- どうしたらよりよい毎日を信じられるようになるでしょうか。
- 実は、エラーを大切にすることかも。
- なぜなら、エラーが人類を前に進めてきたからです。
- 本書は、そんな「逆説」の効用に関する1冊です。
- 本書を通じて、いろいろなことを本当!?と考えられる得る力を養えるでしょう。
今回の投稿は、前回「【逆説のポイントとは!?】逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~|森下伸也」に続き、こちらの1冊「逆説思考~自分の「頭」をどう疑うか~」を取り上げたいと思います。
特に今回は、人間のエラーの効用について、逆説的に見ていきましょう。
人間は、欠陥だらけ!?
人間という種族を、動物的に冷静に眺めると、どうなるでしょうか。
身体と本能がどうしようもないほど劣っているところが欠陥であるというのだ。
第5章 人間という逆説
身体は、「裸のサル」です。もし身ぐるみなく、技術もない状態で野生で生活をしていくのであれば、あったかい熱帯地方でしょう。しかも、食べ物をどのように入手し、外敵から身を守るのか?ということを考えていくと、私たちは身体的な特徴上、道具を持ち得ていません。もしかしたら、毛皮を着ていないことで、害虫にやられるかもしれません。鼻もそこまで効かないので、どうしたら毒のある食べ物をみわけることができるでしょうか。
身体上、自然界の中で、私たちは極めて弱い生き物であるのです。
自然は環境に適合した身体と本能を有する動物しか生存を許さないものです。
すべての動物は自らの生息環境にフィットした身体と能力と本能がそなわっているのです。
ただ、見方をかえると・・・これはバランスの問題で、これが崩れれば、逆説的には行きていけないということになります。
なぜ、人間は繁栄しているか!?
雄大な大自然は、常に変化を続けています。だから、環境がガラリと変われば動物は命を永らえることは難しくなってしまいます。
一定の自然環境にフィットしている動物は、その環境に、いわば閉じ込められているのだ。
第5章 人間という逆説
しかし、一方で、人類は、世界閉鎖性(自然=世界に閉じ込められている状況)どころか、これといって特定のフィットした自然環境がなく・・むしろいかなる自然環境からも締め出されているというのがポイントです。
これを「世界開放性」と呼びます。
偶然とエラーのおかげで、人類は身体と本能を失うことで、その代償として知性と言語を獲得しました。
知性と言語で文化を創造することによって、人類は他の動物のように自然環境に自己を適合させていくのではなく、どんな自然環境でも自分の都合の良いように改造・加工して、むしろ自己に適合させていく力を手に入れたのです。
その結果として人類は、どんな自然環境へも進出できるようになったわけである(宇宙や深海はその代表)。
第5章 人間という逆説
エラー進化論とは!?
「エラーは差異を生み、差異は多様性を生むことによって、生命の存続に寄与している」
第5章 人間という逆説
上記のように、人類が生まれ(てしまった)のも、エラーが原因でした。突然変異がきっかけになって、大変危険なサバンナの地面で暮らし始めて移動を始めた哺乳類が私たちでした。素直に「失敗は成功のもと」という逆説で語られるのにふさわしいストーリーです。
- 航路の計算をとことん間違えることによってアメリカを「発見」したコロンブス。
- 研究対象の脳を誤ってゴミ箱に捨てたことによって神経細胞を取り出す方法を発見、ノーベル生理学・医学賞を受賞した細胞生物学社カミッロ・ゴルジ。
- 白血球の培養中にある成分を加え忘れたために、未分化雄性細胞を得る方法を発見し遺伝子工学に多大な貢献をした免疫学者イルハム・アブリアダイェル。
日本でも、
島津製作所の田中耕一さんが、「間違っていつも使っているアセトンの代わりにグリセリンを金属調微粉末と混ぜてしまった」結果、ソフトレーザー脱離イオン化法を開発し、ノーベル化学賞を受賞しました。
自然はエラーで進化し、文化もエラーで進化する。
第5章 人間という逆説
進化をしていくためには、よりよきエラーを受け入れて行く必要があるのです。私たちは、自然的(生殖)でも、文化的(ミーム)にも、2つの意味の遺伝子をエラーとして受入れることが可能となっています。両分野で加速的なエラーを見方に進化を続けていきましょう。
やはり、個人の進化に際してもエラーを取り込んでいく必要があります。そもそもエラーを起こすためには、何らかの活動がなければなりません。ここは、やはりクランボルツの計画的偶発性を参照したいところですね。ぜひ、こちらの投稿「【幸運は引き寄せられる!?】その幸運は偶然ではないんです!――夢の仕事をつかむ心の練習問題|J・D・クランボルツ,A・S・レヴィン」をご覧ください。エラーを自分自身の成長に役立てていくために、計画的偶発性を起こす行動特性を参照されてください。
まとめ
- 人間は、欠陥だらけ!?――遺伝子のエラーによって、身体と本能を失いました。
- なぜ、人間は繁栄しているか!?――しかし、言語と文化を取得でき、世界開放性を持ちました。
- エラー進化論とは!?――エラーを味方につけて変化を続けていきましょう。