- どうしたら、生涯にわたり学習を続けることができるでしょうか!?
- 実は、学習とは、あくなき探究心を持ち続けることかもしれません。
- なぜなら、人の学習の本質が仮説→実験→証明→獲得のループだから。
- 本書は、人の学習システムを俯瞰するに関する1冊です。
- 本書を通じて、大人の学習に関するヒントを得ることができます。
子どもの言語学習とは!?
学習を考える際に、子どもがどのように言語を習得していくかを観察することがヒントになります。なぜなら、言語、つまり、語彙は膨大な数の単語からなるシステムで、単語の意味を学ぶだけでは不十分です。単語同士の関係を学び、システムを作っていく必要があるのです。
子どもは耳にする言語をただ「聞き流す」のではなく、つぶさに分析して、語彙に潜むパターンを発見し、ことばの学習についてのスキーマをつくる。
2 ことばの意味の学び方を学ぶ
スキーマとは、「たいがいはこれでうまくいく」というような経験則のようなものです。正しいこともあれば、間違っていることもあり、先入観といっても良いかもしれません。子どもは自らこのスキーマを調整しながら、世界を知覚する言語システムを獲得していきます。
自分でつくりあげたスキーマを捨てることもあります。
科学者の世界の研究とは!?
子どもが小さいころから自分で世界を観察し、自分でつくりあげたスキーマを捨てて「正しい概念」を受け入れることは、科学者が自分の仮説を捨てて新しい理論にたどり着く過程と似ている。
5 誤ったスキーマ
リスキリングが叫ばれて久しいですが、そのなかでアンラーンという学習スタイルがあります。これは、大人になる過程、あるいは、もっとピンポイントに新卒から職場で身につけたやりかたを一度、捨てる学習スタイルを指します。
子どもが言語システムを自然に取得する過程で、自らつくったスキーマを捨て去るように、大人になっても本質的な学習のためには、自ら作った概念を一度、捨て去ることが大切なのかもしれません。
リスキリングやアンラーンについては、こちらの投稿「【HOW TO リスキル!?】リスキリングは経営課題~日本企業の「学びとキャリア」考|小林祐児」もぜひご覧ください。
常識なども疑ってみる対象になるかもしれません。科学者は、日常的にこうしたスキーマの棚卸しを行っていきます。
批判的思考とはつまり、前項で述べた科学的思考と基本的に同じで、ある仮説、理論、あるいは言語を、証拠にもとづいて論理的に積み重ねて構築していく思考のしかたのことを言う。
4 「生きた知識」とエピステモロジー
仮説を自ら作り、考え、実験をデザインして、データをとって分析し、吟味し、論を構築し、それを評価するプロセスは、頭で理解するだけでは身につきません。大切なのは、「身体」で覚えることです。
そして、何よりも大切なのは、「仮説」です。
科学者にも直感は大事だ。そもそも、理論を構築するためには仮説がなければならない。仮説をつくるときに直感は絶対に必要である。
4 「生きた知識」とエピステモロジー
学習とは!?
知識は常に変化し続けているものです。流動的で、最終的な姿は誰にもわからないし、それはないのかもしれません。自ら要素を増やしつつ、それに伴ってシステムも変化させ、時にスキーマを棄却しながら、成長させていくしかないのです。
「生きた知識のシステム」を構築し、さらに新しい知識を創造していくためには、直感と批判的思考による熟慮との両方を両輪として働かせていく必要がある。
4 「生きた知識」とエピステモロジー
知識は自分で発見するものです。
使うことで身体の一部にするものです。
システムの一部であるのです。
これらのスタンスを身につけて、探求を続けられる大人になりましょう。
時に「遊ぶ」スタンスも大切かもしれません。テンプル大学のキャシー・ハーシュパセクとデラウエア大学のロバータ・ゴリンコフらは、「遊び」について以下のような五原則を提唱しています。
遊びの五原則
1 遊びは楽しくなければならない。
2 遊びはそれ自体が目的であるべきで、何か他の目的(例えば、文字を読むため、英語を話せるようになるため)であってはならない。
3 遊びは遊ぶ人の自発的な選択によるものでなければならない。
4 遊びは遊ぶ人が能動的に関わらなければならない。遊ばせてもらっていたら遊びではない。
5 遊びは現実から離れたもので、演技のようなものである。子どもが何かの「ふり」をしていたらそれは遊びである。
常に目的的であることや、学習はしんどいものという先入観をなくしてみることもポイントかもしれません。そんなときこちらの投稿「【遊ぶように仕事をする!?】プレイフル・シンキング|上田信行」「【贅沢とは何なのか!?】目的への抵抗―シリーズ哲学講話―|國分功一郎」もぜひご覧ください!
まとめ
- 子どもの言語学習とは!?――自主的なシステム構築と棄却の繰り返しです。
- 科学者の世界の研究とは!?――仮説→実験→論の構築の繰り返しです。
- 学習とは!?――探求をやめないことで、知識を体得することです。