- どうしたら、よりよい協働を生み出すことができるでしょうか!?
- 実は、ファシリテーションが大切かも。
- なぜなら、意見を出しあう場を設定することで、価値を生み出せる可能性があるからです。
- 本書は、ファシリテーションの意義とコツを記した1冊です。
- 本書を通じて、会議やセミナーの議事進行を円滑にするスキルを習得するヒントを得られます。

よいファシリとは!?
ファシリテーションのスキルをUPすることで、会議やセミナーをラクに自信をもって進行することが可能になります。その結果、参加者の方からよりよい対話を引き出して、価値ある場を提供することを目指せます。
まず良いファシリテーターの状態を知ることから始めてみましょう。ズバリ、良いファシリテーターとそうでない人の差は、参加者全員を対話に参加させているかどうかにあります。良いファシリテーターが不在の場合は、参加者の一部の人だけが対話にジョインします。こうした状態では、権威者や役職者など声の大きな人の意見に偏りがちになります。結果的に、創意工夫の機会を逃します。
だれしもその人なりの考えや発想、あるいは、コメントがあるものです。みんなの意見を引き出しながら、合意形成とアイディエーションを進めていくディレクションを目指したいものです。
一部の人が参加するだけでは、他の参加者がモヤモヤしますね。それでは、変革の兆しを遠ざけてしまいます。全員参加を前提に、ファシリテーターを引き受けるようにしてみましょう。
全員参加のメリット(ファシリテーションの効能)は、以下のとおりです。
1)よりよい結論を引き出すことができます。
2)効率的に考えることができます。(多様な視点を取り入れることが可能になります)
3)チームの一体感を作り出すことができます。
ファシリテーターは、これら3つの会議の必要性をよく理解したうえで、どれが最も必要とされているか?を意識し会議に臨みましょう。
4 よいファシリテーターがいるとき、いないとき
論点の設定スキルとは!?
大切なのは、問いです。正しく問うことができれば、正しい答えを求めるベクトルを得られます。
たくさんの細かな論点にとらわれて、大論点を捨て置いてはなりません。大論点を見出すためには、根本的な問いを見出すための抽象化の思考です。
例えば、あなたの会社において会議が長引き時間を浪費している問題があったとしましょう。みんなで話し合いながら原因究明と解消のアイディアを話し合うことになりました。
この時、はじめにあるべき姿「To Be」を設定するのです。「As Is」とのギャップを見出すことで、参加者の共通認識の問いを共有することができます。
事例の場合、
- 「To Be」・・時間内に会議が終えられる状態
- 「As Is」・・会議が長引いている状態
となります。
こうした大論点をもとに、例えば中論点を設定するのであれば、
- 原因:ギャップを生み出している原因は何か?
- 対策:どうしたらギャップが埋まるか?
などになります。
そして、小論点として、
- 原因のための問い1:事前準備は適切にできているか?
- 原因のための問い2:当日の司会進行に問題はないか?
- 原因のための問い3:参加者の当事者意識に問題はないか?
であったり、
- 対策のための問い1:原因に対して、どのような対策が考えられるか?
- 対策のための問い2:対策案によるリスクや副作用はないか?
- 対策のための問い3:出た案に対して、どのように優先度を決めるべきか?
を設定することができます。
こうした問いのロジックツリーを事前に検討しておくことで、当日の運営をスムーズに行いながら、参加者に対して明確な共通認識を接点を作ることができます。
会議中、論点は生き物のようにドンドン動いていきます。
5 超重要!論点整理方法
だからこそ、事前に論点を整理して置かなければ、ファシリテーター自身が道に迷いかねません。もし、新たな論点が登場した際には、既存の準備している論点の中で位置づければOKです。論点の地図を描いておくことを忘れないようにしましょう。
そんな時、フレームワークが役立ちます。こちらの1冊「【たたき台こそが、大事!?】仕事がデキる人のたたき台のキホン|田中志」もぜひご覧ください。

みんなが対話をする時に、まず傾聴を重視してみましょう。互いに意見を言い合うだけではなく、よりよく聞くことで、心理的安全性を担保することができます。
- 共感的理解・・相手の話を相手の立場になって、共感しながら聴きましょう。
- 無条件の肯定的関心・・相手の話を評価したり、何かアドバイスをしようとするのではなく、常に肯定的な態度で受け入れてみましょう。
- 自己一致・・相手の話の意図をきちんと理解し、その言葉の真意を把握しようとしましょう。
これらの要素は、アメリカの臨床心理学社カール・ロジャーズが提唱したものです。

ファシリが持つべきマインドセットとは!?
ビジネスにおけるファシリテーションを考える時、完全なる中立を意識するべきでしょうか。じつは、そんなことはない!むしろディレクションをしよう!というのが、答えです。ビジネスの現場ではディベートは不要です。明確な問いと明確な答えを用意する必要があります。答えがなくては、前に進めないからです。それが間違っていようがいまいが、とにかくトライをするしかないのです。前に進めなくては、衰退しかありません。この点をよく理解して、全員参加を促しながら、全体のディスカッションのベクトルを調整し続けていきましょう。
重要なマインドセットの一つは「ファシリテーターも、1人の参加者」ということです。もちろん1人の参加者であるからこそ、自分だけの意見を押し通すことはNGです。だからこそ、自分の意見やベクトルが間違っていないか・・を自問自答しながら、進めていく思考と、勇気が必要です。
ファシリテーターこそが、実はそのプロジェクトの中心的人物になることは間違いありません。そうした大役を引き受けているのだという認識のもと、意志を持ちましょう。あるいは、外部の人間である場合は、「正しい介入」について常に検討しましょう。
だからこそ、ファシリテーターには、判断力が求められます。全体の意見を集約しながら、最も正しいと考えられる方向性へと判断を下し続けて、問いを進めていきます。
ファシリテーターのスキルは、まず実践をしてみなければ、積み重ねられません。経験を積み重ねていけば、いろいろな現場の状況と対比する中で、「今」に集中する態度を取ることが可能になります。
ついで、ファシリテーターに求められるマインドセットとは、具体と抽象のレイヤーを描く態度です。対話とは、具体と抽象の行き来によってよりよい認知構造を見出すことが可能になります。以下のような問いかけが有効です。
- 具体→抽象:「ひと言でいうと?」を投げかけ「他には?」で広げる。
- 抽象→具体:「具体的には?」を投げかけ「他には?」で広げる。
このレイヤー構造については、こちら「【思考の全体像を身に着けよ!?】解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法|馬場隆明」と「【頭がいいは、視点で決まる!?】メタ思考~「頭のいい人」の思考法を身につける|澤円」が大変おすすめです。ぜひご覧ください。


ファシリテーションは誰でもうまくなります。それは再現可能なスキルだからです。
あとがき
本書で取り上げられている、視点や心構え、工夫を取り入れて、実践を積み重ねていくことで、必ずファシリテーションスキルは向上していきます。変化の時代、多くのステークホルダーを巻き込みながら対話を促すこと自体がマーケティング活動の一部を担っていくはずです。
まとめ
- よいファシリとは!?――全員を参加させるスキルを持つ人です。
- 論点の設定スキルとは!?――問いの地図を事前に描きましょう。
- ファシリが持つべきマインドセットとは!?――中立、具体・抽象について独自の認識を持ちましょう。
