- 限られた経営資源、人をどうしたら組織の力に変えられるでしょうか!?
- 実は、人をあるがままに捉えることが大切かも。
- なぜなら、人はAIとは異なり、ムダやノイズも特徴だからです。
- 本書は、組織論の根底となる人に関する既往研究の総合的なレビューです。
- 本書を通じて、組織の中の人について、新しい見解を得られるでしょう。
人はムダとノイズ!?
人間は、AIと異なり、ムダやノイズを含む言動をする生き物です。ムダだと思ってしまっても、ついつい行ってしまうこと。どうしても雑念が交ざる考え、あるいは、遊びなど、到底AIには理解し難い言動を行ってしまいます。それこそが人間が人間たる所以だといっても良いかもしれません。
AIが社会普及する中で、人間の能力を見つめ、活かす思考が求められています。AIにできることはAIに任せ、人間がより得意なこと、やりたいことにフォーカスしてみようという考え方です。
これまで、組織論が語られる時、人について、次のような「見立て」の進化がありました。それは、経済人→社会人→自己実現人という流れです。
経済人とは、つまり人間が本来、成長や達成に向かって内的に動機づけられると見るよりも、経済的報酬などによって外的に刺激を与えられて初めて仕事に動機づけられるという前提です。この前提で昔は、マネジメントの仕組みが作られるウェイトが高かったのです。
それが次第に内的な動機づけの重要性が説かれ、社会人や、自己実現人という仮説が注目されるようになりました。
人間をあるがままに捉えることが大切です。人間の情緒面も重視すると言い換えられるでしょう。人間を合理的存在として理にかなった尺度や枠組みで律しようとすると、必ず収まりきれないある種、不純物がどこかに吹き出てくるものです。
これが生きものとしての人間の真実の姿である。
矛盾に満ちた合理的な存在としての人間
カルチャーとは!?
組織の中の人が作るものとしてカルチャーがあります。これは力によって強制しない限り、暗黙のうちに従い始めるお互いの合意であり、そこから生み出された規範と言えます。
この組織風土は、人々が組織のなかで生きていくとき、決して無視できないものであって、しかも長い歴史を経て培われてきたものである。
組織の「無意識層」としての風土
この風土は、組織の遺伝子とも呼ばれて、時を隔てても引き継がれ人々の行動を支配し続ける性質を持っています。これをいかに組織経営に活用するかが、人の「無意識下」に働きかける作用をもたらし、効果絶大であるため、注意が必要です。
カルチャーについて考えるにはこちらの投稿「【カルチャーは、バリューによる?】GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた|千田和央」を、そして、人の無意識について考えるにはこちらの投稿「【限界は自分の中にしかない!?】無意識を鍛える|梯谷幸司」をぜひご覧ください。
よりよい組織経営のために!?
人間をあるがままにとらえるところからスタートすることが、よりよい組織経営のために必要なことです。それこそ人間を大切にする経営に繋がり、いまでいうところの「人的資本経営」の根幹の考え方に触れるのではないでしょうか。
人間を大事にするというのはどういうことかと考えると、つまりは、一人ひとりの人間を尊重するということ、すなわち「個性」を尊重するという考えにたどりつく。
個の尊重と個性化
一人ひとりの個性を尊重するためには、次の3つを重視した組織経営を行ってみましょう。
1)それぞれの個人の「自己理解」を助けること
2)組織の中で職務上の機能に個性が生かされること
3)組織がすべての個性を積極的に容認し、
各個人にとって自己開示と自己受容が促進される風土が醸成されること
心理学的経営とは、タテマエに対してホンネ、合理的なシステムに対して非合理的な人間の行動、表のマネジメントに対して裏のマネジメント、こうした対比のなかでありのままの人間に対する理解を中心において企業経営を考えるスタンスです。
まとめ
- 人はムダとノイズ!?――あるがままの人間の心理を捉えましょう。
- カルチャーとは!?――人が暗黙のうちに従ってしまう裏の規律です。
- よりよい組織経営のために!?――人の心理を捉えた組織経営をしましょう。