- もし、マーケットを科学的にとらえたら!?
- 実は、新しいブランド戦略が描けます。
- なぜなら、顧客はわたしたちの想像以上に流動的であるからです。
- 本書は、大規模で長期的な調査から見出されたら新しいマーケティングに関する1冊です。
- 本書を通じて、顧客との新しい関係性構築と、ブランディングの戦略の再構築を実現させられます。
顧客の正しい「動き」の事実!?
パレートの法則をご存知でしょうか?20:80の法則と言われるあれです。2割の顧客が、8割の利益を支えると言われていますが、本当にそうでしょうか!?
じつは、バイロン・シャープさんの研究によると、そこまで過激な値にならないとのことです。
パレートの法則にまつわる3つの要因は、次の通りです。
1.規則性があり、どのブランドやカテゴリーにも適用される。
2.厳密に80/20にはならない。
3.パレートの指数とターゲティングは、分析期間中の消費者の在り方の影響を受ける。
あらためて、冷静に顧客を見つめる視点と、時系列の導入という視点を、もらえます。
つまり、分析期間中の1時期として切り取ったヘビー、ライトが分析できるだけであって、次の年には、そのヘビーとライトは流動していくという事実を忘れてはならないということです。
ヘビーユーザーに注力するという戦略は、彼らの現在の個人消費が今後も継続して将来の売上に貢献することが期待できない限り、確実性に欠ける。
第4章 ブランドにとって最も重要な顧客を探す
ヘビーユーザーがライトユーザーに、ノンユーザーやライトユーザーがヘビーユーザーに、時間経過とともに変化することを示している。
また、「ダブルジョパディの法則」という法則性にも目を向ける必要があります。売上が低いのは、ブランドの購買客数が少ない上に購買頻度も低いという2重苦があるというものです。売上が低い状態は、指数関数的に、弱い立場に陥ってしまうことを示しています。
つまり、顧客数の拡大(新規の獲得)と、頻度の向上の2つの視点が、ブランドの成長にとってはなくてはならない目標指標であるのです。
市場の新しい見立てとは!?
こうした顧客と市場の視点を通じて、マーケティング的市場をまとめるとつぎのようなシンプルな見解に行きつきます。
1.ブランドの成長と維持には顧客の獲得が極めて重要である。
2.すべての消費者層、特にブランド購入頻度の低いライトユーザーにリーチすることが極めて重要である。
これが賢明なマーケティングへの処方箋です。現在、一流ブランドがそうなりえたのは、CRMやリレーションマーケティング、ロイヤルティマーケティングではなく、「マスマーケティング」によるものだったことを理解すれば、マーケティング的市場の見立ては納得がいきます。
市場をダイナミックにとらえて、その上で、まずはマスマーケティングの可能性を探ることを蔑ろにしてはならないということです。
マーケターは顧客の離反をコントロールできない
第3章 顧客基盤を拡大させる
冷静に考えると、離反を防ぐことも施策オプションとして検討できるかもしれません。しかし、マーケターは、離反をコントロールすることはできません。顧客の離反は企業がコントロールできないことを背景に起きているからです。たとえば、著者がリサーチした銀行では、引っ越し、サービスが不要、本社からの指示など、自分でコントロールできない要因が多くを占めました。
離反を防ぐ、という課題設定ではなく、新規を獲得するという視点が何より大切なのです。これをもって、ダブルジョパディの法則に対抗しましょう。
見出される7つのシンプルな作戦とは!?
7つのシンプルなマーケティングの法則
第12章 メンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティ
顧客のブランドに対するメンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティを向上させることが、マーケティング課題となります。メンタルは、顧客のブランドイメージなどの気持ちの側面、フィジカルは、買いやすさなどの物理的アプローチの側面です。
以下に上げる7つのシンプルな作戦を通じて、ブランド成長の課題設定を行うことがポイントです。
- ① できるだけ多くの人にリーチする
- ② 買い求めやすいこと
- ③ 目立つこと
- ④ 記憶構造を刷新/再構築すること
- ⑤ そのブランドならではの資産を構築する
- ⑥ 一貫性を維持しながらも新しさを失わない
- ⑦ 競合力を維持する――買わない理由を与えない
ブランドあ成長することは可能だ。本書で考察した全ての原則がそれを証明している。アタr恣意ブランドである必要はない。優れた広告、優れたブランディング、優れたメディア戦略、優れた店内ディスプレイ、そして前述の7つのルールに従うこと、これらすべてが成長への道だ。
第12章 メンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティ
ブランド戦略の着眼点については、こちらの投稿「【ブランド起点の事業戦略をいかに描けるか!?】ブランドで競争する技術|河合拓」もぜひご覧ください。
まとめ
- 顧客の正しい「動き」の事実!?――実はパレートの法則ほど過激ではないし、顧客が少ない上、頻度も少なくなるのが顧客に対して弱いブランドです。
- 市場の新しい見立てとは!?――顧客を獲得する重要性と、ライトユーザーへのリーチがポイントです。
- 見出される7つのシンプルな作戦とは!?――7つのルールに則れば、ブランドを成長させることができます。