【共にできるビジョンを見出そう!?】正解がない時代のビジョンのつくり方 |三澤直加

】正解がない時代のビジョンのつくり方
  • どうしたらチームがひとつになって、力強く歩みを進められるでしょうか!?
  • 実は、ビジョンこそ大切かも。
  • なぜなら、ビジョンは、人をまとめ奮い立たせるものだから。
  • 本書は、そんなビジョンの大切さと見出し方を説く1冊です。
  • 本書を通じて、人のモチベーションの根源について感度を得ることができます。

ビジョンとは!?

「ビジョン」は、一部の人だけがつくる特別なモノではなく、創造的に生きたい人たち、すべてに開かれたモノとなるはずです。

はじめに

ビジョンは、一人ひとりのモチベーションとなり、その結果、チームのみんなをまとめます。ビジョンは未来にあります。大切なのは、現在との比較において、ギャップを提示してくれるということです。私たちは、そのギャップに燃えるのです。

太古の昔から、人はギャップによって突き動かされてきたのかもしれません。対岸の島は見えているが、まだ到達していないというギャップ、鳥が大空を飛べるのに、自分たちは飛べないというギャップ、1960年代に月に人類を送りたいが、まだその術を見いだせていないというギャップ・・・

ビジョンを持つ人は、動く人です。チームでも個人でも、ビジョンを作り、行動を続けられた人が、幸せだったり、活力だったりを感じられるのです。

本書が捉えるビジョンは、次のような特性があります。

  • 正解を示す「点」から、解釈の余地のある「面」
  • 「確定」されたものから、「進化」していくもの
  • 「競争」を優位にするものから、「共創」を促進するもの
  • 「浸透させる」ものから、「育む」もの
  • 大企業が打ち出すだけのものから、個人や小さなチームでも考え発信できるもの
  • 「確信」を与えてくれるものから、「覚悟」を促すもの

これまでビジョンと言えば、ひとつの確固たる目指す場所であったのが旧来的な解釈でした。でも、これからの時代は変化の時代と言われるように、環境が可変です。そんなときに一つの場所を見いだすことだけでは、反対にリスクになってしまう可能性があります。

だからこそ、上述のような6つのポイントで、ビジョンをリバイスしていく方針も大切です。

ビジョンを作るステップとは!?

ビジョンを見出していくためには次のようなステップを踏んでみましょう。

ステップ1)自分たちらしさを探索する
ステップ2)未来の社会像をイメージする
ステップ3)未来の自分たちの役割を見つける
ステップ4)未来の風景を描き出す
ステップ5)未来の自分たちを語り合う
ステップ6)試しながらアップデートする

まず、ステップ1)では、自分たちに関するさまざまな情報を集め客観的にとらえなおし、対話を行いながら存在意義につながるアイデンティティを見出します。そして、ステップ2)において、未来の社会に起こるかもしれないことを小さな変化の兆しから妄想し、人間の生活シーンのイメージを拡張してみましょう。

さらに、ステップ3)では、未来の社会像と自分たちらしさをかけあわせます。さまざまな視点から自分たちの「社会的存在意義」を見出します。

ステップ4)は、これまで検討してきた素材の関係性や意味を読み解きながら統合して、多くの人に伝わりやすい一枚の絵を作りビジュアル化します。ステップ5~6)にかけて、実行してみながら、見直しを続けていきます。

ビジョンをつくった人も、現場で活用する人も、ビジョンを共有していく人全員がチームとなって、互いにアップデートしていける方法論です。

はじめに

ここでとても大切なのが、「自分たち」の範囲です。企業や事業は単体でなりたっているわけではなく、多くのステークホルダーを巻き込んで作られていくものです。その際に誰とビジョンをともにするのかについて、検討をすることが欠かせません。

たとえば、関与者を列挙してまとめる際には、「文章の雛形」を頭に入れながら、プロジェクトを進めてみることです。ビジョンは一つの文章にk節日させることを検討したときに、次のような構文を参考にしてみましょう。

私たちがつくるビジョンは、【ビジョンの中心となるモノ】の未来の姿です。そしてこのビジョンは、私たち【(自分たち・主導範囲)】が今後、【どのように】活動を展開してくためのものです。活動を広げていくために、【自分たち・共創範囲】とビジョンを共有し、改訂していきます。

下記の事例も、参考にしてみるのが良いでしょう。

私たちがつくるビジョンは、都市型農場プロジェクトがもたらす東京都の未来の姿です。このビジョンは、〇〇不動産と〇〇区臨海地域連合が、今後地域住人とともに、豊かな生活を展開していくためのものです。活動を広げていくために、〇〇不動産と〇〇区臨海地域連合だけでなく、農業生産者、仲介業者、農業に関する研究者などとビジョンを共有し、改訂してまいります。

私たちがつくるビジョンは、タコスパーティの未来の姿です。このビジョンは、私たち、〇〇マンションのタコス大好き仲間が、最高に盛り上がるタコスパーティを計画していくためのものです。そのためには、この仲間たちに加えて、その友人たちや、近所のメキシコ料理店とビジョンを共有し、継続的にタコスパーティの可能性を追求していきます。

ビジョンの位置づけについては、こちらの1冊「【会社は意義を生み出す場!?】理念経営2.0 ── 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ|佐宗邦威」もぜひご覧ください。

これからの時代のビジョンとは!?

これまで、ビジョンは北極星に例えられることがしばしばありました。様々な天体が目まぐるしく回る中で、北極星は不動です。そうした、変わらない存在としてのビジョンが歓迎されていたのです。また、時代を代表するようなパワフルなリーダーの存在も合ったでしょう。ビル・ゲイツさんや、スティーブ・ジョブズさん、日本でも多くの創業経営者が社会にたくさんのインパクトを残してきました。

しかし、時代が移ろいで、変化の時代になりました。また、創業企業も成長・成熟期へとステップアップして、課題の質が変わっています。

そうした環境を捉えていくならば、不動のビジョンというのはもしかするとリスクになってしまうのではないかとも考えられるのです。

休息な技術の進歩に加えて、さまざまな価値観が受容される現代において、試行錯誤を行い、未来の可能性を少しずつ拡張していく取り組みが重視されます。しかも、トップダウン型だけではなく、なんとか、ボトムアップ型でひとりひとりのステークホルダーの叡智を結集する取り組みが歓迎されます。

あらためて組織やチームが未来を向いて活動するために必要なのは、遠くに輝く北極星ではなく、一人ひとりが自分たちらしさを発揮していける未来の風景、文化的な意味をもつ一つの世界観であると考えています。

なぜ未来の風景が必要なのか?

共に共有できそうなひとつの絵を見いだすことが、これからのビジョンのあり方なのかもしれません。

まとめ

  • ビジョンとは!?――ステークホルダーが、共にできる絵姿です。
  • ビジョンを作るステップとは!?――6つのステップを元に、ビジョンの関与者もケアしましょう。
  • これからの時代のビジョンとは!?――解釈の余地のある概念であるべきです。
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