- どうしたら人口減少社会においても、より良い人材を獲得することができるでしょうか!?
- 実は、とくに小さな会社にとっての大切なのは、育成込みで採用を考えることです。
- なぜなら、条件をつけすぎると結局大手と変わらない人材像で募集をかけることになるからです。
- 本書は、小さな会社のための採用の考え方を説いた1冊です。
- 本書を通じて、小さな会社にとってのより良い採用を検討することができるでしょう。
小さな会社が採りたい採用方針とは!?
これからの時代、日本では人口減少によって、働く人を企業が確保することはとても難しい課題になります。当然、AIやDXなどによって、省人化の動きはあるもののそれにも限界があります。まだまだ社会は人手を求めるのです。こうした中で、小さな会社にとって、採用の問題はとても深刻です。大きな会社であれば、知名度や安定性をアピールしながら、人材を確保しやすいものですが、小さな会社は、知名度や安定性も乏しいのが現実です。
中小企業において、採用を考える場合、どのような落とし穴があるでしょうか。それは、自社にマッチする人物像を具体的に描き出してしまうことにあります。当然、具体的な人物像を描くのは、採用プロセスにおいてとても大切なことなのですが、何を想定して描くかが重要です。
よくあるのは、求職者がすでに持っている資質を評価することではないでしょうか。すでに持っているものを過剰に求めすぎると、結局は、非常に「優秀と言われる人」を設定しがちで、大手と競合してしまいます。
小さな会社にとっての困り事が従来の「カネ」よりは、「ヒト」になってしまう時代がやってきているのです。
01 これからの倒産理由は「ヒト」になる
採用接点をより良いものにするために、自社に求める人材像を新しい角度で定義する必要があります。
要件を2つに分けよ!?
大切なことは、求職者に求める条件を思い切って、減らすのです。要件を減らすことができれば、大手と直接的に競合することなく、より良い人材の獲得可能性が得られます。
でも、条件を減らしてしまっては、仕事に積極的に取り組んでくれなかったり、自社の仕事とミスマッチしてしまうこともあるかもしれませんね。たしかにその懸念があります。じつは、それを防ぐために、2つの要件設定をする必要があります。
それが、採用要件と育成要件です。
人には、「変わりやすい能力」と「変わりにくい能力」があるのです。この「変わりやすい能力」であれば、育成要件に入れることも可能ですね。
変わりやすい能力 | 変わるが変わりにくい能力 | 変わりにくい能力 |
---|---|---|
・リスクに対する志向性 ・技術知識的な先端性 ・教育の水準 ・仕事経験 ・事故に対する認識 ・コミュニケーション ・第一印象 ・顧客志向 ・コーチング能力 ・目標設定 ・エンパワーメント | ・判断能力 ・戦略的スキル ・ストレスマネジメント ・適応力 ・傾聴力 ・チームプレイ ・交渉スキル ・チームビルディング ・変革のリーダーシップ ・コンフリクト・マネジメント | ・知能 ・創造性 ・概念的能力 ・部下の鼓舞 ・エネルギー ・情熱 ・野心 ・粘り強さ |
優秀な人材、という漠然とした定義をやめて、「自社にとって良い人」を定義することがポイントです。そして、その際には、採用して自社で活躍するまでの「採用者ジャーニー」を時間軸で解像度を上げることが大切です。
実際には、教育やOJTなどによって、一人前の人材に成長していきます。その機会を最大限活用するために、採用の際には、最低限満たしておいてほしい条件に的を絞るのです。
多くの企業が求める三拍子揃ったスーパースターのような求職者ではなく、将来活躍してくれる可能性の高い「自社にとっての良い人」の採用基準を見極めることがポイントになります。
05 小さな会社が採用に勝つためのコンセプトは「ニッチ」
具体的には、過去の採用の成功体験を棚卸ししてみることも大切かもしれません。本書の中では、リファラル採用の成功例がレビューされています。ぜひご覧ください。
とある事例企業は、自動車に関する整備サービスをする業態でした。自動車整備士の採用に苦労しており、ハローワークや求人広告など手を尽くしたと言いますが、なかなか難しい状況でした。そこで、スキルや資格ではなく、最低限人間性を重視したいという社長の意向もあり、「自動車が好きであれば技術や資格はあとからでも構わない」という方針を打ち立て採用を進めることにしました。
また、社員にアンケートや面談を行いながら、当社の魅力を客観的に見える化しました。そのうえで、「雰囲気の良さ」や「地元で働けること」や「土日もしっかり休める」ことなどが、特徴としてあぶり出されたといいます。
これらの特徴を活かしながら、地元での就職を意識する人に情報アプローチするため、「リファラル採用」で活動を始めたところ、続けて2名の採用が実現したとのことです。
自社の仕事の魅力の解像度とオンボーディング(採用から育成まで)のステップを見極めることで、採用基準と採用ステップ自体を見直すことが可能となりました。
ちなみにリファラル採用については、こちらの1冊「【エンパワーカルチャーの作り方とは!?】人材獲得競争時代の 戦わない採用 「リファラル採用」のすべて|鈴木貴史」もぜひご覧ください。
求職者のアプローチ方法とは!?
上述の通り、リファラル採用は、中小企業にとって有効な手立てとなります。また、その延長線上の考え方として、学校アプローチも非常に有効です。キャリアセンターにアプローチして、求職を募ります。会社の採用パンフレットや、どのような人材を求めているのか、「なぜこの学校から人材を集めたいのか」などについてもしっかりと説明をしながら、学校ご担当者も巻き込んだ採用活動を進めるのが良いでしょう。
偶発的な出会いがある「採用イベント」も参加しても良いでしょう。小さな会社にとっては、リアルなタッチポイントでの合同説明会で、充実した情報提供をしながら、候補者の母集団を確保するのです。
求職者に対して情報提供を充実化させることも大切です。動画などの媒体を駆使しながら、自社で働くことの意義意味や、モデルケースとしての先輩社員のインタビューなどを紹介してみましょう。
中小企業の採用においては、問題は「手法」ではなく、「活動全体」の見直しにあると私は捉えています。
はじめに
求める人材像の条件だけではなく、会社の情報をいかに出すのか、そして、どのような手法を確保するのかについても、“当社らしさ”を重視できるかがポイントです。
中小企業の王道は、ニッチトップです。採用活動も、ニッチトップで行きましょう!!
まとめ
- 小さな会社が採りたい採用方針とは!?――自社に求める人材像の解像度を上げることです。
- 要件を2つに分けよ!?――採用条件と育成条件を分けましょう。
- 求職者のアプローチ方法とは!?――“当社らしさ”を忘れずに、独自の手法を検討しましょう。