【複雑な世界をそのまま知るには!?】深き思索 静かな気づき 「仕事の思想」を高める25の物語|田坂広志

深き思索 静かな気づき 「仕事の思想」を高める25の物語
  • 世界をとらえるときどんな思索が必要でしょうか!?
  • 実は、全体感を失わずに、複雑なものをそのままに見つめる工夫も大切かも。
  • なぜなら、情報化の中でより世界は細分化・分断をしているからです。
  • 本書は、田坂広志さんによる静かな気づきのために思索25のストーリーです。
  • 本書を通じて、私たちが生きる世界を見立てる視点を得られます。

私たちが作る、複雑さとは!?

『精神の生態学』という著作を遺した文化人類学者、グレゴリー・ベイトソンが、不思議な言葉を残しています。
複雑なものには、こころが宿る。
こころとは、生きていること証である。
この二つの言葉は、我々が、ときおり感じるある感覚に、深い示唆を与えてくれます。

生きていることの証

急激に進みつつある情報革命によって、社会や市場や企業は、その複雑性を強めています。社会、市場、企業が、まるで生き物のように、新しい何かを創発する方向へ動こうとしています。また、情報化はAIを登場させ、さらに新たな胎動となっているようにも見えます。

あたかも「いのち」や「こころ」を持っているかのように、社会、市場、企業を見立てます。

「社会の活力」「市場の智恵」「企業の遺伝子」といった言葉を自然に使うのはこのためです。

しかし、私たちは、いまだ「いのち」や「こころ」に対して、対処するすべを持っていません。私たちの研究はつづくのです。

挑戦とは!?

例えば30センチメートル幅の平行線をチョークで道に引いて、その幅の中を歩くように指示されたとします。誰でも、その線を踏み外すことなく歩くことができます。

しかし、それが断崖絶壁の上にかけられた丸太橋であるならば、私たちは一歩たりとも歩むことはできないでしょう。

我々の能力は、ただ「恐れ」を心に抱くだけで、無惨なほどに萎縮してしまうからです。そして、我々は、いつも、心の奥深くに、自分自身も気づかない「恐れ」を抱いているのです。

三〇センチ幅の道

挑戦をすることは、恐れを克服しなければならないため、難しいです。一歩踏み出してみなければ、その恐れを克服することは難しいです。しかし、その一歩を踏み出してさえしてしまえば、実はものごとというのは、自分の意志とは勝手に進んでいくものでもあるのです。

その、一歩を踏み出せるか。そこには何があるのでしょう。

成長は、痛みを伴うものです。自分が出来ていないこと、自分に不足することをまざまざと見せつけられるわけですから、苦痛ですし、恐怖です。

でも、その先にしか成長は見いだせないのです。自分の弱いところと向き合うことでしか、成長はありません。

成長については、ぜひこちらの投稿「【5つのポイントにフォーカスせよ!?】リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法|安藤広大」もおすすめです。

複雑系の組織をどうやって運営するか、その視点の数々から、自分の役割や成長を見出すヒントを得られます。

河を知らない旅人とは!?

私は、こちらの物語に、対話のヒントが詰まっていると感じました。少し長めに引用させていただきます。ぜひご拝読ください。

山奥に住む人が、旅に出ました。そして、旅の途上で、河にたどり着きました。彼は、生まれてこのかた、河というものを見たことがありませんでした。しかも、その河には、橋が架かっていました。

旅人は不思議に思い、通りかかった地元の人に、「これは何ですか」とたずねました。その地元の人は、多くの知識を持った若者でした。彼は、こう答えました。ああ、それは、鉄筋とコンクリートの複合構造物ですよ。

その答えは、「橋とは何か」についての正確で詳しい説明でしたが、旅人にとっては、不親切な答えでした。

そこで、次に通りかかった地元の人に、もう一度、「これは何ですか」とたずねました。その地元の人は、豊かな体験を持った老人でした。彼は、こう答えました。ああ、それは、河を渡るためのものですよ。

その答えを聞いて、旅人は、橋の本質を理解しました。

河を知らぬ旅人

本当の「意味」を語れるか、あるは、「そもそもを問う」ことができるのかが、私たちにあらたな着眼点をもたらすのではないでしょうか!?

まとめ

  • 私たちが作る、複雑さとは!?――まるでそれは「いのち」や「こころ」に見立てられます。
  • 挑戦とは!?――恐怖を克服することです。
  • 河を知らない旅人とは!?――相手との関係性と全体感を忘れずに。
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