【「関係」にこそ存在できる!?】世界は「関係」でできている:美しくも過激な量子論|カルロ・ロヴェッリ,冨永星

世界は「関係」でできている:美しくも過激な量子論
  • どうしたら、社会も個人も、そして会社も、よりよい状態を目指すことができるでしょうか!?
  • 世界の仕組みを知ることかもしれません。
  • なぜなら、想像以上につながりを持っているのが世界だからです。
  • 本書は、天才物理学者カルロ・ロヴェッリさんによる、量子論です。
  • 本書を通じて、世界の本質に触れる機会を得ます。
カルロ・ロヴェッリ,冨永星
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世界はどう変わってきたか!?

13世紀から14世紀にかけて、ダンテが『神曲』を執筆していた頃、ヨーロッパでは、私たちが存在する世界は、霞んだ鏡に感染った天上界だと思われていました。偉大なる天上界はいくつもの層からなっていて偉大なる神と天使たちの天球が、天空を横切って惑星を運び、はかない人間たちの暮らしの愛や恐怖に関与しています。

やがて、こうした世界観は変わっていきます。数百年の間に現実のさまざまな側面を理解し、そこにひそむ原理を見いだすことが出いるようになったのです。科学の登場です。

科学とは、世界を概念化する新たな方法を探ること。

深淵をのぞき込む

それは自分の考えに絶えず疑問を投げかける力です。反抗的で批判的な精神による独創的な力であると、著者カルロ・ロヴェッリさんは語ります。

物理学が先頭にたって、世界を描写し始めました。

この世界は巨大な空間であり、そのなかを、さまざまな力によって押したり、引いたりされた粒子が飛び交っているというイメージを描いていったのです。さらに、ファラデーとマクスウェルが、そこに電磁場を付加させました。

場は空間に広がる実体であり、遠く離れた物体は、この「場」を通して互いに力を及ぼし合っています。

アインシュタインは、重力もまた「場」によって伝えられることを示しました。

世界の本質とは!?

さらに、その世界観に量子論が、新たな局面をもたらします。わたしたちは、この世界について、さまざまな対象物や事物や「存在」の面から考えます。

光子、ネコ、石、時計、木、少年、村、虹、惑星、銀河団などなど・・・。

だがこれらは、おのおのが尊大な孤独のなかに佇んでいるわけではない。むしろ逆に、ただひたすら互いに影響を及ぼし合っている。

2 関係

世界を理解したいのであれば、「存在」ではなく、この「関係」という観点から、ものごとを見る力を養うことが必要になります。地と図の関係が逆転するように目に見えている世界ではなく、目に見えない関係による世界観が立ち上がってきます。

私たちが観察している世界は、絶えず相互に作用しあっています。それは、濃密な相互作用の網なのです。

  • ネコは、チクタクという時計の音に耳を澄ませている。
  • 少年は、石を投げる。
  • 石は、飛んで、空気を動かし、別の石に当たって、その石を動かしてから落ち、その場所の地面を押す。
  • 一本の木が、太陽の光からエネルギーを得て酸素を作り、村人はその酸素を吸いながら、星を観察する。
  • 星たちは、ほかの星の重力に引っ張られ、銀河の中を動いていく。

量子論とは、この関係を見つめる視点です。あらゆる存在の性質が、実はその存在の別の何かへの影響の及ぼし方にほかならない、ということに気づかせてくれます。

量子論は、事物がどう影響し合うかについての理論である。

2 関係
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私たちは本当に観察ができているか!?

事物は相対的である。

2 関係

つねに、私たちでさえ、2つの対象物に関する概念に捉えられています、というか、その関係によって規定されています。

例えば、地球は球だから、上とか下とかは本来ないのですが、自分が地球上を移動すれば、上と下はどんどん移動していきます。上や下という概念自体も、自分と地球の関係性によって、絶えず揺らぐのです。速度という概念も見事に相対的でしょう。何に対して、○km/hなどという表記が本当は必要です。

私たちが観察をするとき、厳密には、観察をすることができていません。正確には、自分たちが知っていることにもとづくこの世界の像を夢見ているのです。そして無意識に、この世界とその像の間に不一致がないかどうかを、精査し、必要ならその像を修正しているのです。

バイアスといってもいいかもしれない、フィルターを修正しながら、世界を観察しているのが私たちです。

「存在」ではなく「関係」の中に自己を見いだすとき、そのフィルターの感度はどう変わってくるでしょうか。あるいは、見えないものが見えるようになり、見えていたものが、実は虚像であったように感じるのではないでしょうか。

わたしたちが見つけた最良の現実の記述は、出来事が織りなす相互作用の網の観点からなされたものであり、「存在するもの」は、その網のはかない結び目でしかない。
その属性は、相互作用の瞬間にのみ決まり、別の何かとの関係においてだけ存在する。

第7章 でも、それはほんとうに可能なのか

どの像も不完全であって、いかなる視点にも頼ることなく現実を見るすべはありません。なぜなら、私たち観察者自身も常に相互の影響によって、結果的に存在している出来事にほかないからです。

こうした視点を禅や仏教が昔から問いていたことに驚きます。関係性を「縁起」として説く、仏教の世界観についてもぜひ触れてみてください。こちらの1冊「【仏教の教えを一言でいうと!?】完全版 仏教「超」入門|白取春彦」がおすすめです。

関係が、わたしたちの「わたし」を、社会を、文化的な生活を、精神的政治的な生活を形作っている。

第7章 でも、それはほんとうに可能なのか

カルロ・ロヴェッリさんによるもう1つの「世界観」に関する1冊は、こちら「【ただあるのは、ネットワークである!?】時間は存在しない|カルロ・ロヴェッリ,冨永星」です。ぜひこちらもご覧ください。

まとめ

  • 世界はどう変わってきたか!?――神々の世界から、物理的空間へ、そして、量子論による関係の世界のあり方が語られてきました。
  • 世界の本質とは!?――「存在」ではなく、「関係」によってなりたっています。
  • 私たちは本当に観察ができているか!?――観察者も関係に影響を受けるので、「絶対的な視点」はありえません。
カルロ・ロヴェッリ,冨永星
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