【会社は意義を生み出す場!?】理念経営2.0 ── 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ|佐宗邦威

理念経営2.0 ── 会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ
  • どうしたらこれからの時代を進むサステナブルな組織を目指せるでしょうか!?
  • 実は、ビジョン、バリュー、ミッション/パーパスをつなぐ要素に秘密があるかも。
  • なぜなら、これらを定めた上での活動の結果が組織になるからです。
  • 本書は、これからの時代の組織を考える1冊です。
  • 理論経営2.0を実装するための視点、ヒントを多く得ることができます。

なぜ、いま理念か!?

「パーパス」が注目され始めて久しい状況です。ビジネスや経営の見直しという世界的な潮流があります。これは、米経済団体ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)が2019年8月に発表した「顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主といったすべてのステークホルダーの利益のために会社を導くことにコミットする」という声明が、きっかけになりました。

経営者目線で見たときに、コロナ禍以降、企業経営の難易度は、一気に上がりました。

厳しい事業環境のなかで、1)事業を継続する難しさ、2)社会的な意義と事業を両立させる難しさ、3)社員を組織につなぎ止める難しさ、4)変革・創造のプロジェクトをすすめる難しさ、上げれば切りがないこと、4重苦が経営者たちを襲いました。

経営理念が要請されている

「だれ」が企業理念をほしがっているのか?

経営理念が要請されているのは、多方面におよびます。

1)従業員からの要請――リモートワークと自律的な働き方
若い世代を中心に、自分のやっている仕事の社会的意義を実感して仕事をしたいという人が増えています。リモートワークなどの新しい働き方が生まれている中で、エンゲージメントをいかに向上できるかが論点になっています。

2)株主からの要請――ESG投資・人的資本開示
事業継続のリスクとなりそうな要因の開示・対策が株主から求められています。自社の事業が、社会・環境の観点からどのような意義を持っているのか、それに対してどんなインパクトを出しているのかを開示してほしいという要求が高まっています。

3)パートナー企業からの要請――社会課題解決のための共創
事業課題が複雑化する中で、協業関係を築くことができるかが論点になります。業界を横断した協業や共創が必要になってきています。

4)ユーザーからの要請――応援消費
商品やサービスを選ぶ1つの基準として企業の社会に対する姿勢を考慮する用になってきています。

6つの経営資源と1つのシステムとは!?

6つの経営資源と1つのシステムについて、改めて捉え直し、実装できるように再検討してみましょう。重要なのは、「問い」にあるということです。

理念経営1.0が創業者や組織の「答え=正解」を示すものだったとすれば、理念経営2.0の核心は「問い」にあるということです。

おわりに――私たちはなぜ群れるのか
  • ビジョン――私たちは将来、どんな景色をつくり出したいか?
  • バリュー――私たちがこだわりたいことはなにか?
  • ミッション/パーパス――私たちはなんのために存在しているのか?
  • ナラティブ――私たちの会社はどこから来て、どこに向かうのか?私たちはなぜ、ここにいるのか?
  • ヒストリー――私たちのいまをつくった原点はどこにあったのか?
  • カルチャー――私たちの会社の「らしさ」とはなんだろうか?
  • エコシステム――私たちの理念を育てるために、どんな仕組みが必要か?

一連の「問い」を大切にしながら、既存組織やこれから創造する新たな組織の経営資源を棚卸しし、再定義していきましょう。

エコシステムを駆動させる4つの視点とは!?

6つの経営資源を含む組織をさらに育てるためには、4つの分野で実装の仕組みを整えていくことが重要です。これが、7つめの「エコシステム」です。

1)人材サイクル
人材の好循環を作りましょう。価値創造の主体である「人」こそが最大の経営資源とし、バリューやミッションを採用基準として押し出したりリクルーティングを展開することで、理念適合性の高いメンバーを増やしましょう。

過去の投稿「【エンパワーカルチャーの作り方とは!?】人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて|鈴木貴史」ではリファラル採用の展開活動(準備)とその採用形態について語られていました。

2)イノベーションサイクル
ミッションやビジョンが社内に発信されることで、「儲かるかどうかわからないけれど、この領域の商品・サービスをつくることにチャレンジしていこう!」というメッセージになります。社員もイノベーションにチャレンジしやすくなります。
また、イノベーションは自社内だけではできない社会課題解決型の事業については、社k外と価値を協創していくことが価値創造の基本になっていきます。

3)ブランディングサイクル
ミッションやビジョンを発信することは、エンドユーザーに対するブランディングにも寄与します。コーポレート広報を中心に、ミッションやビジョンを体現したプロジェクトをリリースすることで自社ブランディングにつながります。

4)資金調達サイクル
長期ビジョンとその重要課題が投資では重視されます。IRではサステナビリティレポートや統合報告書の作成が求められるようになりつつあります。統合報告書の中で、経営者は価値創造ストーリーを語る必要があります。経営者と各事業部との間に貫く軸を持つためにも、6つの軸の経営資源の見える化がポイントになるでしょう。

ミッション・パーパス、バリューを再発見した上で、人事、イノベーション、ブランディング、IRに区分けして、理念を体現する仕組みを生み出すことができるアイデアを考えてみましょう。

ひと言でいうなら「産業革命型の生産する組織」から「情報革命型の創造する組織」へのシフトである。

終章 意義をつくる会社へ

まとめ

  • なぜ、いま理念か!?――社会における存在意義が問われる時代になりました。
  • 6つの経営資源と1つのシステムとは!?――ビジョン、バリュー、ミッション/パーパス、ナラティブ、ヒストリー、カルチャー、エコシステムを検討しましょう。
  • エコシステムを駆動させる4つの視点とは!?――6つの経営資源を再発見し、人、イノベーション、ブランディング、IRを検討しましょう。
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