- 愛に生きる企業と、そうでない企業の差はなんでしょうか。
- 実は、最終的なリターンかも。
- なぜなら、愛は無償だからです。
- 本書は、そんな顧客愛をパーパスに据えるための実践書です。
- 本書を通じて、顧客愛とはなにか、について考えるきっかけを得られるでしょう。
前回に引き続き、今回も『「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>』のレビューを進めていきましょう。前回の投稿は、こちら「【人類が命題とできうるパーパスとはなにか!?】「顧客愛」というパーパス<NPS3.0>|フレッド・ライクヘルド,ダーシー・ダーネル,モーリーン・バーンズ,大越 一樹,髙木 啓晃」からご覧ください。
顧客資本主義経営の企業は?
顧客資本主義経営ができている企業は、もっぱら良き利益を稼いでいます。
ここで言う「良き利益」とは、推奨者、つまり愛を感じている顧客から獲得した利益のことだ。
自分は愛されていると感じているか
愛は無償のものです。バーターで得られるものではありません。どちらが先かということではなく、ただ、そこにもたらされるものであるはずです。顧客を愛することが、適切な収益性と持続可能性の要件となります。
こうした企業の成長のエネルギーは、「愛」です。まさに、愛が燃料なのです。
愛は、高い顧客維持率と再購入比率を生み、シェア・オブ・ウォレットを拡大し、紹介を通じて新規顧客を獲得します。
そして苦情や解決すべき問題の少ない幸福な顧客によるコスト削減を実現します。互いに愛しているからです。
対して、金融資本主義経営の企業は?
一方、愛に生きない企業も存在します。こうした会社は、お金を大切にします。
新規顧客を獲得するのに、莫大な予算を必要とします。互いに愛せないお客様が流入することによって、クレームや苦情処理について多大な労力を割くことになり、さらに疲弊していくことになります。
たとえて言えば、お金のかかる新規顧客獲得を燃料とする非効率な成長エンジンを回しながら、汚染をまき散らしているようなものだ。
自分は愛されていると感じているか
この決定的な違いを理解しましょう。だれもが、気づいているはずです。本当に必要なのは、はじめに愛を信じる力なのかもしれません。
利益(お金)を目的に求め過ぎると、それが遠のきます。大切なのは、相思相愛の仲を育める相手を見つけることです。
「顧客愛」で経営するには!?
著者らは、2つの大切な視点を忘れないことを定義します。
ステップ1:闘うべきフィールドを明確にする
フィールドとは市場=顧客のことです。誰と相思相愛の関係を作りたいのか、作れるのか、作るべきなのかを定めることが極めて重要です。誰もに愛されることはありえません。
ステップ2:闘うべき2つのゲームを経営目線で可視化する
「顧客のロイヤルティを高めること」と、「顧客ロイヤリティの成果を獲得する」ことは、闘うべき2つの異なるゲームです。種まきと収穫に近いでしょうか。
こうした取り組みに参考になるのが、NPSとEGRです。NPSは、ネットプロモータスコアのことで、EGRは、1人の顧客が継続的に購入してくれる金額+紹介した友人らが購入してくれる金額を合算したものです。「プロモーター獲得成長率(Earned Growth Rate)」です。詳しくは、前回の投稿もご覧ください。
結論から言えば、本書でNPSを補完する指標として提言されている「プロモーター獲得成長(Earnd Growth)」が、ブレークスルーへの大きな鍵になり得ると考えている。
「プロモーター獲得成長」がブレークスルーの鍵となる
まとめ
- 顧客資本主義経営の企業は?――愛を根底に、一部の顧客と相思相愛を志向します。
- 対して、金融資本主義経営の企業は?――お金を根底に、すべての顧客を獲得します。
- 「顧客愛」で経営するには!?――「誰と相思相愛になるか」と「2つの相反する指標」を可視化し、調整することです。