【子どもは、自ら育つ!?】フランスの子どもは夜泣きをしない ―パリ発「子育て」の秘密―|パメラ・ドラッカーマン

フランスの子どもは夜泣きをしない ―パリ発「子育て」の秘密―
  • 人が成長をするために必要なことは、何でしょうか!?
  • 実は、ひとりで成長するための「機会」かもしれません。
  • なぜなら、ひとはみな、自ら成長する力を備えているから。
  • 本書は、フランスの子育てから学ぶ、成長を考える1冊です。
  • 本書を通じて、子どもだけでなく、大人も成長の機会を得ることができるでしょう。
パメラ・ドラッカーマン
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なぜ夜泣きをしないのか!?

アメリカ人の著者パメラ・ドラッカーマンさんが、フランスで生活をしていて気づいたことは、フランスの子どもがレストランで大人しく大人と食事を楽しんでいる光景が多くあるということです。大人のようにナイフとフォークを使い、じっと大人との食事を楽しむことができる・・一方、パメラ・ドラッカーマンさんのお子さんは、大騒ぎ・・。

一体何が、違うのか、フランスのママ友と接するなかで、子育てに対する考え方の違いを意識します。

フランス人は子育てについてまったく別の「基礎」を持っているらしいのだ。

フランスの子どもは食べるものを投げない

基礎をよく理解できるのが、睡眠での関わり方です。

フランス人のママ友が実践していたのは、次のような取り組みです。これによって、フランス人の子ども(赤ちゃん)は、多くが夜泣きをしなくなります。

  • (月齢が低いうちは)日中は赤ちゃんを昼寝のときにも明るい場所にいさせること。
  • 夜は暗いベッドで寝かせること。
  • 生後すぐから、親は赤ちゃんを注意深く「観察」すること。
  • その上で、赤ちゃんの持つ「リズム」に従うこと。

学習するチャンスがあれば、自分でできるようになる。

フランス人の赤ちゃんは朝までぐっすり眠る

「観察」によって「学習の機会」を提供することが大切です。子どもは小さな時は、2時間おきに睡眠サイクルが周ります。泣いて起きたからといって、それは正常なことなのです。このタイミングで、親が過剰に関わって、ミルクを与えたり、抱きかかえたりすると、睡眠サイクルを乱すことにもなりかねません。もちろん、よっぽど求めるようであれば、ミルクを与えたりしても良いのですが、大切なのは、「求めているかどうか」です。

この内発的な子どもの要望を察知しているかどうかが、ポイントなのです。

だから、フランス人は、子どもが泣いても「待ちます」。しっかり待って、子どもが何を求めているのか、いまは単に睡眠が浅いタイミングで、また眠ろうとしているのか、あるいは、お腹が減っているのか、子どものペースを尊重し、自らの行動を決めます。

この「待つ」という対処法は、本当に効果があることが研究論文「Help Me Make It Through the Night: Behavirol Entrainment Breast-Fed Infants’ Sleep Patterns, Teresa Pinilla and Leann L. Birch, Pediatrics 1993;91;436」でも証明されています。

2つのグループに分けて、対応を変えた実験をしました。

  • グループ1)真夜中から午前5時までに泣いた子どもには、簡単にあやしてもいいけど、授乳については強く求めたときだけにすること。赤ちゃんが泣いているのか、むずかっているのかをよく識別すること。
  • グループ2)特に指示なし。

結果は、誕生から生後3週間まではどちらのグループの赤ちゃんもほとんど同じ睡眠パターンでしたが、生後4週間以降は、指示を受けたグループ1の赤ちゃんの38%が朝まで眠り続けたのに対して、グループ2ではたったの7%でした。

論文は、次のように結論をまとめています。

  • 母親の行動と乳児の睡眠パターンの間には関係があることが示された。
  • 夜間のルーチンや乳児の目覚めに対する反応が一貫している母親のもとで育った乳児は、より規則正しい睡眠パターンを示した。
  • さらに、一貫した夜間の親の行動を維持することで、授乳する乳児の睡眠を整えることが可能であることが示唆された。

一貫性のある取り組みで、パメラ・ドラッカーマンさんの赤ちゃんもパメラさん夫婦もぐっすり眠れるようになりました。でも、両親は夜中2時に起きてしまうクセがついていた・・寝起きの夫サイモンさんの言葉が印象的です。

「ビーン(子どもの名前)は僕たちのために起きてくれていたんだ。今まで、僕たちの期待に応えていたんだよ」

フランス人の赤ちゃんは朝までぐっすり眠る

「満足の遅延」とは!?

「待つ」ことができるかどうかは、日常生活にとって欠かせませんし、実は、人生にとってもとても重要な原動力になるかもしれません。

マシュマロ実験」という有名な実験があります。スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェルが1960年代後半から1970年代前半にかけて実施しました。

  1. 被験者である子どもを一人ずつ部屋に入れ、彼らの前にマシュマロを1つ置きます。
  2. そして、実験者が、子どもに次のように説明します:「このマシュマロをすぐに食べても良いけど、私が部屋を出て15分後に戻ってきた時にまだマシュマロを食べていなかったら、もう1つ追加であげるよ。」

これは非常に過酷なテストで、653人のうち、実験者が外に出た15分の間、マシュマロを食べずに我慢できたのは、3人に1人だったからです。大半は、30秒しか待てませんでした。

この実験は、後続の追いかけ調査がとても興味深いです。ミシェル教授は、1980年代にマシュマロ実験を受験した子どものその後を調べたのです。

かれらはティーンエージャーになっていましたが、「待つのが上手だった子」は、あらゆるカテゴリーの評価で高い得点を出していたのです。とりわけ「集中力」と「論理的思考」に秀でていました。

翻ってフランス人の子育てですが、彼らは「満足の遅延」を上手に子どもに教えます。

つまり、待たせてから楽しみを与える

お菓子づくりは教育の宝庫

例えば、お菓子作りを一緒に行うのは、美味しそうな素材をすぐに食べてしまうのではなく、ケーキとして焼き上がっって、決められた時間15時のおやつの時間まで、待って食べることを体験するためだからだそうです。この他にももちろん親との共同作業によるコミュニケーションを体験するという機会の提供にもなります。

フランスでは、騒いだ子どもをたしなめるときにも、この「待つ」という意識付けを行います。

「静かに!」とか「やめなさい!」ではなく、「待ちなさい!」と伝えるというのです。

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個を積極的に認める!?

フランス人は、子どもに「しつけ(discipline)」をしません。子どもには、「教える(education)」ことをします。この場合のしつけとは、命令を下すことで、教えるとは、何が良くて何が悪いのかの背景も含めて考える機会を提供することではないかと考えられます。

子どもは、親が学習するチャンスを与えさえすれば、本能的にそのスキルを身につけるという。

お菓子づくりは教育の宝庫

ごく幼い子どもの認知能力はみごとなものです。本当に世の中をしっかりと観察して、自分は何を身につければ良いのかを、注意深く検討しています。彼らにその能力を使い、自らを育てるための機会を提供することが大切なのです。

子どもには、親が介在しないでよい時が、たくさんあります。

子どもが経験している世界にどれだけ「感度をあわせることができるか」である。「敏感な母親は、子どもの要求や機嫌、興味、能力を察知できる」と、調査員は述べている。

お菓子づくりは教育の宝庫

また、子どもが悪さをするとき、フランス人の親は「権利」のあり・なしで、子どもをたしなめるといいます。「あなたには、***をする権利はありません」という感じで。この「権利」という言葉には、否定・是正以外にも、「子どもも権利システムの一部で、何らかの権利を行使する主体である」ことを察知させ、加えて、「別のことをする権利」があることを暗に伝え、察知させ、考えるチャンスを提供するのです。

あるいは、たしなめる時に、「私は、そのことを賛成しない」と子どもに伝えると言います。一人の小さな大人として、彼らの個を認め、頭ごなしに叱るのではなく、学習の機会として尊重するのです。

言語習得を通じて、子どもの学ぶ力を実感するにはこちらの1冊「【あくなき探求が重要!?】学びとは何か-〈探究人〉になるために|今井むつみ」が大変おすすめです。

まとめ

  • なぜ夜泣きをしないのか!?――子どものサイクルを親が察知するのです。
  • 「満足の遅延」とは!?――待つことは、人生を好転させる重要なスキルです。
  • 個を積極的に認める!?――小さな大人として「権利」を認めましょう。
パメラ・ドラッカーマン
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