びましょう。
掃除で、「汚れをとり、場を整える」ことを意識すれば、乱れた心も整います。掃除で美しくなった場と心がよりよい「縁」を育みます。掃除を自ら引き受ける人は、たとえやりたくない仕事が自分に回ってきたことも「ご縁」ととらえ「やりたくないなぁ」という嫌な気持ちを棚上げして、実践してみます。
そうすることで「まず、やってみよう」という気持ちを得て、次の新しい「ご縁」をいただくことができます。
「やらなくてもよい」という気持ちの裏腹には、「本当はやったほうがよい」という後ろめたい気持ちが拭えていません。つまり自分の気持ちに素直になっていないということです。そうではなくて、「本当はやったほうがいい」と思っているのであれば、素直に自分の気持ちに答えたほうがよいのですね。
そう言えば、本書を拝読していて、とある出版社の部長さんのお話を思い出しました。その方は、学校教育の問題や課題、そして可能性について研究されている方です。出会ったご縁を大切に、情報を紡ぎ、そして、広く届ける編集のお仕事をされています。
その方からうかがった話なのですが、とある地方の学校のお話です。大変風紀が荒れていて、いわゆる不良と呼ばれる学生ばかりが在籍し、学校の窓ガラスは割れ放題。そんな学校に、とある校長先生が着任します。その方が行ったのは教育改革や、指導改革などではなく、ただただ掃除だったということです。
単純に教職員が掃除をする。それだけで、学校が立ち直ったとのことなのです。
掃除をしていると、やることがない(本当が授業を受けるべきなのですが、学級崩壊をしているので、まともに授業ができない)生徒の一部が、先生の手伝いをして掃除に参加してくれます。これを見ていた、不良集団も当然のように暇ですから、掃除に加わっていきます。(そもそも、不良といってもやっぱりみんなで何かをしたり、みんなとコミュニケーション取ることを欲しているのですね。だから暴れちゃう・・)
そうこうしているうちに、教室だけでなく、学校全体がピカピカになっていきます。さらに、同時に、本書の枡野俊明さんがおっしゃるように、教師も生徒もみんな心が素直になりピカピカの状態になっています。
こうなってしまったら、もうまともに授業をするしか時間を潰す(!)方法はありません。
まさに、掃除の力が実ったひとつの事例だと思いました。
家庭においても同じことが言えるかも知れません。大人も子どもも一緒になって、日頃生活をともしている空間を丁寧に掃除する。そのことで、家族だんらんの心を養っていく習慣になりそうです。
掃除を日々の日課に!?
掃除は身体を動かすことにキーがあります。身体をまず動かしてみれば、そこで、やる気がみなぎり、次の行動を紡ぎ出すことができます。掃除には、そんな心身の両面に作用する効能があるのですね。
「掃除は頭を無にする訓練にもなる」ということです。
掃除が頭の中に「余裕」をつくってくれます。
体を動かさないと、頭の中が考え事でいっぱいになってしまいます。体を動かしてみることで、モヤモヤした気持ちや不安の気持ちが晴れていきます。自分が躓こうとしていたのは、「なんだ、こんなことか・・」と俯瞰してみることで、間違いのないアクションが可能になります。
坐禅が、「静の行」であるとすれば、掃除は、「動の行」だそうです。
「日々新又日新(ひびあらたにして、またひあらたなり)」という禅語があります。1日とて同じ日はありません。新しい1日を新しい気持ちでスタートさせる――。そのためにも、1日に1回は、必ず掃除をして過ごすようにしましょう。
道具を磨くこと、美しく保つこともとても大切です。
道具を大事にする人はいい仕事をする
掃除道具は、シンプルなものでかまいません。
どんな分野にも共通している事実です。自分の仕事道具も1日が終われば、しっかり整えて、整理整頓して、新しい明日に備えてあげることが大切です。モノを大切にする気持ちがあれば、それが仕事の内容にも現れていきますね。
いちじが万事という気持ちをわすれずに、今日も掃除を実践したいと思いました。
枡野俊明さんの著書について多くご紹介させていただいています。こちらの1冊「【まず動くこと!?】考える前に動く習慣―――始める、進める、続ける 禅の活かし方|枡野俊明」やこちら「【無目的に邁進する!?】禅「心の大そうじ」―――一瞬一瞬を大事にする「幸せな生き方」|枡野俊明」もおすすめですので、ぜひご覧ください。
まとめ
- 掃除の効能とは!?――空間と心をきれいにするポジティブスパイラルです。
- 掃除は、人を変える!?――学級崩壊だって、掃除で整うのです。
- 掃除を日々の日課に!?――新しい毎日を清々しく迎えましょう。