【”問い”で未来の社会をつくるには!?】思考のコンパス ノーマルなき世界を生きるヒント|山口周

思考のコンパス ノーマルなき世界を生きるヒント

昨日の投稿(「【私たちの社会はどこへ向かうのだろう!?】思考のコンパス ノーマルなき世界を生きるヒント|山口周」)から、引き続き『思考のコンパス』を取り上げさせていただきたいと思います。

  • 明らかに変わっていく社会の中で、私たちが持っておきたいのが「思考のコンパス」です。
  • 実は、そこから生み出される問いを共有することも、変化の中で、活動していくエネルギーになるかもしれません。
  • なぜなら、問いを共有するということは、自分と他者とに「行動」を誘発するからです。
  • 今回の投稿は、前回に引き続き「思考のコンパス」を取り上げさせていただきます。
  • 特に、山口周さんと現代を思考のコンパスを持って切り拓く方々との対談内容について、取り上げる中で、未来の社会をつくる「問い」の視点を得たいと思います。

私たちが、本質的に志向していることはなにか?

山口周さん×北野唯我さんの対談から。

仕事を選ぶことに対して、自分の感覚や目指すビジョンに敏感になることが重要です。結局人は、自分を活かす場所を常に探しています。

それって結局「自分の感性をどうやって資本市場の中で武器に変えるか」ということですよね。

第1章 夢中になれる仕事を見つけられない日本のシステムとは?

ほとんどの人は社会組織とか資本市場の中で、どうやって自分の感じたことをお金にするか、武器にするかにこそ悩んでいます。ここが、ビジネスマンのインサイトなのです。でも、これに折り合いをつけると言う人も少なくないはず。なぜなら、日本は労働人口の流動性が極めて低いから、自分の感性が発揮されない!ってわかっていても、なんとなくの同調圧力を通じて、どの場にいようとする、そのための、なんらかの理由が必要だから、割り切って考えたり、あるいは、その反動として強く違う活動を志向するようになります。

でも、それは本質的には損失であるはずです。経済損失ではなく、モチベーションの損失なのです。もっと違う場所で、自分の感性を活かせるかもしれない、その時のはかりしれないモチベーションの可能性を封じてしまっている人が、きっと多く存在するのではないかと、推察します。

これからの時代は、過去の投稿「【越境の相乗効果が大切!?】自分が喜ぶように、働けばいい。―二つの本業のすすめ|楠木新」にもあるような、いくつかの場所で活躍することも志向しても良いのかもしれません。自分のモチベーションやスキルや貢献領域に敏感になりながら、ピボットしていく軸足を持つことは、自分のためにも、社会のためにもなる、考え方かもしれません。

私たちを奮起させるものの正体とはなにか?

山口周さん×近内悠太さんの対談から。

近内悠太さんが著書『世界は贈与でできている』を執筆したのが、2016年でした。当時漫画の売上ランキングを見ると、『ONE PIECE』『暗殺教室』『キングダム』でした、この3作品は全て「自分が受け取ったもの(贈り物)を、どうやって次の誰かにつなぐか(贈るか)」という物語です。最近でいうと、『鬼滅の刃』のストーリーも贈与のストーリーが骨格になっています。いま社会は、もしかすると贈与の世界にユートピアを見ているのかもしれません。

時制のズレのある贈与こそ人をつなげる

第2章 「資本主義はもうダメだ」では社会は変わらない。「すきま」を埋める言葉を

自分が受け取っていたことに「遅れて気がづいた」「私は出遅れた」「もう返礼できない」という思いが罪の意識、負い目となり、新たな誰かへの贈与を促すことになります。こうして、人と人が繋がり、そして返すことのできない後ろめたさを抱えながら、前方に行為を施していく、永遠の循環というユートピアが、見えがかりになっているのかもしれません。

これからの社会の商いに必要な視点とはなにか?

山口周さん×広井良典さんの対談から。

名和高司さんの書かれた『パーパス経営:30年先の視点から現在を捉える』では、いわゆるショートターミズム、株主の短期志向に合わせて経営する会社ほど、結果的に利益を上げられていないと分析されていました。

2001年以降、長期視点で経営している経常利益は、2014年時点で平均的な企業の1.8倍、時価総額は1.58倍だそうです。一方、短期視点の経営は、短期視点の経営は、短期投資家のリターンを最大化しようとすることで、中長期的な成長を毀損している可能性が高いと。ROE(自己資本比率)経営は一時期もてはやされましたが、長期投資家の利益を損なうこともあるそうです。

第7章 ゆるやかに今を楽しむライフスタイルが徐々に広がっていく

これからは、脱成長・定常社会に突入する可能性が高く、過剰に成長を求めることは、反対に投資家の既得権益を既存する可能性が高いです。もしかしたら、私たち全員が、徐々にマインドセットをシフトする必要を迫られているのかもしれません。あくせくはたらき、過剰な成長を盲目的に求めていくのではなく、教育や教養を身に着けながら、着実な維持や幸福を感じられるようなライフスタイルへと・・。

AIを活用した分析では、2050年に向けた日本の未来に関する2万通りのシナリオ分析を行い、そこでは今後は分散型社会という方向が基本になるというシミュレーション結果が出たのですが、小規模な事業がローカルに分散する中、どのようなビジネスモデルで対応していくのか、企業レベルでも発想の転換が求められています。

第7章 ゆるやかに今を楽しむライフスタイルが徐々に広がっていく

この分析結果は、SINIC理論の予測と符合します。SINIC理論については、ぜひ過去の投稿「【50年前のオムロンの未来予測がスゴイ!!】SINIC理論 過去半世紀を言い当て、来たる半世紀を予測するオムロンの未来学|中間真一」をご覧いただきたいです。

SINIC理論では、2025年~2032年 GNP/人:4万米ドル以上において、「自律分散型の社会」が誕生することを予想しています。この社会は、共同時代で始まった意識的な管理の社会から、管理のない自然社会への移行を示唆します。この社会に生きる人は、本当の変化を経験する必要があります。そうでなければ、困難のない、秩序あるこの社会では、人々が弱体化してしまうおそれがあるのです。なぜなら、人類はその長い歴史の中で、3つの闘争(B・ラッセルによって示された自然との闘争、他の人間との闘争、自分自身との闘争)に直面した際に現れた抵抗力が、進歩に大きく役立っていたためです。

このように、SINIC理論においても、闘争に変わる、何らかのモチベーションの厳選を人々は求めることが示唆されているのです。拡大・成長・進化に徐々に置き換わる価値観とは、いったいなんでしょうか。

まとめ

  • 私たちが、本質的に志向していることはなにか?――自分の感性を資本主義の中で、適切に武器にすることです。
  • 私たちを奮起させるものの正体とはなにか?――遅れて気がついた贈与の存在が人と人を結びます。
  • これからの社会の商いに必要な視点とはなにか?――長期的な視点でもものごとを見ることです。
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