- 具体的にどのような日常的意思決定が、企業価値向上のため、重要でしょうか!?
- 実は、ファイナンス視点に立つと、経営者の意思決定はロジカルに説明できます。
- なぜなら、数字に裏付けされうるからです。
- 本書は、ファイナンスの全体像に触れることのできる1冊です。
- 本書を通じて、企業の現在から未来にかけての意思決定の方法と視点について学ぶことができます。
企業価値の高め方とは!?
企業価値を高めるためにはどうしたらいいのか、これについて考えてみましょう。
第4章 会社の値段
企業価値を高めるためには、フリーキャッシュフローを極大化して、割引率であるWACCをできるだけ下げることがポイントです。
もし、余計な非事業資産があるのならば、それを売却して、再投資に回す、あるいは、投資家に還元するなどの施策をバランスを見ながら打っていきます。
前回の投稿「【ファイナンスからみるIRの意義とは!?】ざっくり分かるファイナンス~経営センスを磨くための財務~|石野雄一」でも同様の論点を見てきました。
フリーキャッシュフロー=ROICで見ていましたが、基本的には、同じような発想です。
フリーキャッシュフローを増大させるためには!?
では、フリーキャッシュフローは具体的にどのようにしたら増大させることができるのでしょうか。
それではフリーキャッシュフローを極大化するにはどうすればよいのでしょうか。これは、フリーキャッシュフローを構成する要素に分けて考えていくと、自ずと答えが出てきます。
第4章 会社の値段
まず営業利益を多くすることです。額ではなく、率を見ることが大切ですね。投資に対してどのくらいのリターンが得られるのかを常に考えましょう。また、投資=調達資金であることも忘れてはいけません。資金を誰かから調達しているということは、コストがかかっています。このコストを少なくともうわ回る利率で、ビジネスを回さななくては、永続性が担保されません。
次に、税金をどうへらすことができるかも論点となります。グルーバル企業であれば、各国の税制を横目に、グローバル最適化をするなどの視点も忘れてはいけません。
また、設備投資を見直すこともポイントです。何を見直すかというと、判断基準です。
WACC以上のROIC(投下資本利益率)が見込める投資案件でなければ、企業価値を毀損するおそれがあります。そのためにも投資判断基準の明確化が大切でしょう。
第4章 会社の値段
落とし穴は、ここにもあり、現在の投資をケチればたしかに現在のフリーキャッシュフローは良化しますが、ただ、将来的なフリーキャッシュフローは低下するおそれが出てきます。なぜなら、将来的な収益は現在の投資がなければ獲得し得ないからです。ここにも、バランス感覚が必要となります。
気前よく投資を行えば良いのかといえば、それも間違い。
収益率、時間軸などの4次元的空間を考慮して、経営の舵取りをすることが必要なのです。
過剰な在庫を処分したり、支払いサイトを見直したりすることも、フリーキャッシュフローを良化させる具体的な手段となります。このようにいくつもの打ち手が相互関係のもとなりたっているのが、ファイナンスでよく見えてきます。
正しいお金の借り方・返し方とは!?
お金の借り方・返し方を正しくやりくりすることも経営者の課題の1つです。
負債と資本のいずれで資金調達をするかに関しても、WACCを基軸にベターな判断をすることが可能です。
はじめは負債を増やしていくと、WACCは下がっていきます。負債には節税効果があると同時に、負債コストは株主資本コストより通常低いわけです。ですから、負債の利用によって、WACCは下がっていきます。
第6章 お金の借り方・返し方
ただ、一方、負債を増やし続けていくと、格付けが下がり負債コストが上がると同時に、財務リスクが増大していくため、WACCも上昇を続けてしまうのです。
ですから、WACCを最も下げるために、適切な負債・株主資本のバランスを見極める必要があります。
まとめ
- 企業価値の高め方とは!?――フリーキャッシュフローを極大化し、WACCを下げましょう。
- フリーキャッシュフローを増大させるためには!?――利益拡大、適切な投資判断、設備投資の見直し、在庫削減、支払いサイトの見直しなどを全体点検しましょう。
- 正しいお金の借り方・返し方とは!?――適切な負債と株主資本のバランスがあります。