- オールドタイプのマーケティング思想で、業務にあたっていませんか!?
- 実は、新しい顧客との関係性を見極める必要があるかも。
- なぜなら、何十年分ものマーケティングデータを研究した成果がここにあるから・・
- 本書は、バイロン・シャープさんによる、マーケティング思想の地平を拓く1冊です。
- 本書を通じて、いわゆるマーケティング的「常識」を払拭するヒントを得ます。
昨日の投稿「【顧客は、想像以上にダイナミックだ!?】ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11|バイロン・シャープ」に続き、本書を取り上げさせていただきたいと思います。
マーケティングの真実とは!?
消費者の購買行動とブランドの競合状態を何十年間も調査して次のような驚くべき結論に至った。
序章
- マーケットシェアは認知度が上がることで、つまり、いかなるタイプの購買客であれ、その数が増えることで成長する。その多くがブランドをたまにしか買わないライトユーザーである。
- ブランドは、多少の差別化のポイントはあっても、その多くがまるで類似製品のように競合しあっている。しかし認知度には(従ってマーケットシェアも)差が生じている。
- ブランドが競合し合い成長すると、市場を基盤とする大きな2つの資産が根付くことになる。フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の高まり)とメンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)だ。
多くの場合、消費者が購入しやすいブランドほどマーケットシェアは大きくなる。そして革新と差別化がうまく機能すると市場に資産が形成される。それは先行製品を競合製品が模倣した後も永続する。
この視点に立つと、自ずと次のような、作戦を想像します。
- 製品を目立つようにブランディングを改善すること。
- ブランド独自の資産(ブランドカラー、ロゴ、トーン、フォント等)を把握し、守ること。
- 消費者の購買行動を知り、
いつブランドのことを考え、気づき、どのように生活に取り入れているのかを知ること。 - メディアと流通をこれらの事実に即して、上手に使うこと。
大切なのは、ブランドという情報資産の管理発展と、メディア(メンタル・アベイラビリティの向上)と流通(フィジカル・アベイラビリティの向上)双方の活用です。いかに、4Pを横断した目線で、マーケティングの全体感を失わないかがポイントになります。
これについては、過去の投稿「【マーケは「3つの問い」を駆使せよ!?】マーケティング思考 業績を伸ばし続けるチームが本当にやっていること|山口義宏」でも語られていますので、ぜひご覧ください。
新たなマーケティングの優先事項とは!?
マーケティングの優先事項も変わります。
——————–従来のモデル——————– | ——————–将来のモデル——————– |
ポジショニング | セイリエンス(目立つ) |
差別化 | 独自性 |
メッセージを理解させる | 気づかせて感情的反応を引き出す |
ユニーク・セリング・プロポジション | 身近な関連性の構築 |
説得する | 記憶構造を刷新/構築する |
教える | 届ける |
視聴者の理性に訴える | 視聴者の感情に訴える |
広告は、記憶構造を刷新することで、また時々構築することで概ね機能する。マーケターはおの記憶構造を調査して、ブランド独自の資産を生かした一貫性のある広告により記憶構造が刷新させることを確認されなければならない。
序章
これはつまり、「洗練されたマスマーケティング」を念頭に、全ての施策を構築することの可能性をもう一度、示唆してくれていると言ってもいいでしょう。
近年、CRM技術やウェブによるターゲティング技術の向上により、ターゲット・マーケティングに論点の重きが置かれていました。その視点も重視しながら、いかに「マス」を思考できるのかが、あらためて検討されることが望ましいのです。
消費者行動、ブランドパフォーマンス、そして、広告・・
新しいマーケティングの優先事項を支える視点として、消費者行動の変化、ブランドパフォーマンスの捉え方の変化、そして、広告の変化についても検討する必要があるでしょう。
本書で紹介する法則は何十年にもわたって使われているもので、世界中どこでも通用する。だからこそ有益な予測を提供してくれる。
序章
——————–従来のモデル——————– | ——————–将来のモデル——————– |
態度が行動を促す | 行動が態度を促す |
ブランドロイヤルティが髙い | ロイヤルティスイッチャー |
ブランドスイッチャー | ロイヤルティスイッチャー |
購買者のコミットメントが髙い | 認知的倹約家 |
関与する | 経験に基づいて判断する |
消費者の理性に訴える | 消費者の感情に訴える |
——————–従来のモデル——————– | ——————–将来のモデル——————– |
ロイヤルティの髙い 消費者がターゲット | 市場に浸透して 成長する |
予測不可能で混乱を招く ブランド指数 | 予測可能で意味のある ブランド指数 |
価格販促で 新規顧客を獲得 | 価格販促でロイヤルティの髙い 既存客を獲得 |
ターゲット・マーケティング | 洗練させれたマスマーケティング |
ポジショニングを競う | カテゴリー内の全てのブランドと競う |
差別化 | 独自性 |
——————–従来のモデル——————– | ——————–将来のモデル——————– |
ポジショニング | セイリエンス |
メッセージを 理解させる | 気づきを与え、 感情的な反応を引き起こす |
ユニーク・セリング・プロポジション | 身近な関係性の構築 |
説得する | 記憶構造を刷新/構築する |
教える | 届ける |
キャンペーンで盛り上げる | 存在を継続させる |
こうした着眼点をもって、多くの関係者との対話の場を持つことが、次世代の市場浸透を可能とするブランドづくり、あるいはそのためのブランディングの企画・実践に役立つと思われます。
前回の投稿「【顧客は、想像以上にダイナミックだ!?】ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11|バイロン・シャープ」にも掲載させていただいた7つのシンプルな作戦も再掲します。
- ① できるだけ多くの人にリーチする
- ② 買い求めやすいこと
- ③ 目立つこと
- ④ 記憶構造を刷新/再構築すること
- ⑤ そのブランドならではの資産を構築する
- ⑥ 一貫性を維持しながらも新しさを失わない
- ⑦ 競合力を維持する――買わない理由を与えない
まとめ
- マーケティングの真実とは!?――顧客の獲得、認知の獲得、購買機会とブランド想起の向上が重要です。
- 新たなマーケティングの優先事項とは!?――7つの優先事項をもとに対話をしてみましょう。
- 消費者行動、ブランドパフォーマンス、そして、広告・・――3つの切り口を念頭にブランディングを計画しましょう。