- どうしたら、よりよい採用活動によって、より良い人員を集めることができるでしょうか。
- 実は、採用の目的に立ち返ることが大切です。
- 従業員は、売上・利益をあげるための固定費的な投資なのです。
- 本書は、採用の本当についてフォーカスする1冊です。
- 本書を通じて、いかに採用を捉えて、行っていくことが良いのかヒントを得られるでしょう。
採用の本当の目的とは!?
人が足りない!人を採用するべきだ!という言葉は、多くの企業できこえてくる経営課題のようであります。採用を急ぐがあまり、失敗をしては取り返しがつかないじたいになります。人に関する経営課題こそ、慎重に検討するべきです。
そもそも採用というのは、何を目的にするものでしょうか。
それは、「会社がさらに利益を出すため」にほかなりません。
幅広い業務をより分担して、会社が既存事業の深掘りをする力にしたり、あるいは、新たな事業を探索する余力を作ることによって、永続的な利益を確保する。そのために採用、もっというと従業員が求めらます。
利益を創出するということがヒントです。だから、従業員一人当たりの利益額が、マイナスでは難しいですし、少なくとも黒字が今後も続く見通しが立っていなければ、採用は困難だと考えたほうが良いです。
ここまでは、全社的な話として採用を捉えてきましたが、ひとつのポイントは、採用者一人ひとりで黒字を目指すスタンスです。
支払っている給料以上の働きをしないために、採用者に対しては赤字となり、せっかくの黒字利益を吸い取られるのです。
会社は利益を出さなければ倒産する
一人雇うアクションが、これまでの利益を減らすのか、あるいは、増やすのか、分かれ道です。
従業員コストとは!?
従業員コストを念頭に置くことも大切です。
給料意外に、保険料、通勤交通費などの経費がかかってきます。通勤交通費や保険料は、人や業種業態によっても多少の変動がありますので、一概には言えませんが、大体、以下のような全体感を持つことが良いでしょう。
1年間の一人当たりの人件費コスト=(月あたりの給料×12ヶ月+賞与)×1.3倍
また、従業員コストは変動費ではありません。一度、雇い入れれば、自社都合で退職を勧告することは難しくなります。法律上でもそうですが、従業員の立場に立ってみれば、難しいことは明らかでしょう。もしかしたら、辞めさせていった元従業員によって、会社の評判が落ちるようなヘイトも起きる可能性だってあります。
従業員に対する給与・賞与・福利厚生等の費用は、変動費ではなく、固定費であることを忘れないようにしましょう。固定費を抱えるということは、常態的に再三分岐点が遠ざかるということです。それだけの中長期的な見込みが不可欠です。だから、採用は慎重に、そして、売上・利益追求のためになくてはならないのです。
一つの会社が一人の社員を新卒から定年まで雇用し続けると、なんと2億円のコストがかかるといいます。
人を採用するということは、大きな投資である
再三、コスト、コストと人件費のことを言ってきましたが、少し立ち止まって、それは悪ではなく、目的であることを認識することも大切です。『年輪経営』で有名なかんてんぱぱの塚越寛さんは、人件費は、目的であると言います。そもそも起業の志に、誰もが仲間とともに食べていくことを掲げていたはずだと、彼は言います。是非こちらの投稿「【幸せのための経営とは!?】リストラなしの「年輪経営」~いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長~|塚越寛」もご覧いただき、ご自身のコスト観の点検をされてみるのも良いかもしれません。
経営はバランスなんですね。
採用活動をどう変えるか!?
上記のように、採用について慎重に検討した上で、実際に作用活動を検討していきましょう。
その上で大切なのは、「知名度」の取り扱いです。
お客さまにとっての知名度と求職者にとっての知名度は違うという認識をお持ちください。
知名度がないから優秀な人が来ない
求職者全員にとっての知名度を上げる必要はありません。大切なのは、どんな人と互いにマッチングしたいかという思想の元、限定的でも良いので、ピンポイントに自社を知っていただく努力をするということです。応募者を闇雲に増やしたとしても、非効率です。特に経営リソースが限られる中小企業であればあるほど、ピンポイントに採用活動を展開するべきです。
その際に、参考にしたいのが、現在の従業員の採用実績です。どんな人が、どの情報を見て、どんな点について当社を魅力的に感じてくれたのかを把握しましょう。そのうえで、そんな人物像を探していく方法が吉です。大手企業のようにとあみを広げて、そこから歩留まりを得るような採用プランを描くのではなく、現在の従業員を拡張するイメージで、採用者像を特定し、また、募集活動もその採用者像に合わせたものにできると良いでしょう。
社外広告ではなく、社内整備をする
社外広告ではなく、社内整備をする
加えて大切なのが、いきなり外に打って出るのではなく、社内の整備をすることです。受け入れ、教育体制ももちろん大切ですが、もっと大切なのは、理念をしっかりと言語化、認識することです。求職者は、食い扶持だけを求めて仕事を選ぶ時代ではありません。自分の成長や企業の社会的意義、存在価値についても、興味を持ちます。採用を好機と捉えて、自社の理念や存在意義(パーパス)を見極めてみましょう。
理念を難しく考える必要はありません。「あなたの会社は誰のために何をしたいのか?」「お客さまと社員に約束することは何なのか?」「これからどうしたいのか?」。ただこれを考えて書き出すだけです。
同じテクノロジー企業である、以下2社でも理念が大きく異なります。
――人のやらないことをやり、ほかより一歩先んじて、世界を相手にする。自己の能力を最大限に発揮させ、最高の技術を持つこと(ソニー株式会社)
――私たちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること(パナソニック株式会社)
理念が異なれば、会社の組織としての行動が変わります。なぜなら、そこに集まる人が異なるのですから。
次回の投稿では、採用の失敗フローと、成功フローを見比べながら、どんな考え方と心構えが採用活動には大切になるのかを把握していきましょう。
(特に中小企業の)採用活動については、こちらの投稿「【小さな会社は、“化け”に期待せよ!?】「化ける人材」採用の成功戦略|窪田司」「【WHYがすべての始まり!?】いい人財が集まる会社の採用の思考法|酒井利昌,坂本光司」もぜひご覧ください。
まとめ
- 採用の本当の目的とは!?――会社の利益を確保し、増大させることです。
- 従業員コストとは!?――利益を確保するための大規模な投資(減価償却できない固定費)です。
- 採用活動をどう変えるか!?――投資とみなして、慎重に、社内整備を行いながら実施します。